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婚約者?

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『やっと会えた~!ソル!ソル!私のことも紹介して』

 王太子殿下の肩で飛び跳ねているのは・・・多分ですけど太陽の精霊王アルビナ様ですわね。
 だって髪と瞳の色が、王太子殿下と同じですもの。

『ルーナ。彼女が太陽の精霊王アルビナだよ』

 シン様が私の耳元に現れて、アルビナ様を紹介して下さいます。

「はじめまして。太陽の精霊王アルビナ様。イザヴェリ公爵が娘ルーナです」

『可愛いっ!ルーナ!私はアルビナだよ。アルビナって呼んで』

『無理だよ、アルビナ。ルーナは僕のことだってシンって呼ぶんだから』

『ええっ?そんな固いこと言わないでよぉ』

 シン様とアルビナ様が盛り上がってお話されてますけど、い、いいのでしょうか?国王陛下や王妃殿下の前ですのに。

「やはり、ルーナ嬢は月の精霊王様の愛し子なのだな。イザヴェリ殿。昨日の話、是非ともお願いしたい」

「ルーナ本人さえ是と言いましたら、私はかまいません」

「そうか。では、本人から申し込ませよう。余が言えば本心では答え辛かろう」

 国王陛下とお父様がお話されてますけど、何のことでしょう?
 お父様。昨日の話とは何ですの?
私、本当に怒りましてよ?

「では、ソル。お前が望んだようにルーナ嬢にお願いしてみなさい」

「はい、父上」

 国王陛下のお言葉に頷かれ、王太子殿下が立ち上がります。
 私の隣までおいでになると、私に手を差し出されした。

「イザヴェリ嬢。少しお話しませんか?」

 お父様に視線で尋ねると頷かれましたので、私は殿下の手に自分のそれを重ねました。

「よろしくお願いします」

 王太子殿下は、私の手を引いたまま廊下へと出ました。
 そのまま、薔薇が咲き乱れる庭園へと導かれます。

 シン様とアルビナ様は、お姿を消されてしまいましたが、もちろん2人きりではありません。離れた位置に王太子殿下の護衛の方がいらっしゃいます。

 薔薇園の中を歩きながら、殿下は薔薇の説明をしてくださいます。
 王妃殿下がとても薔薇をお好きで、国王陛下が王妃殿下のために薔薇を集めた結果、このような大きな庭園になったのだそうです。

 素敵ですわ。うちのお父様とお母様もとても仲良しです。
 私も・・・そんな相手と結ばれたいですわ。貴族ですから政略結婚はやむ得ないことですけど、できるなら思い合いたいです。

「イザヴェリ嬢。ルーナ嬢と呼んでも構わないだろうか?」

「もちろんです」

「ありがとう、ルーナ嬢。僕のことはソルと呼んで欲しい」

「そんな・・・」

 呼べませんわ。王太子殿下をお名前で呼ぶなど。それに、婚約者の方に失礼ですわ。

「婚約者の方に失礼ですから」

「なら、大丈夫だ。ルーナ嬢、僕と婚約して欲しい」

 はい?





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