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会場を出て馬車に向かって歩き出した
バーレンに声がかかった

「もう帰るのか?」

バーレンが声の主を見るとホルバだった

「まぁね、顔を出したし用は済んださ」

「あのさ、ちょっといいか?」

「あぁ、構わない」

バーレンはホルバが座っているベンチに
腰を下ろした

2人の間に重たい空気が流れて
後ろの噴水から流れる水の音が
聞こえている

ホルバが話し出した

「あのさ、何か色々聞いたんだ親父に
俺、全然知らなくて驚いた」

「そうだね。僕も驚いたよ」

「あぁ、、ほらサブリナってさ
今まで周りに居ないタイプだったから
なんて言うか…俺も浮かれちゃって」

「うん、わかるよ」

「そう?わかってくれる?」

「……」

「ごめん、バーレンはさ
マデリーンの事…本気だった?」

「そうだね」

「あいつの事を色々言って悪かったよ
俺、幼なじみってやつでさ
なんて言うか本当ならあいつが困ったり悩んだりしたら支えたり助けたり
する立場なんだけど…反省してる」

「うん、君だけが悪いわけじゃないさ
彼女を傷つけたのは僕もだから」

「ん、そうか…
なぁ、マデリーンが帰ったら
どうするんだ」

「どう。って 僕は彼女に捨てられたんだ」

「でも好きなんだろ?マデリーンの事」

「好きだよ。ずっと…今でもね」

バーレンの目から涙が流れ手で顔を
覆うと肩を震わせた

ホルバは黙ったままバーレンが
落ち着くまで待った

「すまない。こんな…人前で僕は…」

「いいさ男だってそういう気持ちに
なる事はあるさ」

「恥ずかしいな」

「ははっ 俺だってさ
可愛い女の子が泣いたら抱きしめるけど男に泣かれてもな、抱きしめないぞ?」

「はは、だな」

「マデリーンの情報が入ったら
知らせるよ。
まぁ お前が知りたければだけど」

「頼む」

「そうか、わかった」

バーレンは立ち上がると馬車に向かって
歩き出した

ホルバはバーレンの後ろ姿を見ながら
思う

「マデリーンか…俺も失恋か
気づくの遅すぎたけれどな」 と…


サブリナは苛立っていた

最近は何をやっても上手くいかない。
ようやく男達を捕まえて
そこそこ稼げる様になったのに…
ホルバやバーレンもエスコートの誘い
すら来ない!他の男達もよ!
誰かドレスくらい贈りなさいよ!
会場で声をかけてもあしらわれた…
何で?
マデリーンがアカデミーに来なくなって
から何かがおかしいのよね…
会場の隅で男達を見ながら
誰に声をかけるか探っていた。


南国

ヒューランを紹介してもらってから
マデリーンは勉強に励んでいた

ヒューランは大陸全土で通用する会話や
挨拶、作法などを教えてくれる

確かに…外交家に生まれたんだもの
知っていて損は無いわよね

商品の本物と偽物の見抜き方なんか最高よ、知らなかったら詐欺に合うもの…

マデリーンは新しい知識を身につけ
ながら淑女として成長していた



ホルバは父から言われた

「お前、そろそろ相手を決めないか」

突然 父親に縁談を持ち込まれてホルバは
焦った

「いや、まだ早いですよ」

「好きな人でも居るのか?
だったら紹介しなさい」

「居ませんよ、でもなんと言うか
誰とも嫌なんです」

「そうか、でもアカデミー卒業までに
相手を決めろ、後1年だぞ」

「まぁ そうですね」

ホルバは 同級には居ないし
新入生が入ったら探してみるかな。
漠然とそう思った


焦るサブリナ

どうしよう…3年生卒業しちゃったわ
年下?あー駄目よ結婚まで時間がかかる
もの…
程よい年上が良かったんだけど…
やっぱり爵位が高くて素敵な人は
どんどん婚約しちゃうわ
誰か居ないかなぁ


数日後

「ホルバ!久しぶりね」

ホルバが振り返るとサブリナが居た

「あぁ久しぶりだな」

「ねぇねぇ、あのさぁ
また みんなでバーベキューパーティー
とかやらない?知り合いの先輩とか
いろんな人呼んでね楽しそうでしょ?」

「先輩?忙しいと思うよ」

「え?あっ…そうかなぁー」

「ごめん、俺さ用事あるから」

「うん、わかった じゃあね」

何よ!馬鹿ホルバ!使えないわね

 あ!そうだ私って天才!
いい事を思いついたわ

サブリナは令嬢達に
バーベキューパーティーに招待する
手紙を送った

兄弟さんも一緒に
って書いたから掘り出しが居るかも。
サブリナは返事を待っていた

だが返事は無惨なものだった

「お誘いありがとうございます
しかしバーベキューとは服が汚れます
ので遠慮させて頂きます」

「私には兄も弟もおりませんので
申し訳ございません」

「誘って頂きましたが都合がつきません」

「初めましてサブリナ嬢
バーベキューパーティーは
親しい方とお楽しみ下さいませ」


つっ、、どいつもこいつもぉー!!

思い通りに事が進まない事に不満を
溜めていたが
この頃のサブリナは自分の噂が
流れている事も養父である子爵が
サブリナを見放すつもりでいる事を
知らずにいた…



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