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11話 立ちはだかるライバル? その1
しおりを挟むアミーナとカイル……二人が付き合い始めてしばらくが経過していた。彼らはそれぞれの仕事の合間や、休みの日はほとんどの時間を過ごすに至っていた。
そのラブラブ振りはオーチョ区画でも有名になりつつあった。一説では、身体も重ねた関係になったとかなんとか……。そのことについては当人たちは完全黙秘を続けている。
「カイル、今日はどこに行く?」
「そうだな……アミーナの行きたいところでいいぜ」
「私もカイルが行きたいところならいいよ~~」
「俺だって」
「私だって~~~」
という風に、周囲から見れば殴り飛ばしたくなるくらいのラブラブ振りを披露していたりする。カイルも素直になっていき、より格好良くなったという。
……しかし、二人の幸せは……長くは続かないかもしれないのだった。デート中のアミーナとカイルではあったが、そんな時、荘厳な馬車がオーチョ区画に現れたのだ。
その馬車はアミーナとカイルの二人の前で停車した。中から現れたのは、護衛と思われる兵士と、レオン・アンバートだ。
意外な人物の襲来に、カイルとアミーナの二人は嫌な予感がしてしまう。
「やあ、アミーナ。久しぶりだね」
「レオン様……お久しぶりですね」
彼と別れてから1か月以上は経過している。アミーナからすると、他人も同然だった。一方的に婚約破棄された上に、執事からも突き放された態度を取られていたからだ。
「おやおや、そっちの子は新しい彼氏かい?」
「ええ、まあ……カイルって言います」
隣に立っているカイルは、アミーナの紹介に合わせるように静かに頭を下げた。明らかに歓迎していない様子だが、直接的に貴族に文句を言うのは逆効果だと彼も分かっている。特に挨拶はしなかったが、愚痴をこぼすこともしなかった。
「なにか御用ですか?」
「それだそれだ。君に手切れ金を渡しただろ? 30万ゴールドも」
「ええ、そうですね」
レオンはアミーナとカイルが手を繋いでいることに苛立ちを覚えていた。彼はこの場に来て、ようやくわかったのだ。アミーナに対して恋をしていたと……。でなければ、わざわざ振った相手の元に現れることなどしないだろう。
「アミーナ。お前の純血を奪ったのは私だ。ほら、また可愛がってやるから、こっちに来い」
「……えっ?」
レオンとしては、嘘をついて彼氏との仲を悪くさせる作戦だ。本来なら30万ゴールドの件で身体を奪おうと考えていたが、二人が仲いいことに嫉妬し作戦を変更したのだ。
カイルはとても動揺した表情……にはなっていなかった。素っ頓狂な顔になっている。そして、爆弾発言を一つ。
「アミーナ、処女でしたよ?」
「……はい?」
レオンがとてつもなく動揺した瞬間だった。
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