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第一章・僕が公爵家に居るワケ
9・ある日突然マリンが(ミシェルSide)
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あの日、庭園で騒然としている使用人達に気付く。そんなことは普段公爵家では有り得ない事だ。
それに胸騒ぎを覚えた私は、護衛騎士のギルバートと共に庭園にと急ぐ。すると池の辺りに人だかりが出来ていて…
近付いた瞬間ハッと息を呑む!
「マ、マリン?どうしたんだ…」
顔面蒼白なマリンがずぶ濡れになって横たわっている。その直ぐ側には彼の侍従のオリヴァーが、同じくずぶ濡れで蹲り、ハァハァと肩で息をしている。
──マリンが池に落ちたのか?それを侍従が助けたのだろうか…
やがて侍従が落ち着きを取り戻し、マリンの頬を軽く叩きながら名を呼んでいる。だけど全くといっていい程反応がない状態で…
──これはマズいぞ…このままでは死んでしまう!
咄嗟に私は、急いでマリンに駆け寄り人工呼吸をする。周りの者達は一様にその行動にざわついたけど、人命が掛かっているし一刻を争うことだ。
顎を上げ気道を確保してから、鼻をつまみ口にフーッ!と息を吹き込んだ。一度では反応はなく、何度もそれを繰り返す。それでも諦めずに繰り返すと、マリンはゴホッ!と水を吐き出して…
私はそれに満身創痍でその場に倒れ込んでしまう。それからオリヴァーがマリンを部屋まで運び、私はギルバートに抱えられて部屋に戻った。それから三日間、マリンの意識は戻ることはなく…
その間に私は考える。もしかしてあの時、放っておけば良かったんじゃないか?と。
誰かが助けたかもしれないが、あれが私である必要あったのだろうか?分からない…自分で自分の行動の意味が分からなかった。かく言う今も、意識のないマリンの様子を見に部屋まで来てしまっている。
おまけにずっと寝ずの看病を続けていたオリヴァーを、休むようにと命令したから仕方がないだろ?って言い訳をしてまで…
ハァーッと大きな溜息を吐きながらマリンの部屋に入る。すると…マリンと目が合った。
──えぇーーーっ!!
そのままカチコチに固まった!もう動く事は出来ない。
目の前のマリンはほぼ裸で、腰にタオルを巻きつけているだけの無防備すぎる格好だった。
茫然と押し黙る私に、マリンは悪びれた様子もなく「ノックは?」と一言。
──た、確かに!ノックしなかったけど…だからってその格好はあり得ないだろう?
おまけにマリンは不思議なことに、そんな裸同然の格好を私に見られているのは平気なようだった。な、なんでだよ?
心の中でツッコミをいれながら憮然とする私に、マリンは形式だけの謝罪をしながら待ってくれと言って、クローゼットから下着とパジャマを取り出すのが見えて…
──えっ…それ、どうするつもりで?
その瞬間、殴られたような衝撃を受ける!後向きにはなっているけど、マリンは腰のタオルを躊躇なく取り去って…
その美しい裸体にドキッとする。濡れた髪から垂れている水滴を弾いて、白く滑らな肌が露わになっている。そしてどうしても目に入るのは、ツンと上を向いている丸い桃尻。思わず触りたくなるほど…
それたら動く度にチラチラと視線をかすめる桃色の蕾が!
──な、なんだ?私がマリンに対して、そんな不埒なことを思ってしまうなんてー!
心臓がドキドキとして顔は真っ赤になる。そんなあり得ないほど動揺しまくる私の様子に気付いたマリンは、不思議そうな顔をしながら尻をなぞったり、胸先を確認しようとしているのにだんだんと腹が立ってきて…
それで救助した私に何か言う事ないのか?と聞いてみる。なのに…ちょっと謝ってから突然何かを悩み出している。そして暫く考えてから出てきた言葉が「部屋から出ろ!」だと?
──何か、可怪しくないか?
いつもオドオドとして挙動不審だったマリンとは何もかもが違う。視線も行動も…一体何があったのか?
間違いないのは池に落ちてから変わったっていう事だ。
それから暫くしてから起こしたのは、今回の屋敷を抜け出すという不可解な問題…
──マリン、何を考えている?
私はマリンの気持ちも、そして自分の気持ちさえも分からないこの状況に、すっかりと途方に暮れた…
それに胸騒ぎを覚えた私は、護衛騎士のギルバートと共に庭園にと急ぐ。すると池の辺りに人だかりが出来ていて…
近付いた瞬間ハッと息を呑む!
「マ、マリン?どうしたんだ…」
顔面蒼白なマリンがずぶ濡れになって横たわっている。その直ぐ側には彼の侍従のオリヴァーが、同じくずぶ濡れで蹲り、ハァハァと肩で息をしている。
──マリンが池に落ちたのか?それを侍従が助けたのだろうか…
やがて侍従が落ち着きを取り戻し、マリンの頬を軽く叩きながら名を呼んでいる。だけど全くといっていい程反応がない状態で…
──これはマズいぞ…このままでは死んでしまう!
咄嗟に私は、急いでマリンに駆け寄り人工呼吸をする。周りの者達は一様にその行動にざわついたけど、人命が掛かっているし一刻を争うことだ。
顎を上げ気道を確保してから、鼻をつまみ口にフーッ!と息を吹き込んだ。一度では反応はなく、何度もそれを繰り返す。それでも諦めずに繰り返すと、マリンはゴホッ!と水を吐き出して…
私はそれに満身創痍でその場に倒れ込んでしまう。それからオリヴァーがマリンを部屋まで運び、私はギルバートに抱えられて部屋に戻った。それから三日間、マリンの意識は戻ることはなく…
その間に私は考える。もしかしてあの時、放っておけば良かったんじゃないか?と。
誰かが助けたかもしれないが、あれが私である必要あったのだろうか?分からない…自分で自分の行動の意味が分からなかった。かく言う今も、意識のないマリンの様子を見に部屋まで来てしまっている。
おまけにずっと寝ずの看病を続けていたオリヴァーを、休むようにと命令したから仕方がないだろ?って言い訳をしてまで…
ハァーッと大きな溜息を吐きながらマリンの部屋に入る。すると…マリンと目が合った。
──えぇーーーっ!!
そのままカチコチに固まった!もう動く事は出来ない。
目の前のマリンはほぼ裸で、腰にタオルを巻きつけているだけの無防備すぎる格好だった。
茫然と押し黙る私に、マリンは悪びれた様子もなく「ノックは?」と一言。
──た、確かに!ノックしなかったけど…だからってその格好はあり得ないだろう?
おまけにマリンは不思議なことに、そんな裸同然の格好を私に見られているのは平気なようだった。な、なんでだよ?
心の中でツッコミをいれながら憮然とする私に、マリンは形式だけの謝罪をしながら待ってくれと言って、クローゼットから下着とパジャマを取り出すのが見えて…
──えっ…それ、どうするつもりで?
その瞬間、殴られたような衝撃を受ける!後向きにはなっているけど、マリンは腰のタオルを躊躇なく取り去って…
その美しい裸体にドキッとする。濡れた髪から垂れている水滴を弾いて、白く滑らな肌が露わになっている。そしてどうしても目に入るのは、ツンと上を向いている丸い桃尻。思わず触りたくなるほど…
それたら動く度にチラチラと視線をかすめる桃色の蕾が!
──な、なんだ?私がマリンに対して、そんな不埒なことを思ってしまうなんてー!
心臓がドキドキとして顔は真っ赤になる。そんなあり得ないほど動揺しまくる私の様子に気付いたマリンは、不思議そうな顔をしながら尻をなぞったり、胸先を確認しようとしているのにだんだんと腹が立ってきて…
それで救助した私に何か言う事ないのか?と聞いてみる。なのに…ちょっと謝ってから突然何かを悩み出している。そして暫く考えてから出てきた言葉が「部屋から出ろ!」だと?
──何か、可怪しくないか?
いつもオドオドとして挙動不審だったマリンとは何もかもが違う。視線も行動も…一体何があったのか?
間違いないのは池に落ちてから変わったっていう事だ。
それから暫くしてから起こしたのは、今回の屋敷を抜け出すという不可解な問題…
──マリン、何を考えている?
私はマリンの気持ちも、そして自分の気持ちさえも分からないこの状況に、すっかりと途方に暮れた…
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