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第2章

婚約披露パーティー

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 私とアル兄様の婚約が国内外に公表されました。

 ほとんどの国や貴族からは好意的なお祝いが届きましたが、幾らかの国からは抗議が来たそうです。

 婚約公表前に釣書をお返しして、お断りをしていたそうですから、文句を言われる筋合いはないと、お父様もお母様もアル兄様も気になさっていませんけど。

「セレスティーナ皇女殿下。皇太子殿下とのご婚約おめでとうございます」

「ありがとうございます。ええと、今日は?」

「もちろん、婚約披露パーティー用のドレスの採寸ですわ」

 婚約のお祝いを述べてくれたのは、王家お抱えのデザイナーの方です。
 そうですわよね、やっぱりパーティーがありますわよね。

 普通、婚約パーティーではダンスが披露されます。
 皇太子であるアル兄様がと踊られ、そのあと皆様が踊られるのですが、私はまだ8歳。グレイスの記憶がありますから何とか基本は理解しているものの、アル兄様とでは身長が違いすぎるのです。
 子供がまとわり付いているようにしか見えません。

 それに、私はグレイスの時でも婚約者になった時以外、ジルベール様と踊ったことはありません。
 いつもいつも壁の花で、国王陛下や王妃様にお気遣いいただいていました。

 ジルベール様は、地味な私と婚約させられたこと自体が嫌だったのでしょう。
 ドレスを贈られたこともありません。父や母にバレないように、私はいつもこっそりと知り合いのデザイナーさんに頼んでいました。

 さすがにエスコートはして下さいましたが、それも会場に入るまで。
 国王陛下や王妃様に咎められても、ジルベール様が私と踊られることはありませんでした。

 今思えば、本当にジルベール様には嫌われていましたのね。
 それなら、私にディアナがいいと前もっておっしゃって下されば、お父様にお願いしましたのに。

 王家からの申し入れの婚約でしたが、ディアナからお父様が私のことを思って下さっていたと聞いた今なら、私が望めばお断りをしてくださったのではないかと思えます。

 過去のことを今さら言っても仕方ありませんが、ろくに婚約者とダンスを踊った経験がないことが問題なのです。

 子供のお守りにしか見えないような事態は避けたいところです。
 かと言って、身長がいきなり伸びるわけでもありませんし。

「どうかされましたか?セレスティーナ様」

「いえ・・・ダンスのことが気がかりで」

「セレスティーナ様はダンスが苦手でいらっしゃるのですか?」

 苦手。そうですね、経験があまりありませんから、苦手という感じでしょうか。

「そうですね。それに、アル兄様とだと身長差がありますから、子供のお守りに見えそうで・・・」

 私は正直に答えました。
このデザイナーさんとも、もう3年のお付き合いです。
 私の希望をよく聞いて下さる良い方で、私もお話ししていて楽しいです。

「まあ!子供だなんて。セレスティーナ様は素敵な淑女ですわ。大丈夫です。皇太子殿下のお隣に並んでも遜色のないドレスをお仕立ていたしますわ。それでも不安が消えないのでしたら、そう皇太子殿下にご相談されればよろしいと思いますわ」

 相談しても私の身長が伸びるわけではありませんが、彼女の気遣いに私はにっこりと頷きました。






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