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祝福の光《最終話》
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私は10歳から15歳までを、6回繰り返しています。
婚約者に「首を刎ねよ」と言われて、私は冷たい断頭台に押さえつけられました。
目覚めた時は、あれが夢だったのかとどうしてあんなに悲しい夢を見たのかと、とても辛い思いでした。
そして2度目は、婚約者に国外追放され、野盗に襲われて命を落としました。
3度目に目覚めた時、これが夢ではなく事実であること。
私は死んだ瞬間に10歳に戻っていることを知りました。
その繰り返しを避けたくて、今度こそは生きていたくて、私は婚約を結ばないために、ガラティア王国へ逃げることにしたのです。
ガラティア王国は、魔法王国と呼ばれる国です。
多くの貴族は、魔法を使うことができるのです。
それは、精霊という存在が、魔力を人間に貸し与え、そしてその人間と契約することで、その精霊の魔法を使うことができるのだそうです。
私のお父様も、風の精霊と契約していて、魔法を使えるそうです。
それは、イザヴェリ公爵家に遠い昔ガラティア王国から嫁いできた方がいたことで、魔力が受け継がれたのだとお父様はおっしゃっていました。
私にも魔力があります。
それは、私がガラティア王国の創始者である、月の精霊王様の愛し子だからだそうです。
月の精霊王様と、太陽の精霊王様は対をなす存在で、お互いの愛し子も同じく対をなすそうです。
かつて精霊王様と多くの精霊を救うために、神としての力を使い果たし、人として転生した方が、ガラティア王国の創始者で、私のご先祖様なのだそうです。
私の対となる、太陽の精霊王様の愛し子、ガラティア王国王太子殿下、ソル・ガラティア様は、太陽のようなキラキラとした金の瞳と髪をされています。
精霊王様の愛し子は、精霊王様と同じ髪と瞳の色で生まれるそうです。
月の精霊王様の愛し子である私は、銀の髪と瞳をしています。
その銀の髪は、今綺麗に結い上げられ、純白のヴェールに覆われています。
ヴェール越しに見上げた隣には、初めて出会った時より伸びた金の髪を襟足で束ねた、少年から青年に成長されたソル殿下の姿があります。
10歳の時ー
婚約を避けるために留学して来たガラティア王国で、私はソル殿下との婚約を結びました。
それは、私が対である愛し子だからではなく、私自身を好きだからだと言ってくれたソル様は、その日からずっと、私のことを好きだと言葉でも態度でも示して下さいました。
過去に5回、命を落とした私は、6回目の15歳のあの日を迎えました。
そして今日ー
初めて生きて迎えた16歳の誕生日に、同じく今日16歳になられたソル様と婚姻することとなりました。
視線を移せば、そこには私を優しく見つめて下さるお父様とお母様の姿があります。
お父様は現在、モーリス王国で王太子殿下をお支えしながら、宰相の職を続けられております。
ガラティア王国国王陛下から、転移の魔法陣をイザヴェリ公爵家邸宅に据えていただいたことで、お父様はそのままモーリス王国で暮らされています。
『おめでとう、ソル』
『おめでとう、ルーナ』
太陽の精霊王アルビナ様と、月の精霊王シン様が、私たちに祝福の光を授けて下さいます。
とても嬉しそうにして下さるお2人に、思わず笑顔が浮かびます。
『やっと、あるべき姿に戻った』
『私たちの愛し子に永遠の祝福を』
あるべき姿・・・
隣のソル様を見上げます。この方の隣に立つことが、私のあるべき姿。
「僕の愛しい月の姫君。ずっと僕の隣で笑っていて」
愛しい太陽の王子様に、私は頷きました。
ずっと、この幸せが続くように願いながらー
***end***
これにて完結です。お読みいただき、ありがとうございました。また、次の作品でお会いできることを、心から願っています。
ありがとうございました。
婚約者に「首を刎ねよ」と言われて、私は冷たい断頭台に押さえつけられました。
目覚めた時は、あれが夢だったのかとどうしてあんなに悲しい夢を見たのかと、とても辛い思いでした。
そして2度目は、婚約者に国外追放され、野盗に襲われて命を落としました。
3度目に目覚めた時、これが夢ではなく事実であること。
私は死んだ瞬間に10歳に戻っていることを知りました。
その繰り返しを避けたくて、今度こそは生きていたくて、私は婚約を結ばないために、ガラティア王国へ逃げることにしたのです。
ガラティア王国は、魔法王国と呼ばれる国です。
多くの貴族は、魔法を使うことができるのです。
それは、精霊という存在が、魔力を人間に貸し与え、そしてその人間と契約することで、その精霊の魔法を使うことができるのだそうです。
私のお父様も、風の精霊と契約していて、魔法を使えるそうです。
それは、イザヴェリ公爵家に遠い昔ガラティア王国から嫁いできた方がいたことで、魔力が受け継がれたのだとお父様はおっしゃっていました。
私にも魔力があります。
それは、私がガラティア王国の創始者である、月の精霊王様の愛し子だからだそうです。
月の精霊王様と、太陽の精霊王様は対をなす存在で、お互いの愛し子も同じく対をなすそうです。
かつて精霊王様と多くの精霊を救うために、神としての力を使い果たし、人として転生した方が、ガラティア王国の創始者で、私のご先祖様なのだそうです。
私の対となる、太陽の精霊王様の愛し子、ガラティア王国王太子殿下、ソル・ガラティア様は、太陽のようなキラキラとした金の瞳と髪をされています。
精霊王様の愛し子は、精霊王様と同じ髪と瞳の色で生まれるそうです。
月の精霊王様の愛し子である私は、銀の髪と瞳をしています。
その銀の髪は、今綺麗に結い上げられ、純白のヴェールに覆われています。
ヴェール越しに見上げた隣には、初めて出会った時より伸びた金の髪を襟足で束ねた、少年から青年に成長されたソル殿下の姿があります。
10歳の時ー
婚約を避けるために留学して来たガラティア王国で、私はソル殿下との婚約を結びました。
それは、私が対である愛し子だからではなく、私自身を好きだからだと言ってくれたソル様は、その日からずっと、私のことを好きだと言葉でも態度でも示して下さいました。
過去に5回、命を落とした私は、6回目の15歳のあの日を迎えました。
そして今日ー
初めて生きて迎えた16歳の誕生日に、同じく今日16歳になられたソル様と婚姻することとなりました。
視線を移せば、そこには私を優しく見つめて下さるお父様とお母様の姿があります。
お父様は現在、モーリス王国で王太子殿下をお支えしながら、宰相の職を続けられております。
ガラティア王国国王陛下から、転移の魔法陣をイザヴェリ公爵家邸宅に据えていただいたことで、お父様はそのままモーリス王国で暮らされています。
『おめでとう、ソル』
『おめでとう、ルーナ』
太陽の精霊王アルビナ様と、月の精霊王シン様が、私たちに祝福の光を授けて下さいます。
とても嬉しそうにして下さるお2人に、思わず笑顔が浮かびます。
『やっと、あるべき姿に戻った』
『私たちの愛し子に永遠の祝福を』
あるべき姿・・・
隣のソル様を見上げます。この方の隣に立つことが、私のあるべき姿。
「僕の愛しい月の姫君。ずっと僕の隣で笑っていて」
愛しい太陽の王子様に、私は頷きました。
ずっと、この幸せが続くように願いながらー
***end***
これにて完結です。お読みいただき、ありがとうございました。また、次の作品でお会いできることを、心から願っています。
ありがとうございました。
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よかった よかった😊
最後まで読ませて頂きました。
面白かったです。
その後の様子も
また見たいなと思いました✨
読んでくださり、ありがとうございます😊
最後まで読ませて頂いて、有難うございました。
とても素敵な物語でした~♪
そう言っていただけて嬉しいです。読んでいただき、ありがとうございました😊
巻き戻し物の佳作の完結お疲れ様です
お話がきっちり終了しただけに屑父子の屑さ加減が目立ちました
5回も殺しただけの事が納得の息子
どう考えても余罪たっぷりな強姦魔の父
王宮の使用人の犠牲者数が怖いです
隠し部屋って本来は緊急避難用なのに、ヤリ部屋扱い
巻き戻し、つまり無かった事です
もはや存在しない事実です
お二人は是非幸せになって下さい!!
唯一割を食ったパパさんお仕事ガンバw
感想ありがとうございます😊
パパも、いつでも転移陣でルーナにも、そして孫にも会えるので、他の貴族に嫁ぐよりは良かったのではないかなと思います。
読んでいただきありがとうございました。