内緒にしていた視線の先にいる人。

羽月☆

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6 卒業式翌日、頼りにされた委員長の自分。

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昨日で高校生活も終わり、大学も決まって、後は何もない自由な日。

それでも昨日からすごく頑張った。
幼馴染の奥手のあいつのために。

学校でも最後の日なのに初めてたくさん話しかけて、冗談のように話をし続けて。

もしかしてあんまり話しすぎて怒られるんじゃないかと思ったけど、悔しかったら夕方自分でももっと話しをしたいって思うだろう。
そう思って話しかけた。


急に自分が話しかけて、彼女は明らかにびっくりしてたけど。

聞きたいことは一つだけだった。

女子友とケーキタイムを過ごしてから家に帰る予定らしい。
二時間はかかるんじゃないかと思う。

とりあえず一緒に彼女の駅に行ってあげた。
改札も二人で見てれば見過ごさないだろう。
そう言ったのに、携帯も見ずにずっと改札を見てる。
トイレにも行ってない。

でもさすがに疲れる。
コーヒー一杯で途中自分はトイレにも行った。
お店には迷惑だったかもしれない。
一応一時間ちょっとが過ぎてからは外に出て、店の前のブロックに座ってた。

やはり二時間以上は楽しんだらしい。
外で待ち始めて一時間ちょっと。やっと帰ってきてくれた。

助かった~、撤収撤収、自分は撤収する。


コーヒーを片付けてあげて、背中を叩いて見送った。


何かいい報告が聞けるだろうか?
図書室で二人で数学の宿題をやっていたのは知ってる。
自分に聞かずに彼女のところに喜んで行くんだから。

いいんじゃないかって思った。

友達の告白に付き添いで来たって残念そうに言っていた。
多分来生さんのことだろう。そう確信してる。

『それは頼まれて断れなかったんだろう。いつも隣にいたし、仲良かったんだよ。それにあのグループの中じゃあ一番信頼できそう、口も堅そうだし。』

そう言っても否定もされなかったから、一緒に来たのは来生さんだったんだろう。

変な同情も、慰めも、他言もしなそうな、いい人選だと思う。
ただあいつの気持ちにチラとも気がついてなかったのは可哀想だけど。
その日も偶然を装って会いに行ったらしい。

「『好きな人がいる。』って彼女の前で言ったんだ。」

断る理由にそれを言ったのは正直だ。
下手したら女子の友情を破壊する可能性もある。
それでももう卒業だし。当の本人は遠くの大学に行くらしい。
どうせ告白を受け入れてもらえても、いきなりの遠距離だったんだ・・・・。
だったらもっと早くに・・・そうは思い切れなかったんだろう。
ほんとに最後の最後に告白する勇気を出したんだろう。
ただよくあいつの近くにいたと思う。分かりやすいくらいに。

なんとなく照れながら話をしてる感じがあった。
周りの友達も皆、あの子の気持ちには気がついてたんじゃないだろうか?
あいつが気がついてなかったのが不思議なくらいだ。

気がついてても応えてあげることなんてなかっただろうから、あえて気がつかないふりだったのかもしれない。
難しい・・・。よくある事だろうか?

周りにいて、遠くから見て、気がつくこともある、そういうことだろう。



そして結局一緒に待った時間もあんまり実りがなかったらしい。
寧ろ誤解されたかもしれないって言ってたし、完全にダメそうな会話もしたようだ。

それでも、あと一度だけ協力する。
自分の見たところでは彼女だってそれなりに好意を持ってくれてると思う・・・と言い切りたいけど、どうだろう?

同窓会用の名簿なのに、すぐに役に立った。
自宅に電話をしてランチに誘った。


もう出来ることはこれくらいだ。
さあ、後は自分で何とかしろ!


絶対うまく行くと思う、そう信じて、ドタキャンの連絡をして、あとは静かに部屋で過ごした。

妹は元気に学校に行ってる。
病院に連れて行く予定はない!




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