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そこで全て終わらせる

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「ふぅん。やっぱり大人しくはしないのね」

 ルーナは報告書に目を通すと、それをユリシーナに渡した。

 アレックスとダグラスが、婚約者に婚約破棄をパーティーで告げ、その理由がアナとの交際だと言おうとしている。

 そしてアナが二股をかけていたように周囲に見せ、悪女だと思わせる。

 そんな悪女はライアンの相手には相応しくないとシシリーが叫び、アレックスたちもアナを悪女と罵る。

 というストーリーらしい。

 ルーナの「そろそろ何かやらかして来るかもね」という呟きを受け、ユリシーナは即座に動いた。

 優秀なフィオレンサ公爵家の侍女たちの知人や伝手を使い、シシリーやアレックスとダグラスの周囲を偵察していたらしい。

 何も言わなくても動いてくれる優秀な侍女に、危険なことはしないようにと注意するルーナだが、ユリシーナは「あまりに警戒心のない方々で、拍子抜けしました」と相変わらずの無表情だった。

 とりあえずは、ユリシーナたちの偵察のおかげでシシリーたちの動きは知ることが出来た。

 成功するわけがない作戦とはいえ、アナに嫌な思いをさせたくはない。

 元々ルーナは、ライアンとアナの婚約発表前に、シシリーたちのことも片付けたいと思っていた。

 その手助けをしてくれたユリシーナたちにはポケットマネーでボーナスを出そうと思うルーナであった。

「いかがいたしましょうか?」

「とりあえず、ライアン殿下に手紙を届けて。内容をお知らせしておくわ。それから、殿下にその舞台となるパーティーを開く手筈を整えてもらって。使用人はうちの人間にしたいから、その旨もお知らせして」

「かしこまりました」

 ルーナは頭の中で、シシリーの描いたストーリーを次々と書き換えていく。

 まぁ根本的なところで、アレックスもダグラスも間違えているのだが、もうアレもこれも片付けれてちょうどいいだろうと思う。

「あとは、セルビア公爵とロックベル侯爵にも連絡を。メルティン様とカーラ様にもお知らせしておかないとね」

 彼女たちにはもう関係のない相手だが、いきなり婚約破棄だと言われたらびっくりするだろう。

 前もって知らせておけば、反論する準備もしておいてくれるだろう。

 シシリーたちのことが片付けば、残るは王妃ヘスティアへの対処だが、一応は国王陛下の説得待ちである。
  
 ルーナは、ライアンもリリアナも母親を幽閉したくないと思っていることに気付いていた。

 あのヘスティアがそう簡単に納得するとは思えないが、ルーナがこの国からいなくなることと、しばらくの間静養することで、少しはマトモになってくれればと期待している。

 そのパーティーで全ての決着をつける。

 ルーナはそう決意していた。

 
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