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第三章
決着
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今なら分かる。完全に休憩不足だった。別に魔素はまだあるけど、一気に使いすぎた。49階の消耗がなかったら膝をついたりはしなかった。別にまだ負けたわけではない。だけど、何とも言えない、この屈辱感。
リス種のたしかガディアとかいってたっけ?体格は狼種になってる僕よりも、人間だった時よりも全然小さいのに、武器戦闘の実力も上、魔法も切り札まで完全に防がれた。
「どうしたんだい?起き上がれないのなら、一階まで帰宅するかい?」
「・・・まだだ。」
足に力を入れて立ち上がる。思い出せ、僕にはもう一つ試してないことがある。多分魔素の消耗はさっき以上になるだろうし、威力も出るかわからない。それでもやってみるしかない。まずはそのためにも突っ込む!
「ほう、立ち上がるだけじゃなく、向かってくるとはね!」
「サンダーバレット、ソード!」
「っ!ガロさんの真似事かい?」
「あぁ、そのとおりですよ!」
剣にサンダーバレットの礫をまとわりつかせて疑似的な雷装状態で剣を振りかざす。槍だけで受ければサンダーバレットが乱れうちするし、土の盾だけで受けようとすれば剣なら貫けるだろう。
「悪くない考えだだけど甘い!何のための盾と槍だと思う?土の盾!」
「え、嘘っ!?片手ずつ構えて!?」
左手で土の盾を作り、右手で槍を持ち僕の振りかざした剣を槍の先で受け止め、弾け乱れたサンダーバレットは土の盾を最小限に動かして自分に当たりそうなのを防ぎ切られた。
「まだだ、ホーミング、バレット!」
「そっちに集中してていいのかい?この剣、あまりいい出来のものじゃないだろ?」
「え?」
飛び散ったサンダーバレットをホーミング型に変えようとしていたら、急に剣を持つ手に強い衝撃が来る。そして確かに王都で買ったとはいえ僕の持ち金ではいいものは買えなかった。だからといって、あの体勢から、剣をへし折られるなんて思わなかった。
そのまま僕にやりが襲い掛かるかと、後ろに飛びのいたけど、明らかに剣を折った後は力を抜かれていた。今そのままの勢いがあったなら僕は腕輪を壊されて負けていた。腕輪がなかったなら、致命傷は避けれなかっただろう。
「さぁ、これで今の手段は使えなくなった。魔素もかなり消耗しただろ?まだ戦う意思はあるのかい?」
「ま、まだだ。」
「そうか、なら次の手も完ぺきに受け切って見せてあげよう。8属性の虹の盾とこの槍なら、今の君の技で防げないものはないだろうからね。」
手招きされるけど、今のも防がれたら正直どうしようもない。しかも剣はもう使い物にならない。ただでさえリーチ差があったのに、半分に折れたハンガーソードであの槍をさばききれるとは到底思えない。
何か手は、無いのかな。せめて僕が8属性以外の魔法を使えたなら、相手は8属性と言ってきた。もちろん魔素量で盾を突き破るくらいないといけないからそんなとっさな属性でそこまで威力を出せるかわからないけど。残りの魔素を全部使うくらいの勢いなら、いけるかもしれない。
ふと、折れた剣が目に入る。ガロに買ってもらった方のハンガーもマーシャルさん折られちゃったんだよね。いやなことを思い出しちゃったな。あれ、そういえば、マーシャルさんは闇魔法を使ってたよね?
最後に教えてもらった氷と風の魔法はちょっと見ただけでできるようになってた。もしかしたら、行けるのだろうか?いやな記憶だけど、つい昨日の話だ。あの深く暗いようなまとわりつく不快感のある闇の力を鮮明に覚えてる。
大きく息を吸う。手の先にガン用の魔素筒と発射用の爆魔法を用意する。筒の中に魔素を魔法に、闇の力に変換して、作ってきた弾丸の形になるように深く集中する。
「・・・何かしてくる気だね?まぁ言った手前止めないよ?受け切って見せよう。」
何か言ってきてたけど、何を言ったか聞こえてなかった。記憶にある闇魔法をイメージ、イメージ、とにかくイメージ。剣にまとわりついていたあの部分だけを弾丸の形に。とにかく多く、僕の中の魔素をありったけ弾丸に詰め込む。
ふと、なぜかリヴァイアサンと戦った時の記憶も思い出す。そういえばあの時もすっごい集中してたけど、確かトランス状態とか言うのになってすごい威力でサンダーガンが打てたっけ。今の状態は、少しあの時に似てるのかも。これなら、いける!
「ダーク、ガン!」
「闇、属性!?虹の盾、8枚!」
魔素筒の維持以外、ありったけの魔素を詰め込んだのもあって、魔素纏いも何もなくなって、発射の反動で僕は吹っ飛ぶ。吹っ飛びながら発射された闇の弾丸がガディアの出した8色8枚の盾を貫いていくのが見えた。
「うぐっ!」
魔素を使いすぎて体が思うよに動かなくて受け身もまともに取れず、床にたたきつけられる。完全にこれ以上の戦闘はできないな。これで決まらなかったら一階行き確定だ。そしてこれが決まらなかったら、多分溜め時間も考えて妨害にせよよけるにせよ簡単なことだ。次ってのはないだろう。
「・・・すごいな、まさかこの虹の盾を8枚砕いて、さらに致命傷レベルの威力。君の魔素保有量はどうなっているんだい?」
「すこし、トランス状態になっていたみたいです。」
「そうか、なるほど。それじゃ立ち上がれそうにないかな?」
「休まないと無理ですね。えっと、どうなるんですか?」
「大丈夫。言った通り致命傷レベルだった。腕輪が壊れたよ。君は我が主のいる50階に行く資格がある。動けるようになったら来るといい。待っているよ。」
なぜかすごい嬉しそうに軽やかなステップで上にと上がっていってしまったけど、なんでだったんだろう?一応僕が買ったんだよね?負けたっていうのに悔しいわけじゃない?というか、おいてかないで連れってくれてもいいと思うんだけど!
リス種のたしかガディアとかいってたっけ?体格は狼種になってる僕よりも、人間だった時よりも全然小さいのに、武器戦闘の実力も上、魔法も切り札まで完全に防がれた。
「どうしたんだい?起き上がれないのなら、一階まで帰宅するかい?」
「・・・まだだ。」
足に力を入れて立ち上がる。思い出せ、僕にはもう一つ試してないことがある。多分魔素の消耗はさっき以上になるだろうし、威力も出るかわからない。それでもやってみるしかない。まずはそのためにも突っ込む!
「ほう、立ち上がるだけじゃなく、向かってくるとはね!」
「サンダーバレット、ソード!」
「っ!ガロさんの真似事かい?」
「あぁ、そのとおりですよ!」
剣にサンダーバレットの礫をまとわりつかせて疑似的な雷装状態で剣を振りかざす。槍だけで受ければサンダーバレットが乱れうちするし、土の盾だけで受けようとすれば剣なら貫けるだろう。
「悪くない考えだだけど甘い!何のための盾と槍だと思う?土の盾!」
「え、嘘っ!?片手ずつ構えて!?」
左手で土の盾を作り、右手で槍を持ち僕の振りかざした剣を槍の先で受け止め、弾け乱れたサンダーバレットは土の盾を最小限に動かして自分に当たりそうなのを防ぎ切られた。
「まだだ、ホーミング、バレット!」
「そっちに集中してていいのかい?この剣、あまりいい出来のものじゃないだろ?」
「え?」
飛び散ったサンダーバレットをホーミング型に変えようとしていたら、急に剣を持つ手に強い衝撃が来る。そして確かに王都で買ったとはいえ僕の持ち金ではいいものは買えなかった。だからといって、あの体勢から、剣をへし折られるなんて思わなかった。
そのまま僕にやりが襲い掛かるかと、後ろに飛びのいたけど、明らかに剣を折った後は力を抜かれていた。今そのままの勢いがあったなら僕は腕輪を壊されて負けていた。腕輪がなかったなら、致命傷は避けれなかっただろう。
「さぁ、これで今の手段は使えなくなった。魔素もかなり消耗しただろ?まだ戦う意思はあるのかい?」
「ま、まだだ。」
「そうか、なら次の手も完ぺきに受け切って見せてあげよう。8属性の虹の盾とこの槍なら、今の君の技で防げないものはないだろうからね。」
手招きされるけど、今のも防がれたら正直どうしようもない。しかも剣はもう使い物にならない。ただでさえリーチ差があったのに、半分に折れたハンガーソードであの槍をさばききれるとは到底思えない。
何か手は、無いのかな。せめて僕が8属性以外の魔法を使えたなら、相手は8属性と言ってきた。もちろん魔素量で盾を突き破るくらいないといけないからそんなとっさな属性でそこまで威力を出せるかわからないけど。残りの魔素を全部使うくらいの勢いなら、いけるかもしれない。
ふと、折れた剣が目に入る。ガロに買ってもらった方のハンガーもマーシャルさん折られちゃったんだよね。いやなことを思い出しちゃったな。あれ、そういえば、マーシャルさんは闇魔法を使ってたよね?
最後に教えてもらった氷と風の魔法はちょっと見ただけでできるようになってた。もしかしたら、行けるのだろうか?いやな記憶だけど、つい昨日の話だ。あの深く暗いようなまとわりつく不快感のある闇の力を鮮明に覚えてる。
大きく息を吸う。手の先にガン用の魔素筒と発射用の爆魔法を用意する。筒の中に魔素を魔法に、闇の力に変換して、作ってきた弾丸の形になるように深く集中する。
「・・・何かしてくる気だね?まぁ言った手前止めないよ?受け切って見せよう。」
何か言ってきてたけど、何を言ったか聞こえてなかった。記憶にある闇魔法をイメージ、イメージ、とにかくイメージ。剣にまとわりついていたあの部分だけを弾丸の形に。とにかく多く、僕の中の魔素をありったけ弾丸に詰め込む。
ふと、なぜかリヴァイアサンと戦った時の記憶も思い出す。そういえばあの時もすっごい集中してたけど、確かトランス状態とか言うのになってすごい威力でサンダーガンが打てたっけ。今の状態は、少しあの時に似てるのかも。これなら、いける!
「ダーク、ガン!」
「闇、属性!?虹の盾、8枚!」
魔素筒の維持以外、ありったけの魔素を詰め込んだのもあって、魔素纏いも何もなくなって、発射の反動で僕は吹っ飛ぶ。吹っ飛びながら発射された闇の弾丸がガディアの出した8色8枚の盾を貫いていくのが見えた。
「うぐっ!」
魔素を使いすぎて体が思うよに動かなくて受け身もまともに取れず、床にたたきつけられる。完全にこれ以上の戦闘はできないな。これで決まらなかったら一階行き確定だ。そしてこれが決まらなかったら、多分溜め時間も考えて妨害にせよよけるにせよ簡単なことだ。次ってのはないだろう。
「・・・すごいな、まさかこの虹の盾を8枚砕いて、さらに致命傷レベルの威力。君の魔素保有量はどうなっているんだい?」
「すこし、トランス状態になっていたみたいです。」
「そうか、なるほど。それじゃ立ち上がれそうにないかな?」
「休まないと無理ですね。えっと、どうなるんですか?」
「大丈夫。言った通り致命傷レベルだった。腕輪が壊れたよ。君は我が主のいる50階に行く資格がある。動けるようになったら来るといい。待っているよ。」
なぜかすごい嬉しそうに軽やかなステップで上にと上がっていってしまったけど、なんでだったんだろう?一応僕が買ったんだよね?負けたっていうのに悔しいわけじゃない?というか、おいてかないで連れってくれてもいいと思うんだけど!
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