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イザヴェリ公爵家2

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「ガラティア王国に留学・・・」

 お父様がそう呟いたまま、絶望感溢れるお顔をされます。

 ええと。私、そんな無理難題を言いましたか?
 私はただ、生き残りたいのです。そのためにもフィリップ様との婚約を回避したいのです。

「あの・・・私そんなに無理なことを言ってしまいましたか?」

「可愛いルーナの顔を毎日見れなくなるなんて・・・嫌だ。生きていけない」

「あの・・・お父様?」

 なんだか変なことが聞こえた気がしますけど、きっと気のせいですね。

「いっそ我々も一緒にガラティア王国へ行くべきか・・・いや、しかし・・・」

 お父様がぶつぶつおっしゃられてる内容が、おかしいですわ。

 イザヴェリ公爵家は、モーリス王国の中で最も力のある公爵家です。
 そして、お父様はモーリス王国で宰相をなさっています。
 そのお父様がガラティア王国に一緒に行けるわけがないでしょう。
 それに・・・

「お父様。ガラティア王国の学園は全寮制ですわ。ご存知ですよね?」

「・・・・・・」

 ガラティア王国の学園は、全寮制なのです。王族の方も寮に入られるとか。

 モーリス王国の学園と違って、平民の方も通われるそうですわ。
 ただしガラティア学園には、入学するための条件があって、試験の結果が一定以上であることと、魔力があること、なのです。

 魔力ー
モーリス王国には、魔力というものはありません。
 ただ、イザヴェリ公爵家は先祖にガラティア王国の王族がいて、どうやらその先祖返りというもので、お父様と私には魔力が存在するのです。

 これは、知られてはならないこととして、秘匿されてきました。
 それは当然のことです。人は誰しも、自分とは異なるものに畏怖嫌悪をするものなのですから。

 イザヴェリ公爵家の中でも、お母様と私たちに近しい使用人にしか知らされていません。

 私もフィリップ様にお話したことはありません。
 いえ。正式に婚姻をしましたらお伝えするつもりでしたが。

 国王陛下はご存知です。
先先代のお妃様はガラティア王国から嫁がれた方でしたので、先代の国王陛下は魔力があったそうですから。

 魔力があるといっても、私はその使い方も何も学んでいませんから、使うことはありません。

 お父様は、お若い頃にガラティアで学んだことがあるそうですが。

「そうか。ガラティアか・・・わかった。国王陛下には私からお願いしよう。交換条件に殿下との婚約を出されそうだが、ルーナは婚約したくないんだね?」

「はい。お断り出来るのでしょうか?」

「婚約させるなら、イザヴェリ公爵家全員が、モーリス王国から出ていくだけさ。可愛いルーナに嫌な思いをさせるつもりはないよ」

 他国に留学するには、国王陛下の許可をいただく必要があります。
 許可していただけるといいのですが。
 


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