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32 緊張の朝帰り
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電車ではのんびりと座席に座れた。
満足そうな顔は決して食後だから、だけじゃない。
家に帰ったら怒られるのだろうか?
それとも喜んでくれるだろうか?
もう大人だから。
上手に誤魔化せばいいのに今日も泊まりたいなんて許可を取った私。
でもあの話の流れでは誤魔化せない。
じゃあ、これから先、クリスマスは?年末年始は?
うちにいない時はあそこにいるって、バレバレで。
いままで家族で過ごしてきた大切な時が形が変わるということ。
お父さん、寂しがるかな?
普段任せっきりだから大掃除はきちんと手伝いもしたいし。
まさか『年末年始くらい静かに過ごしたい』なんて言わないよね、近藤さん。
うん、それは言わないだろう。
せめて我慢してくれるだろう。
・・・我慢って何? 1人で突っ込む。
うちが見えてきた。大きく息を吸って玄関を開けて声をかける。
「ただいま。」
「おかえりなさい。」
奥からお母さんの声がして足音も聞こえてくる。
ちょっと緊張してその場に立ったまま。
「何してるの?着替える?お風呂は?お腹空いてない?」
「お風呂入る。」着替えたい。
「食事してきたからお腹は空いてない。」
「じゃあ、お茶でもしましょう。」
怒られる気配はない。良かった。
「お父さんは?」
恐々と事情聴取が何人制か聞いてみた。
「ちょっと本屋あたりまで散歩してくるって出て行った。」
じゃあ今の内に告白は済ませたい。
急いで着替えを持ってお風呂に入り、あっという間にリビングにたどり着く。
急いで、ざっとだけシャワーだけ。
だって、さっき入ったばっかりだし。
それでも自宅だと落ち着いてのんびりできる。
目のまえに置かれた紅茶にミルクを入れて吹きながら飲む。
「で、どうだった?」
「ど、ど、どうって・・・何が?」
思わず声が裏返る。
「ずっと好きだったって言えたんでしょう。」
「うん。あんまり向き合って話もしてくれないし、夏に彼女と別れてたのにクリスマスの予定を聞いても彼女と過ごすって否定しないから、むかついて逆切れして怒りながら告白した。」
「あらまあ、なんと。もっとロマンティックにできないのかしらねえ?」
「だって、本当に全然分かってないんだもん。」
「それで、向こうは何て。」
「好きでもない奴を何度も泊めないって。他には一切誰も泊めたことないんだからって。手を出さないようにあえて距離を取ってたって。謝られた。」
「あらあら。やっぱり優しかったんじゃない?」
「うん、皆にばれてた。皆が上手くいくからって応援してくれて。」
「良かったわね。」
「うん。」
紅茶を飲む。お母さんと2人しばらく沈黙。
「ねえ、これからもう1度行きたいの。ちゃんと明日帰ってくるから。嘘はつかない。泊まる時はちゃんと泊まるっていうから。もう1回行きたいの。どうしてもダメなの?お父さんがダメって言ってるの?」
「さすがにお父さんには何も言ってないわよ。少しずつね。全部知ったら悲しくて引きこもるかもよ。茜が大人になるのを本当に嫌がるから。」
「そんな・・・・・。」
「だって今日いいって言ったら、毎週行くでしょう?お父さん寂しがるし、週末くらい家族で過ごす時間も欲しいから。」
「・・・・はい。」
やっぱりダメでした。
無理するなっていう声と優しい顔が思い浮かぶ。
「そんな顔をされると辛いわね。茜が一番気にしてたことは聞いてみたの?」
「何?」
「人を好きにならない冷たい人だって言ってたじゃない。」
「・・・うん、今までそうだったって。でも今回は違うって。半年も片思いしてきたんだから信じろって。」
「そう。」
静かに紅茶を飲む。
「はぁ、そんなうれしい報告なのに悲しい顔して。じゃあ、いいわよ。お父さんと少し話をして相手をしてあげたら出かけてもいいわよ。でも明日も夕方には帰って来てね。夕ご飯は一緒に食べること。お父さんには言っておくから。あんまりうれしそうな顔して行かないでね。」
「・・・・うん。ありがとう。」
「もし今後も毎週泊まるつもりなら、ちゃんと一度会っておきたいから。そういうつもりでね。」
「・・・・うん。」
「着替えてお父さんを迎えに行ってくる。」
苦笑いのお母さんの笑顔に見送られて家を出る。
少し歩いていくとお父さんがのんびりと歩いてくるのが見えた。
「お父さん、お帰りなさい。」
「茜もお帰り。おつかいか?」
「ううん。お父さんを迎えに来たついでに散歩。」
「そうか、ちょっと歩くか?」
「うん。」
腕を組んで二人でぶらぶらと歩く。
「お父さん何買ったの?」
「写真集。虫の写真集。」
「見たくない。どうせ変な虫でしょう?」
「かわいい昆虫たちだよ。小さい頃は一緒に庭で眺めてくれたのになあ。」
「随分昔でしょう。猫とか犬とか、せめて動物園で可愛がられる動物なら一緒に見るけど。」
「差別はいかんぞ。」
「お母さんも見ないと思うよ。」
「そうだな。」
笑いながら、さほど残念そうにも見えない。
諦めてるのだろう。私と眺める事も諦めて欲しい。
「なあ、茜。最近いいことあったか?」
「・・・・何?例えば?」
「綺麗になったし、今日はにこにこしてる。お母さんには言えてもお父さんに言えないってことは、そういうことだろう。」
そんなに敏感だった?油断してた。
さすが虫の観察が大好きなだけはある。
わかり易い私なんて心が丸丸と丸わかりの浅い女だ。
娘だし、20年以上観察し続けられてるようなものだし。
「怒らない?」
「茜にとっていい事なら怒らない。でも一緒に喜べるかどうかは分からない。」
「ずっと好きだった人がいて昨日告白できたの。やっと。」
「そうか。・・・・茜も大人になったな。」
・・・・そう大人にはなった、いろいろと。
それ以上は言えない。
この流れで今夜も出かけるなんてあからさま過ぎて言えないし。
でも夕飯食べてると遅くなる。
「お父さんみたいな人が理想だったの。」
「そりゃあ、お父さん冥利に尽きるなあ。で?」
「同期の子はそういうの、私が言う理想のタイプには当てはまるじゃないって。」
「それは、複雑だ。」
困った顔をしてるお父さん。
「お母さんが会いたがってる。写真は見せたことがあるけど。」
本当に貴重な一枚だけの写真。
「ねえ、そう言ったら男の人はどう思う。責任感じて嫌だなって思わない?」
昨日の今日なのに・・・言い出しにくい。無理。
「人によるよ。ちゃんと大切に思っててくれてるなら緊張はするけど嫌だとは言わないかもしれないけど。人見知りとか、楽天的とか、性格にもよるしな。」
「・・・・・そうかな・・・。」
遠くに家が見えてきた。あと少し。
「お父さんは会いたい?」
「どうだろう。男としては会いたいけど、父親としては会いたくない。」
「ん?何それ?」
「ライバルをやり込めたい、でも勝ち目はなさそうで。」
「そんなことないよ。」
そうは言ってもどっちが大切か、今はまだ、・・・お父さん。
どっちが好きか、それは近藤さん?
お父さんだってお母さんの方が好きだと思う。
私の事は大切でもね。
そう、あいこ。1人に1人だから、欲張らない。
「茜、今から出かけるのか?」
「う、うん。夕方になったら出かけようかなあって思ってる。」
「そうか。」
やっぱりお父さんにも隠せない。
散歩するだけにはこの格好は違うって思ったらしい。
お父さんとお母さんが結婚した年は私でいえば、あと二年後。
そして三年後には私が誕生していた。
長いなあ。二人の時間は。
満足そうな顔は決して食後だから、だけじゃない。
家に帰ったら怒られるのだろうか?
それとも喜んでくれるだろうか?
もう大人だから。
上手に誤魔化せばいいのに今日も泊まりたいなんて許可を取った私。
でもあの話の流れでは誤魔化せない。
じゃあ、これから先、クリスマスは?年末年始は?
うちにいない時はあそこにいるって、バレバレで。
いままで家族で過ごしてきた大切な時が形が変わるということ。
お父さん、寂しがるかな?
普段任せっきりだから大掃除はきちんと手伝いもしたいし。
まさか『年末年始くらい静かに過ごしたい』なんて言わないよね、近藤さん。
うん、それは言わないだろう。
せめて我慢してくれるだろう。
・・・我慢って何? 1人で突っ込む。
うちが見えてきた。大きく息を吸って玄関を開けて声をかける。
「ただいま。」
「おかえりなさい。」
奥からお母さんの声がして足音も聞こえてくる。
ちょっと緊張してその場に立ったまま。
「何してるの?着替える?お風呂は?お腹空いてない?」
「お風呂入る。」着替えたい。
「食事してきたからお腹は空いてない。」
「じゃあ、お茶でもしましょう。」
怒られる気配はない。良かった。
「お父さんは?」
恐々と事情聴取が何人制か聞いてみた。
「ちょっと本屋あたりまで散歩してくるって出て行った。」
じゃあ今の内に告白は済ませたい。
急いで着替えを持ってお風呂に入り、あっという間にリビングにたどり着く。
急いで、ざっとだけシャワーだけ。
だって、さっき入ったばっかりだし。
それでも自宅だと落ち着いてのんびりできる。
目のまえに置かれた紅茶にミルクを入れて吹きながら飲む。
「で、どうだった?」
「ど、ど、どうって・・・何が?」
思わず声が裏返る。
「ずっと好きだったって言えたんでしょう。」
「うん。あんまり向き合って話もしてくれないし、夏に彼女と別れてたのにクリスマスの予定を聞いても彼女と過ごすって否定しないから、むかついて逆切れして怒りながら告白した。」
「あらまあ、なんと。もっとロマンティックにできないのかしらねえ?」
「だって、本当に全然分かってないんだもん。」
「それで、向こうは何て。」
「好きでもない奴を何度も泊めないって。他には一切誰も泊めたことないんだからって。手を出さないようにあえて距離を取ってたって。謝られた。」
「あらあら。やっぱり優しかったんじゃない?」
「うん、皆にばれてた。皆が上手くいくからって応援してくれて。」
「良かったわね。」
「うん。」
紅茶を飲む。お母さんと2人しばらく沈黙。
「ねえ、これからもう1度行きたいの。ちゃんと明日帰ってくるから。嘘はつかない。泊まる時はちゃんと泊まるっていうから。もう1回行きたいの。どうしてもダメなの?お父さんがダメって言ってるの?」
「さすがにお父さんには何も言ってないわよ。少しずつね。全部知ったら悲しくて引きこもるかもよ。茜が大人になるのを本当に嫌がるから。」
「そんな・・・・・。」
「だって今日いいって言ったら、毎週行くでしょう?お父さん寂しがるし、週末くらい家族で過ごす時間も欲しいから。」
「・・・・はい。」
やっぱりダメでした。
無理するなっていう声と優しい顔が思い浮かぶ。
「そんな顔をされると辛いわね。茜が一番気にしてたことは聞いてみたの?」
「何?」
「人を好きにならない冷たい人だって言ってたじゃない。」
「・・・うん、今までそうだったって。でも今回は違うって。半年も片思いしてきたんだから信じろって。」
「そう。」
静かに紅茶を飲む。
「はぁ、そんなうれしい報告なのに悲しい顔して。じゃあ、いいわよ。お父さんと少し話をして相手をしてあげたら出かけてもいいわよ。でも明日も夕方には帰って来てね。夕ご飯は一緒に食べること。お父さんには言っておくから。あんまりうれしそうな顔して行かないでね。」
「・・・・うん。ありがとう。」
「もし今後も毎週泊まるつもりなら、ちゃんと一度会っておきたいから。そういうつもりでね。」
「・・・・うん。」
「着替えてお父さんを迎えに行ってくる。」
苦笑いのお母さんの笑顔に見送られて家を出る。
少し歩いていくとお父さんがのんびりと歩いてくるのが見えた。
「お父さん、お帰りなさい。」
「茜もお帰り。おつかいか?」
「ううん。お父さんを迎えに来たついでに散歩。」
「そうか、ちょっと歩くか?」
「うん。」
腕を組んで二人でぶらぶらと歩く。
「お父さん何買ったの?」
「写真集。虫の写真集。」
「見たくない。どうせ変な虫でしょう?」
「かわいい昆虫たちだよ。小さい頃は一緒に庭で眺めてくれたのになあ。」
「随分昔でしょう。猫とか犬とか、せめて動物園で可愛がられる動物なら一緒に見るけど。」
「差別はいかんぞ。」
「お母さんも見ないと思うよ。」
「そうだな。」
笑いながら、さほど残念そうにも見えない。
諦めてるのだろう。私と眺める事も諦めて欲しい。
「なあ、茜。最近いいことあったか?」
「・・・・何?例えば?」
「綺麗になったし、今日はにこにこしてる。お母さんには言えてもお父さんに言えないってことは、そういうことだろう。」
そんなに敏感だった?油断してた。
さすが虫の観察が大好きなだけはある。
わかり易い私なんて心が丸丸と丸わかりの浅い女だ。
娘だし、20年以上観察し続けられてるようなものだし。
「怒らない?」
「茜にとっていい事なら怒らない。でも一緒に喜べるかどうかは分からない。」
「ずっと好きだった人がいて昨日告白できたの。やっと。」
「そうか。・・・・茜も大人になったな。」
・・・・そう大人にはなった、いろいろと。
それ以上は言えない。
この流れで今夜も出かけるなんてあからさま過ぎて言えないし。
でも夕飯食べてると遅くなる。
「お父さんみたいな人が理想だったの。」
「そりゃあ、お父さん冥利に尽きるなあ。で?」
「同期の子はそういうの、私が言う理想のタイプには当てはまるじゃないって。」
「それは、複雑だ。」
困った顔をしてるお父さん。
「お母さんが会いたがってる。写真は見せたことがあるけど。」
本当に貴重な一枚だけの写真。
「ねえ、そう言ったら男の人はどう思う。責任感じて嫌だなって思わない?」
昨日の今日なのに・・・言い出しにくい。無理。
「人によるよ。ちゃんと大切に思っててくれてるなら緊張はするけど嫌だとは言わないかもしれないけど。人見知りとか、楽天的とか、性格にもよるしな。」
「・・・・・そうかな・・・。」
遠くに家が見えてきた。あと少し。
「お父さんは会いたい?」
「どうだろう。男としては会いたいけど、父親としては会いたくない。」
「ん?何それ?」
「ライバルをやり込めたい、でも勝ち目はなさそうで。」
「そんなことないよ。」
そうは言ってもどっちが大切か、今はまだ、・・・お父さん。
どっちが好きか、それは近藤さん?
お父さんだってお母さんの方が好きだと思う。
私の事は大切でもね。
そう、あいこ。1人に1人だから、欲張らない。
「茜、今から出かけるのか?」
「う、うん。夕方になったら出かけようかなあって思ってる。」
「そうか。」
やっぱりお父さんにも隠せない。
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