精一杯背伸びしたら視界に入りますか?

羽月☆

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33 許された外泊

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夕方まで家にいてこっちに来ると連絡があった。
明るく嬉しそうにメールしてきたところを見ると、さほど怒られたりはしなかったのだろうか?
無理はするなと言っていたのだが。
部屋の掃除をして食材を買いに行く。
さすがに食べるものが何もないと、彼女の腹の虫が非常事態アラームを鳴らす。

ああ、らしくない。すべてが自分らしくない。
でも嫌いじゃない、自分。

そういえば夏に紹介された姉の彼氏の件はどうなったのだろうか?
あんな傍若無人を地で生きる姉に耐えられるなんて奇特な人だ。
見るからに尻に敷かれそうだったが。
しかも年下という。俺と同じ年。

絶対、未来永劫逆らえないのに。
分かってるのだろうか?
それもご縁ということだろうか、その一言でまとめるには気の毒だが。

『礼儀正しくて、きっちりしていて、思いやりがある人』というあり得ない形容詞で姉を褒めた。
長い間姉弟として近くにいたがそんな形容詞のかけらさえ感じたことがないぞ。
驚いた自分を刺すような目で見た姉。

ただただ、恐ろしかった。
余計な事は言えず、大人しくその場にいた。


乾燥機が終わりを告げて止まる。
シーツ類は少しの間外にも干しておく。

いつも一人で何をしてたんだったか?
急に時間が空いた気がした。手持ち無沙汰な感覚。


早く来ないかなと外を見ながら思う。
夕方とは何時なんだ?
昨日からの自分に慣れなくて、すでに疲れ始めていた。


夕方、駅に着いたとメールがいきなり来た。
『もう歩いて向かってるから、迎えはいらないですよ。』
そう言われて大人しく部屋で待った。

時間を見て玄関で待っていたために、オートロックの解除のためにリビングまでダッシュしたという無駄な一往復があったのは内緒だ。

玄関で迎えた時、思わず抱きしめずにはいられなかった。

「お帰り。」

抱きしめた手はさすがにすぐに緩めた。

「あっと、ただいま。お邪魔します。」

「これお母さんが夕食にって。」

リビングで大きなタッパーに入った肉じゃがを渡された。

「うまそうだな。茜は食べたのか?」

「いいえ、食べてないです。まだお腹空いてなかったし。」

「あとで食べよう。・・・それにしてもよく許してくれたな。」

「お父さんと一緒に過ごして、相手をしてからにしなさいって言われて、一緒に散歩してお茶飲んで。写真集見せられて。」

「何だ、写真集って。」

「今日手に入れた昆虫の写真集。嬉しそうに説明されて全ページ付き合ったんです。分厚い写真集じゃなくて良かったです。」

昆虫?

「お父さんはそんな方面の仕事をしてるんだったのか?」

「全然です。趣味です。今日はカメムシ特集でしたが、他にもいろいろ生き物全般が好きなんです。」

うれしそうに子供の顔で笑う。

「明日、夕食は家族そろって食べるから夕方には帰って来なさいって言われました。でもお母さんがすごくうれしそうでした。お父さんも大人になったなって。」


うっ、何でそんなに筒抜けの家族なんだ。
大人になったって、そういう意味じゃないだろうけど。
可愛い娘だと心配だろう。紹介された方がいいのか?
今までの彼氏はどうしてたかと聞きたいところだが、いかんとも初めてだと分かってるだけに聞けない。
あっさり会いたがる親もいるけどそうでないパターンもあり。


「なあ、変な意味じゃないんだが、一言挨拶したほうがいいのか?そういうタイプのご両親かな?」

探るように聞いた。

「・・・・今まではどうしてたんですか?彼女を紹介するタイプ・・・・じゃなさそうですが。相手の親に紹介されてましたか?」

「いや、それほど深い付き合いもしないタイプだから。どっちもない。でも茜のところは仲がいいから、そう言われたら俺はいつでも行くつもりでいるから。上司だし、ちゃんと挨拶したいし。」

しばらくじっと見られた後うつむかれた。

「実はお母さんに言われてます。毎週泊まりに行くつもりならちゃんと会わせなさいって。お父さんに相談したら、嫌がる男の人もいるけど性格にもよるしって。その・・・・、どうしたら・・・。」

「勿論会いにいくよ。紹介して欲しい、是非。そして本当は毎週泊まってほしい、一緒にいて欲しい。でもそれは時々でいい。仲がいいのは分かってるからお父さんにもお母さんにも恨まれそうだ。でも昼間のデートはしような。」

うつむいて見せられてる天辺を撫でる。
顔を上げたので見ると泣いていた。

「何だ?」

泣くか?
別に普通の挨拶でいいんだよな。
大丈夫か?一抹の不安が・・・・。

「うれしくて。あの、本当にいいんですか?あの、・・・会うだけで・・・大丈夫です。」

そう聞くとひとまず安心はするが。
親はどうなんだ?初めて連れてくる彼氏にどこまで期待するんだろう。
あんまりかしこまらない感じでお付き合いの挨拶だけでいいんだよな?

悲しいが、今相談したい相手として思い浮かぶのは高田の顔だけだ。
報告も兼ねて聞いてみよう。
あくまでも参考意見としてだ。


「なんか緊張してきた。」

「大丈夫です。二人とも優しいです。」

嬉しそうに彼女は言うが。

「茜には優しいだろうが。特にお父さんの目が怖いぞ。」

「絶対大丈夫です。」

強く言うがそれに続く根拠は披露されず。

「そうか。」

それからタッパーの肉じゃがを温めて食事をした。
お風呂に入りくつろいで。
ソファに並んでくっつく。

「なあ、今まで好きになった奴はいたんだろう?」

「・・・・いたかなあ・・・いないような・・・。」

「本当にか?かっこいい奴とか面白い奴とか。クラスメートでも先輩でも。大学の時に泊った仲間の中に1人くらいいなかったのか?」

「う~ん、いないと思います。」

「じゃあ、アイドルとか、俳優とかは?誰が好きなんだ?もしかしてアニメか?」

「やっぱり特には。」

そう言われると俺も特には芸能人にはいないが、それでも適当ながら異性との交遊はあったのに。適当過ぎるくらいの適当だが。そこそこほどほどに。


「茜、すごく変なことを聞くが・・・・そのベッドですることの知識はどこから得たんだ?友達か?」

「・・・・何でそんなこと聞くんですか?」

真っ赤になって体を離された。

「一応、確認。なんだか想像できなくて。」

「黙秘します。」

口をきつく結んでそっぽを向くという文字通りのような反応。

「悪かったから。ごめん。ほら・・・、あんまり知らなすぎて、がっついてる俺が変だと思われたら嫌だと思って、一応聞いただけで。深い意味はないから、軽く聞いてしまったんだ。」

「・・・・・。」

「悪かった。なあ、茜。さっきのは忘れていいから。」

「・・・・。」


ふぅ、しまった。
そういえば今までも時々無言になって機嫌悪くなってたんだ。
思い出した。

今まで何が悪かったか分からないことも多かったが、今回ははっきりしてる。
しばらくは続きそうだ。

こういう時は何を言うべきなのか。これも高田に聞いてみよう。
普段の言葉が軽い奴はすぐに冗談にできていいよな。
ちょっと離れた隣を見下ろす。相変わらず向こうを向いたまま。
不用意に触るのも躊躇われるが。
まさか明日までこのままとかはないだろうが、果たしてどうしたら機嫌を直してくれるのか?

とりあえず謝る。

「茜、ごめん。デリケートなことをずけずけ聞いてデリカシーないよな。反省してるから、もう聞かないから。このままじゃあ、せっかく二人でいても時間がもったいないから。機嫌を直してくれないか?」

それでもこっちは見てくれない。

「知りません。ほとんど知りません。だって肝心の事は映像にも絵にも映らないし、描かれないじゃないですか。だから詳しくは知らないのに。だから・・・・分からないって最初に言ったじゃないですか。」

「悪かった。ごめん。」

頭に手を乗せて撫でる。
ヒヨコの夢を見て目覚めた朝から、とにかくその手触りが気に入っている。
そんなにあのヒヨコに思い入れがあったわけじゃないが、自分でも不思議だが触ると思い出してしまう。
今の可愛いままで・・・・という思いが重なるのか?
なんて思って撫でてたらやっと近くに寄ってくれた。


「ごめん。」

頭にキスをするついでに肩を少し引き寄せる。

「茜、嫌だったら嫌だって言ってくれていいから、無理しなくていいから。それと玄関でのことは本当に反省してるから。ちょっと自分でもおかしいと思ったし。自分でも恥ずかしいくらいに抑えられなくて。」

ゆっくり首を振ったのか、微妙な反応があった。

「あと高田の事だけど、あんまり近づくな。茜の事だから乗せられてボロっと言いそうだしな。」

「そんな・・・私、気を付けます。会社では普通に、出来るだけ。」

「無理だよ、みんな知ってるし。」

「ただ高田は敢えて俺の前でも茜に触ってきそうだから、距離を取ること、俺と一緒の時は俺の方に来ること。勿論他の男の場合もだぞ。」

「大丈夫ですよ。今までだって喋ったのは谷垣君くらいです。」

「誘われたら絶対断れよ。」

「勿論ですよ、もう、そんな心配ないですから。」

そう軽く言われた。

最初の悪目立ちもあって最近の変化も見られてるのに。
まったくのん気だ。

「茜は料理はできるのか?おせちの手伝いするって言ってたよな?」

「うっ。」

わかり易く声を詰まらせる。その後に勿論です!!なんて続くわけもなく。

「また黙秘か?」

そう言って揶揄う。

「ちゃんとできる様にします。」

「いや、別に食材買っても俺もほとんどしないし。ただ、高らかに冬休みの予定の中に入ってたから、もしかしたら見かけより女子力が高いのかと思っただけだ。見かけ通りで・・・、違う意味で安心した。やっぱり裏切らないな。」

「絶対うまくなってやります。そしたら披露しますので。待っててください。」

「俺の歯のあるうちに頼む。」

「ん?・・・・・なんでそんな先だと思ってるんですか。」

ちょっとムッとされたが可愛いから許す。
何度も見てきた顔だ。

「だって洗濯とか掃除とかも、ほとんどしたことがないんだろう?」

「それは・・・・うちではしませんが・・・・。出来ます。普通にできます。年末は大掃除も手伝ってます。」

「甘やかされて可愛がられて育ってるのがよくわかるな。」

「お母さんが器用なんです。そして私が少し不器用で。」

「うん、美味しかったな、肉じゃが。お礼言っといてくれよな。」

「はい。喜びます。近藤さんが来るって言ったら、きっとお母さん張り切って作りますよ。」

「きっと緊張して味わえない。」

想像するだけで緊張するし。

「近藤さんが緊張したところなんて見たことないです。」

「同じことを言うぞ。茜も滅多に緊張しないだろう。なんせ上司が担当の新人研修で思いっきり寝てたもんな。」

「そんな古い話をするんですか?だってすごく心地いい声でスピードとかも。自然に瞼が落ちてきたんです。」

「やっぱり緊張してないじゃないか。普通寝ないぞ。手の甲をつねっても起きてるもんだぞ。ほとんど寝てたよな。」

否定は出来ないだろう。
あの時、こんな風になると誰が思った?

「すみませんしでした。でもちゃんと一対一の指導の週は緊張してました。緊張しすぎて、いっぱい破損伝票を書きました。あの頃本当は呆れてましたよね?こんな奴いらないって思いませんでしたか?鬼頭君と若菜ちゃん、二人もいたし。」

「ああ、呆れてた。大体なんで俺の指導の週だけあんなに破壊活動したんだ?翌週の成井の週は静かだったんだよな。嫌がらせかと思ったぞ。」

「だから緊張してたんですって。」

「そんなに俺は怖かったか?優しく教えてたつもりだぞ。」

「それは、そうですけど。だって、・・・もういいじゃないですか。過ぎたことです。緊張してたんです!」

「ちょっと傷つく言い方だなあ。」

「だって電源に引っ掛かって実験をダメにした時なんてすごく怒りましたよね。全然私の方を見ないで出ていったじゃないですか。」

「・・・・すまない。現実が受け入れられなかったんだ。逃避してしまっただけだよ。茜に怒ってるつもりはなかった。あれは不幸な偶然が重なっただけだし。他の誰でもやらかす可能性はあったから。でも、ちょっと余裕がなくて悪かったな。本当に怒ってはいなかったよ。がっかりはしたけど。」

頭に手を置き顔を近づけて言う。
顔を見ると変わってるようだけどやっぱりあの頃の大きな目をした顔があった。
仕事以外では眼鏡をしなくなっている。
それだけで目が良く見えて、印象が違う。

大きな目と切りそろえられた前髪と。
変わってはいないのに・・・・。

「やっぱり、変わってないな。あの頃もこんなに可愛かったのか?」

思わず抱きしめてしまった。

最初から高田は可愛いと言っていた。
やっぱり奴の方が女子の見分けが上手い。
最初に部屋に泊めた時にスッピンにメガネを外した姿をみて目が大きいんだとは思った。ぶかぶかのサイズのジャケットや白衣で見えてなかったが自分の貸した服の上からでも思ったより細いし、でも胸は大きいんだなとちょっとは思った。

深く考える前に酔っぱらってしまったのかもしれないが。
あの頃、どう思ってたのかは分からない。
一緒に泊りがけで実験のやり直しをして距離が近くなり。いつの間にか。

今触れてる体は確実にあの頃より細くなっている。

「そういえば坂井が食欲がないって言ってたけど。どうかしたのか?やっぱり痩せたみたいだけど。」

心配して聞いたのに呆れた顔をされた。
まさか自分の方が茜にこんな顔をされる日が来るとは。

「もう、近藤さんってさっきからどんだけ鈍いんですか?ずっと言ってたのに。」

「何をだ?」

もう、と言いながら口を開こうとしたがまた閉じた。

「近藤さんとの週だけ緊張がひどかったのも、ずっと一人で悩んでて食欲なかったのも分かるじゃないですか!」

「だから、何か心配事があるなら・・・・。」

「そうやって近藤さんが鈍いから私がずっと悩んでたんです。もっと早く彼女と別れたことも教えてくれて、飲んだ後もうちに来いって言ってくれればもっと悩みは早く解決しました。」

開いていた距離がゆっくり縮まり自分の胸に両手とおでこをつける。
さすがに謎が解けたと思う。
・・・・たしかに呆れられても仕方ない。気がつかないのは自分ばかりだったのか。
自分の気持ちにも、茜の気持ちにも。

本当に正解でいいんだよな?

さすがにそう聞き返すことはしなかった。

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