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2度目の断罪
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私は何を間違えたのでしょうか。
野盗に襲われ、消えゆくしかない自分の命の灯火に、涙がこぼれます。
私は10歳の年にフィリップ様と婚約することになりました。
フィリップ様は、夢の中と同じように、学園に入学して1年経った頃、男爵令嬢のエリアナ様と親しくされるようになりました。
私は、あの夢のせいか、素行のよろしくないご友人が出来ても、エリアナ様との距離が近くても、何も言うことができませんでした。
私は怖かったのです。
夢と同じように行動して、またあのようになってしまうのが。
何も言わない私に、フィリップ様は目の前で堂々とエリアナ様を抱き寄せ、見せつけるように愛を囁き、まるでエリアナ様が婚約者であるように振る舞われました。
私にはわかりません。
確かに、私とフィリップ様の婚約は王命で、私たちの意思は反映されません。
ですが、フィリップ様がどうしてもと望めば、他のご令嬢を婚約者にすることも絶対に出来ないわけではなかったはずです。
エリアナ様は男爵家のご令嬢ですから、フィリップ様のお妃様にすることは叶いません。
王家に嫁げるのは、公爵家か侯爵家の生まれであることが絶対だからです。
また、モーリス王国では王族といえど一夫一妻制で、側妃を娶ることはできません。
正妃となり3年以上子供を授からなかった場合にのみ、新たに娶った側妃を正妃とし、正妃は療養という名の離宮生活となります。
ですから、いくらフィリップ様がエリアナ様を望んでも、ご婚約すらすることはできません。
好きな方を娶ることも出来ないことはかわいそうではありますが、それが王族であり高位貴族である私たちの義務なのです。
私たちの婚姻は、家と家の契約であり、私たちの意思など反映されるものではないのです。
フィリップ様が私をそれほどまでにお嫌いなら、我がイザヴェリ公爵家以外の公爵家には年の近いご令嬢はいませんが、侯爵家にはご令嬢がいらっしゃいます。
その方を望んで下されば良かったのです。フィリップ様がどうしてもとおっしゃれば、国王陛下も叶えて下さったはずです。
それなのに。
王太子妃に、そして王妃になるための教育を受けながら、少しでも殿下に寄り添おうとする私を、そこまでお厭いになるのなら、どうして婚約なさったのでしょうか。
私たちイザヴェリ家からは、ご辞退することは出来ないのです。王命なのですから。
ですが、息子である王太子殿下から国王陛下に、私以外の、侯爵家のご令嬢と婚約したいとお願いすることはできたはずなのです。
国王陛下は為政者ではありますが、王妃様や私たち臣下の者に対しても心を砕いてくださる方です。
私の国外追放も、おそらくはフィリップ様の独断に違いありません。
フィリップ様は王太子殿下ではありますが、全ての判断は国王陛下に委ねられることです。
勝手に公爵家の令嬢、しかも婚約者を国外追放にしたフィリップ様が国王陛下から罰せられることは間違いありません。
ですが、私にはもうどうすることもできません。
薄れゆく意識の中、お父様やお母様、イザヴェリ公爵家に害が及ばないことを祈りながら、私は瞼を閉じましたー
野盗に襲われ、消えゆくしかない自分の命の灯火に、涙がこぼれます。
私は10歳の年にフィリップ様と婚約することになりました。
フィリップ様は、夢の中と同じように、学園に入学して1年経った頃、男爵令嬢のエリアナ様と親しくされるようになりました。
私は、あの夢のせいか、素行のよろしくないご友人が出来ても、エリアナ様との距離が近くても、何も言うことができませんでした。
私は怖かったのです。
夢と同じように行動して、またあのようになってしまうのが。
何も言わない私に、フィリップ様は目の前で堂々とエリアナ様を抱き寄せ、見せつけるように愛を囁き、まるでエリアナ様が婚約者であるように振る舞われました。
私にはわかりません。
確かに、私とフィリップ様の婚約は王命で、私たちの意思は反映されません。
ですが、フィリップ様がどうしてもと望めば、他のご令嬢を婚約者にすることも絶対に出来ないわけではなかったはずです。
エリアナ様は男爵家のご令嬢ですから、フィリップ様のお妃様にすることは叶いません。
王家に嫁げるのは、公爵家か侯爵家の生まれであることが絶対だからです。
また、モーリス王国では王族といえど一夫一妻制で、側妃を娶ることはできません。
正妃となり3年以上子供を授からなかった場合にのみ、新たに娶った側妃を正妃とし、正妃は療養という名の離宮生活となります。
ですから、いくらフィリップ様がエリアナ様を望んでも、ご婚約すらすることはできません。
好きな方を娶ることも出来ないことはかわいそうではありますが、それが王族であり高位貴族である私たちの義務なのです。
私たちの婚姻は、家と家の契約であり、私たちの意思など反映されるものではないのです。
フィリップ様が私をそれほどまでにお嫌いなら、我がイザヴェリ公爵家以外の公爵家には年の近いご令嬢はいませんが、侯爵家にはご令嬢がいらっしゃいます。
その方を望んで下されば良かったのです。フィリップ様がどうしてもとおっしゃれば、国王陛下も叶えて下さったはずです。
それなのに。
王太子妃に、そして王妃になるための教育を受けながら、少しでも殿下に寄り添おうとする私を、そこまでお厭いになるのなら、どうして婚約なさったのでしょうか。
私たちイザヴェリ家からは、ご辞退することは出来ないのです。王命なのですから。
ですが、息子である王太子殿下から国王陛下に、私以外の、侯爵家のご令嬢と婚約したいとお願いすることはできたはずなのです。
国王陛下は為政者ではありますが、王妃様や私たち臣下の者に対しても心を砕いてくださる方です。
私の国外追放も、おそらくはフィリップ様の独断に違いありません。
フィリップ様は王太子殿下ではありますが、全ての判断は国王陛下に委ねられることです。
勝手に公爵家の令嬢、しかも婚約者を国外追放にしたフィリップ様が国王陛下から罰せられることは間違いありません。
ですが、私にはもうどうすることもできません。
薄れゆく意識の中、お父様やお母様、イザヴェリ公爵家に害が及ばないことを祈りながら、私は瞼を閉じましたー
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