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幻惑《フィリップ視点》
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おかしい。さっきから、王都に向かっているのに、どうしてまだ着かないんだ?
確か、王都まであと1日のところで、休養を取った。
そして、朝に出発したのに、どうして夜が来ても着かない?
ガラティア王国は、夜中は王都の出入り口に見張りが立つらしいが、昼間は誰でも自由に出入りできるらしい。
だから、王都入口付近に着いたら、そこで夜を明かして朝イチに入国するつもりだった。
なのに、どうなっているんだ?
目の前に王都は見えるのに、全然近づいている気がしない。
「どうなっているんだ?もう着くはずではないのか?」
隣に立つ隠密部隊の部隊長に尋ねた。
父上くらいの年齢の部隊長は、しきりに首を捻っている。
「本来なら、着いていてもおかしくないのです。先ほど、部下を目の前の王都向かわせたのですが、帰って来ないのです。既に1時間はたっているのですが」
「王都に着いて、待っているのではないのか?」
「いえ。入口に着いたら、折り返して戻ってくるように伝えてあります。入口までの時間を計るために向かわせたのです。とにかく、もう1人向かわせます。移動ばかりですから、殿下もお疲れでしょう。この荷物の上に座られてお待ちください」
部隊長の言葉に、僕はそこに置かれた荷物の上に腰を下ろした。
すでに1時間以上歩いていて、疲れもピークになっていたのだ。
新たに部下を向かわせるらしいから、どこかで折り返して来ている先発と出会って、戻って来るだろう。
それまで少し休むとするか。
部隊長は若い隊員に指示を出しながら、荷物のチェックをしている。
もうモーリス王国を出て1週間経とうとしている。
王都が見えるところまでは順調だった。
だが、王都が見えてからすでに2日経っている。
何かがおかしいと思うのに、何がおかしいのかがわからなくて、イライラする。
食料や水は、20日分は持ってきているが、このままでは帰りに底をついてしまう。
モーリス王国からガラティア王国までは、馬車で1週間ほどだ。
往復と、あとはイザヴェリ公爵令嬢を連れ帰るのに余裕をもって、20日分にしたのだが。
「部隊長。水や食料は足りるだろうな」
「明日中に王都に着けば、3日以内に拉致するようにいたします。王都で仕入れてもいいのですが、見たことのない人間は目立つかもしれませんから、出来る限り持参した食料でやりくりしたいと思いますので」
部隊長の言葉に頷く。
父上も、ガラティア王国内では、宿に泊まったりせず、目立たないようにとおっしゃっていた。
元々、我が国の人間を連れ帰るだけなのだが、ガラティア王国に文句をつけられるかもしれないからだ。
早くモーリス王国に戻りたい。
僕は荷物の上で、大きくため息をついた。
確か、王都まであと1日のところで、休養を取った。
そして、朝に出発したのに、どうして夜が来ても着かない?
ガラティア王国は、夜中は王都の出入り口に見張りが立つらしいが、昼間は誰でも自由に出入りできるらしい。
だから、王都入口付近に着いたら、そこで夜を明かして朝イチに入国するつもりだった。
なのに、どうなっているんだ?
目の前に王都は見えるのに、全然近づいている気がしない。
「どうなっているんだ?もう着くはずではないのか?」
隣に立つ隠密部隊の部隊長に尋ねた。
父上くらいの年齢の部隊長は、しきりに首を捻っている。
「本来なら、着いていてもおかしくないのです。先ほど、部下を目の前の王都向かわせたのですが、帰って来ないのです。既に1時間はたっているのですが」
「王都に着いて、待っているのではないのか?」
「いえ。入口に着いたら、折り返して戻ってくるように伝えてあります。入口までの時間を計るために向かわせたのです。とにかく、もう1人向かわせます。移動ばかりですから、殿下もお疲れでしょう。この荷物の上に座られてお待ちください」
部隊長の言葉に、僕はそこに置かれた荷物の上に腰を下ろした。
すでに1時間以上歩いていて、疲れもピークになっていたのだ。
新たに部下を向かわせるらしいから、どこかで折り返して来ている先発と出会って、戻って来るだろう。
それまで少し休むとするか。
部隊長は若い隊員に指示を出しながら、荷物のチェックをしている。
もうモーリス王国を出て1週間経とうとしている。
王都が見えるところまでは順調だった。
だが、王都が見えてからすでに2日経っている。
何かがおかしいと思うのに、何がおかしいのかがわからなくて、イライラする。
食料や水は、20日分は持ってきているが、このままでは帰りに底をついてしまう。
モーリス王国からガラティア王国までは、馬車で1週間ほどだ。
往復と、あとはイザヴェリ公爵令嬢を連れ帰るのに余裕をもって、20日分にしたのだが。
「部隊長。水や食料は足りるだろうな」
「明日中に王都に着けば、3日以内に拉致するようにいたします。王都で仕入れてもいいのですが、見たことのない人間は目立つかもしれませんから、出来る限り持参した食料でやりくりしたいと思いますので」
部隊長の言葉に頷く。
父上も、ガラティア王国内では、宿に泊まったりせず、目立たないようにとおっしゃっていた。
元々、我が国の人間を連れ帰るだけなのだが、ガラティア王国に文句をつけられるかもしれないからだ。
早くモーリス王国に戻りたい。
僕は荷物の上で、大きくため息をついた。
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