2 / 20
第一章:冷徹な夫との新婚生活
毎晩の誘いと拒絶されるエミール
しおりを挟む
結婚式から一週間が過ぎた夜、僕は鏡の前に立って自分の姿を見つめていた。薄い絹でできた夜着が身体に纏わりつき、素肌が透けて見える。
胸の輪郭も、腰の線も、全てが透けている恥ずかしい格好だ。髪を梳かし、首筋に香油を塗る。甘い香りが鼻をつく。
鏡の中の自分は、まるで娼婦のように見えた。頬が紅潮し、瞳は潤んでいる。夜着の下には何も身につけておらず、少し動くだけで肌が露わになる。こんな格好で屋敷の廊下を歩くなど、恥ずかしくて発狂したくなる。
深く息を吸い込み、部屋の扉を開けた。廊下には蝋燭の明かりが灯り、長い影を作っている。足音を忍ばせて歩き始めると、曲がり角の向こうから使用人たちの声が聞こえてきた。
「また今夜もあのオメガ、旦那様の部屋に行くのかしら」
「あんなハシタナイ恰好で、屋敷内を歩くなんて下品だわ」
「見てられないわよね。オメガに恥じらいなんてないのかしら」
ひそひそと囁き合う声が耳に届き、胸が締め付けられた。
(そんなこと、わかってる)
恥ずかしいに決まっている。こんな格好で夜ごと夫の部屋を訪ねるなど、羞恥心で気が狂いそうだ。いやらしい格好で屋敷内を歩くオメガとして、僕の奇行は屋敷中に広まっているだろう。使用人たちは皆、僕を嘲笑っている。
それでも、僕には選択肢がない。
(これしか方法を知らないし――)
レオニードの部屋の前に立ち、手を伸ばしてノックする。コンコンと扉を叩く音が、静かな廊下に響いた。返事はない。もう一度ノックすると、中から低い声が聞こえてきた。
「入れ」
扉を開けると、部屋の中には暖炉の火だけが灯っていた。炎が揺れるたびに、影が壁を這う。レオニードは窓辺に立っていて、シャツを脱いでいる途中だった。広い背中に、筋肉の起伏。戦士らしく、傷跡がいくつか残っている。
僕の姿を見て、顔を歪ませる。眉間に皺を寄せ、明らかに不快そうな表情を浮かべた。
「またか」
呆れたような、冷たい声だった。
「あの……今夜こそ、お願いします」
声が震えた。レオニードは脱いだシャツを椅子に投げ捨て、僕に近づいてくる。大きな身体が近づくたびに、威圧感が増していく。
「何度も来ても同じだ。出ていけ」
冷たい声が耳朶を打ち、身体が震えた。レオニードが僕の夜着の襟元を掴み、引っ張った。
「っ……!」
身体がよろめき、足が宙に浮く。荒々しく引きずられるように廊下へと押し出され、勢いあまって石の床に倒れ込んだ。手のひらが床に叩きつけられ、鋭い痛みが走る。膝も打ち、身体中が痛んだ。
何かが顔に投げつけられ、視界が遮られる。レオニードのガウンだった。黒い布が僕の身体を覆い、バニラと木の香りが鼻をつく。
「さっさと部屋に戻れ」
上から冷たく見下ろす声が響き、扉が閉まる音がした。バタンという大きな音が廊下に響き渡り、僕は床に倒れたまま動けなかった。
曲がり角から、くすくすと笑い声が聞こえてくる。
「ほら、やっぱり追い返されたわ」
「追い返されるに決まってるじゃない」
「恥ずかしくないのかしら? 普通、一回拒絶されればわかるのにね」
「オメガのくせに、みっともない」
使用人たちの嘲笑が耳に突き刺さり、涙が溢れそうになった。ガウンを握りしめ、身体を起こす。膝が痛み、手のひらが擦り剥けている。夜着は乱れ、肌が露わになっていた。
ガウンを身体に巻きつけ、よろよろと立ち上がる。使用人たちは僕の姿を見て、また笑いながら立ち去っていった。背中に視線が突き刺さり、胸が苦しくなる。
(恥ずかしいに決まってる)
心の中で呟きながら、自分の部屋へと向かった。足を引きずるように歩き、扉を開けて中に入る。扉を閉め、鍵をかけると、その場に崩れ落ちた。
床に座り込み、膝を抱える。涙が溢れてきて、止まらなくなった。顔を膝に埋め、声を殺して泣いた。
拒絶されている。
(それでも、行かなければいけないんだ)
結婚式の夜、僕は自分の部屋で夫が訪ねてくるのを待っていた。ベッドに座り、時計の針が進む音を聞きながら、じっと待ち続けた。九時を過ぎ、十時を過ぎ、十一時になっても誰も来なかった。結局、その日は来てくれなかった。
翌朝、僕は意を決してレオニードの部屋を訪ねた。来てくれないのなら、僕から行くしかない。
ノックをして、中に入るとレオニードは書類を読んでいて、僕の姿を見ても顔を上げなかった。
(僕の父上と一緒だ)
目も合わせてくれない。
「あの……昨夜は……」
言葉を続けようとすると、レオニードは書類から目を離さずに言った。
「用がないなら出ていけ」
冷たい声に、胸が締め付けられた。
「でも、夫婦なのに……」
「夫婦?」
レオニードは初めて顔を上げ、冷たい瞳で僕を見つめた。
「お前を抱く気はない。勘違いするな」
はっきりと拒絶の言葉を突きつけられ、息が止まりそうになった。
「出ていけ」
レオニードの命令に、僕は部屋を出るしかなかった。扉が背後で閉まり、廊下に一人取り残される。
それから毎晩、僕はレオニードの部屋を訪ねている。メイドが用意してくれた、素肌の透ける夜着を纏って。色香を漂わせ、甘い香油を身につける。
使用人たちの冷たい視線を浴びながら、彼の部屋の扉を叩き続けていた。
床に座り込んだまま、僕は手のひらを見つめた。擦り剥けた肌から、少し血が滲んでいる。痛みが鈍く響き、身体中が疲れ果てていた。
(年齢的にも、もうラストチャンスなんだ)
僕は二十五歳。
妊娠できる可能性は日に日に低くなっていく。医学の書物に書いてあった記録では、初産の最高齢は二十八歳。つまり、僕にはあと三年しか残されていない。今回の結婚が失敗すれば、もう次と思う。
父にも「今度こそ失敗するな」と言われている。失敗すれば、僕には何の価値もなくなる。
子どもが産めなくなったオメガなど、父にとったら不必要なゴミと一緒だ。今はまだ政治的に利用価値が残されているから、必死に四人目となる結婚相手を見つけてくれた。
(子どもがほしい。自分の子を抱きたい)
それが僕の唯一の願い。温かい家族がほしい。愛する存在がほしい。
レオニードが僕を愛していないのはわかっている。冷たい眼差し、拒絶の言葉。どれを取っても、好意があるとは思えない。
それでも、子どもさえ授かることができれば、僕には生きる意味ができる。
立ち上がり、ベッドへと向かった。身体を横たえ、天井を見つめる。暖炉の火が揺れ、影が天井を這っている。
(明日も、また行こう。明後日も、その次も)
諦めるわけにはいかない。
自分に言い聞かせるように、心の中で繰り返した。涙は乾き、ただ虚無感だけが残る。窓の外では風が吹き、木々が揺れる音が聞こえていた。
(いつか、きっと――)
そう願いながら、僕は目を閉じた。長い、長い夜が、静かに過ぎていく。
胸の輪郭も、腰の線も、全てが透けている恥ずかしい格好だ。髪を梳かし、首筋に香油を塗る。甘い香りが鼻をつく。
鏡の中の自分は、まるで娼婦のように見えた。頬が紅潮し、瞳は潤んでいる。夜着の下には何も身につけておらず、少し動くだけで肌が露わになる。こんな格好で屋敷の廊下を歩くなど、恥ずかしくて発狂したくなる。
深く息を吸い込み、部屋の扉を開けた。廊下には蝋燭の明かりが灯り、長い影を作っている。足音を忍ばせて歩き始めると、曲がり角の向こうから使用人たちの声が聞こえてきた。
「また今夜もあのオメガ、旦那様の部屋に行くのかしら」
「あんなハシタナイ恰好で、屋敷内を歩くなんて下品だわ」
「見てられないわよね。オメガに恥じらいなんてないのかしら」
ひそひそと囁き合う声が耳に届き、胸が締め付けられた。
(そんなこと、わかってる)
恥ずかしいに決まっている。こんな格好で夜ごと夫の部屋を訪ねるなど、羞恥心で気が狂いそうだ。いやらしい格好で屋敷内を歩くオメガとして、僕の奇行は屋敷中に広まっているだろう。使用人たちは皆、僕を嘲笑っている。
それでも、僕には選択肢がない。
(これしか方法を知らないし――)
レオニードの部屋の前に立ち、手を伸ばしてノックする。コンコンと扉を叩く音が、静かな廊下に響いた。返事はない。もう一度ノックすると、中から低い声が聞こえてきた。
「入れ」
扉を開けると、部屋の中には暖炉の火だけが灯っていた。炎が揺れるたびに、影が壁を這う。レオニードは窓辺に立っていて、シャツを脱いでいる途中だった。広い背中に、筋肉の起伏。戦士らしく、傷跡がいくつか残っている。
僕の姿を見て、顔を歪ませる。眉間に皺を寄せ、明らかに不快そうな表情を浮かべた。
「またか」
呆れたような、冷たい声だった。
「あの……今夜こそ、お願いします」
声が震えた。レオニードは脱いだシャツを椅子に投げ捨て、僕に近づいてくる。大きな身体が近づくたびに、威圧感が増していく。
「何度も来ても同じだ。出ていけ」
冷たい声が耳朶を打ち、身体が震えた。レオニードが僕の夜着の襟元を掴み、引っ張った。
「っ……!」
身体がよろめき、足が宙に浮く。荒々しく引きずられるように廊下へと押し出され、勢いあまって石の床に倒れ込んだ。手のひらが床に叩きつけられ、鋭い痛みが走る。膝も打ち、身体中が痛んだ。
何かが顔に投げつけられ、視界が遮られる。レオニードのガウンだった。黒い布が僕の身体を覆い、バニラと木の香りが鼻をつく。
「さっさと部屋に戻れ」
上から冷たく見下ろす声が響き、扉が閉まる音がした。バタンという大きな音が廊下に響き渡り、僕は床に倒れたまま動けなかった。
曲がり角から、くすくすと笑い声が聞こえてくる。
「ほら、やっぱり追い返されたわ」
「追い返されるに決まってるじゃない」
「恥ずかしくないのかしら? 普通、一回拒絶されればわかるのにね」
「オメガのくせに、みっともない」
使用人たちの嘲笑が耳に突き刺さり、涙が溢れそうになった。ガウンを握りしめ、身体を起こす。膝が痛み、手のひらが擦り剥けている。夜着は乱れ、肌が露わになっていた。
ガウンを身体に巻きつけ、よろよろと立ち上がる。使用人たちは僕の姿を見て、また笑いながら立ち去っていった。背中に視線が突き刺さり、胸が苦しくなる。
(恥ずかしいに決まってる)
心の中で呟きながら、自分の部屋へと向かった。足を引きずるように歩き、扉を開けて中に入る。扉を閉め、鍵をかけると、その場に崩れ落ちた。
床に座り込み、膝を抱える。涙が溢れてきて、止まらなくなった。顔を膝に埋め、声を殺して泣いた。
拒絶されている。
(それでも、行かなければいけないんだ)
結婚式の夜、僕は自分の部屋で夫が訪ねてくるのを待っていた。ベッドに座り、時計の針が進む音を聞きながら、じっと待ち続けた。九時を過ぎ、十時を過ぎ、十一時になっても誰も来なかった。結局、その日は来てくれなかった。
翌朝、僕は意を決してレオニードの部屋を訪ねた。来てくれないのなら、僕から行くしかない。
ノックをして、中に入るとレオニードは書類を読んでいて、僕の姿を見ても顔を上げなかった。
(僕の父上と一緒だ)
目も合わせてくれない。
「あの……昨夜は……」
言葉を続けようとすると、レオニードは書類から目を離さずに言った。
「用がないなら出ていけ」
冷たい声に、胸が締め付けられた。
「でも、夫婦なのに……」
「夫婦?」
レオニードは初めて顔を上げ、冷たい瞳で僕を見つめた。
「お前を抱く気はない。勘違いするな」
はっきりと拒絶の言葉を突きつけられ、息が止まりそうになった。
「出ていけ」
レオニードの命令に、僕は部屋を出るしかなかった。扉が背後で閉まり、廊下に一人取り残される。
それから毎晩、僕はレオニードの部屋を訪ねている。メイドが用意してくれた、素肌の透ける夜着を纏って。色香を漂わせ、甘い香油を身につける。
使用人たちの冷たい視線を浴びながら、彼の部屋の扉を叩き続けていた。
床に座り込んだまま、僕は手のひらを見つめた。擦り剥けた肌から、少し血が滲んでいる。痛みが鈍く響き、身体中が疲れ果てていた。
(年齢的にも、もうラストチャンスなんだ)
僕は二十五歳。
妊娠できる可能性は日に日に低くなっていく。医学の書物に書いてあった記録では、初産の最高齢は二十八歳。つまり、僕にはあと三年しか残されていない。今回の結婚が失敗すれば、もう次と思う。
父にも「今度こそ失敗するな」と言われている。失敗すれば、僕には何の価値もなくなる。
子どもが産めなくなったオメガなど、父にとったら不必要なゴミと一緒だ。今はまだ政治的に利用価値が残されているから、必死に四人目となる結婚相手を見つけてくれた。
(子どもがほしい。自分の子を抱きたい)
それが僕の唯一の願い。温かい家族がほしい。愛する存在がほしい。
レオニードが僕を愛していないのはわかっている。冷たい眼差し、拒絶の言葉。どれを取っても、好意があるとは思えない。
それでも、子どもさえ授かることができれば、僕には生きる意味ができる。
立ち上がり、ベッドへと向かった。身体を横たえ、天井を見つめる。暖炉の火が揺れ、影が天井を這っている。
(明日も、また行こう。明後日も、その次も)
諦めるわけにはいかない。
自分に言い聞かせるように、心の中で繰り返した。涙は乾き、ただ虚無感だけが残る。窓の外では風が吹き、木々が揺れる音が聞こえていた。
(いつか、きっと――)
そう願いながら、僕は目を閉じた。長い、長い夜が、静かに過ぎていく。
42
あなたにおすすめの小説
六年目の恋、もう一度手をつなぐ
高穂もか
BL
幼なじみで恋人のつむぎと渉は互いにオメガ・アルファの親公認のカップルだ。
順調な交際も六年目――最近の渉はデートもしないし、手もつながなくなった。
「もう、おればっかりが好きなんやろか?」
馴ればっかりの関係に、寂しさを覚えるつむぎ。
そのうえ、渉は二人の通う高校にやってきた美貌の転校生・沙也にかまってばかりで。他のオメガには、優しく甘く接する恋人にもやもやしてしまう。
嫉妬をしても、「友達なんやから面倒なこというなって」と笑われ、遂にはお泊りまでしたと聞き……
「そっちがその気なら、もういい!」
堪忍袋の緒が切れたつむぎは、別れを切り出す。すると、渉は意外な反応を……?
倦怠期を乗り越えて、もう一度恋をする。幼なじみオメガバースBLです♡
婚約破棄から50年後
あんど もあ
ファンタジー
王立学園の卒業パーティーで、王子が婚約者に婚約破棄を宣言した。王子は真に愛する女性と結ばれ、めでたしめでたし。
そして50年後、王子の孫の王子は、婚約破棄された女性の孫と婚約する事に。そこで明かされた婚約破棄の真実とは。
さようなら、お別れしましょう
椿蛍
恋愛
「紹介しよう。新しい妻だ」――夫が『新しい妻』を連れてきた。
妻に新しいも古いもありますか?
愛人を通り越して、突然、夫が連れてきたのは『妻』!?
私に興味のない夫は、邪魔な私を遠ざけた。
――つまり、別居。
夫と父に命を握られた【契約】で縛られた政略結婚。
――あなたにお礼を言いますわ。
【契約】を無効にする方法を探し出し、夫と父から自由になってみせる!
※他サイトにも掲載しております。
※表紙はお借りしたものです。
遡ったのは君だけじゃない。離縁状を置いて出ていった妻ーー始まりは、そこからだった。
沼野 花
恋愛
夫と子供たちに、選ばれなかったイネス。
すべてを愛人に奪われ、彼女は限界を迎え、屋敷を去る。
だが、その先に待っていたのは、救いではなかった。
イネスを襲った、取り返しのつかない出来事。
変わり果てた現実を前に、
夫はようやく、自分が何を失ったのかを思い知る。
深い後悔と悲しみに苛まれながら、
失ったイネスの心を取り戻そうとする夫。
しかし、彼女の心はすでに、外の世界へと向かっていた。
贖罪を背負いながらもイネスを求め続ける夫。
そして、母の心を知っていく子供たち。
イネスが求める愛とは、
そして、幸せとは――。
番解除した僕等の末路【完結済・短編】
藍生らぱん
BL
都市伝説だと思っていた「運命の番」に出逢った。
番になって数日後、「番解除」された事を悟った。
「番解除」されたΩは、二度と他のαと番になることができない。
けれど余命宣告を受けていた僕にとっては都合が良かった。
断る――――前にもそう言ったはずだ
鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」
結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。
周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。
けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。
他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。
(わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)
そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。
ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。
そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
夫には好きな相手がいるようです。愛されない僕は針と糸で未来を縫い直します。
伊織
BL
裕福な呉服屋の三男・桐生千尋(きりゅう ちひろ)は、行商人の家の次男・相馬誠一(そうま せいいち)と結婚した。
子どもの頃に憧れていた相手との結婚だったけれど、誠一はほとんど笑わず、冷たい態度ばかり。
ある日、千尋は誠一宛てに届いた女性からの恋文を見つけてしまう。
――自分はただ、家からの援助目当てで選ばれただけなのか?
失望と涙の中で、千尋は気づく。
「誠一に頼らず、自分の力で生きてみたい」
針と糸を手に、幼い頃から得意だった裁縫を活かして、少しずつ自分の居場所を築き始める。
やがて町の人々に必要とされ、笑顔を取り戻していく千尋。
そんな千尋を見て、誠一の心もまた揺れ始めて――。
涙から始まる、すれ違い夫婦の再生と恋の物語。
※本作は明治時代初期~中期をイメージしていますが、BL作品としての物語性を重視し、史実とは異なる設定や表現があります。
※誤字脱字などお気づきの点があるかもしれませんが、温かい目で読んでいただければ嬉しいです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる