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15歳

92ページ:嫁入り?いえ、そうでなくて

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「ウエディングドレスはどうするの?」

 お母様の言葉にコテンと首を傾げる。
いや。ちょっと待って。
 私は魔族が攻め入ってるのを助けに行くのであって、嫁入りするわけではないんだけど?

「魔族を倒しに行くんですよ?」

「え、でも、旦那様のところへ行くのよね?」

「拒否られるかもしれませんよ?」

「うちの可愛いシエルを拒否するなんて、たとえ精霊王といえど、許せるものではないよ」

 お父様、先ほどと違う。
許す許さないとかじゃないから。
 私が勝手にノワールならいいなぁって思ってるというか、ね?

「と、とりあえず、魔族をどうにかしてきます」

「気をつけてね。ウエディングドレスの準備はしておくわ。あちらではドレスとかなのかしら?侍女は連れて行けないわよね」

「シエル、無理しないようにな」

 お父様とお母様に見送られた。
一旦、部屋に戻って、アポステリオリたちと一緒に精霊の国を目指すけど、何だか思ってたのと違う。

 いや。
最初は、心配してくれて、精霊の国を守るために私が犠牲になるんじゃないかみたいに言ってくれてた。

 でも途中から、すっかり嫁入りに話がシフトしちゃったような。

 まぁ、いいか。
悲壮感たっぷりで見送られるより、何倍もいいわ。

 部屋に戻ると、アポステリオリだけが待っていた。

「許可は取ったから・・・みんなは?」

『戻りました。マスターにお願いするために来ていましたので』

 そうか。戦場に戻ったのか。
私も早く行かないと。

「えと、この指輪に血を捧げれば良いのね?どのくらい?」

『マスター。感謝いたします』

「感謝の言葉は魔族を追い払って、精霊の国を守ってから聞くわ」

 1滴で良いのかな?
べっとりと指輪が血に濡れるくらいとか、あり得ない気もするし。

『マスター。1滴で指輪は反応します。血に濡れるほど捧げないで下さい。我々がノワールやセイクレッドに恨まれます』

 アポステリオリの言葉に首を傾げる。
何故に恨まれるの?

 ああ。セイクレッドは癒さなければならないからかな。でも、多分だけど、私自分で治せる気がするんだけど。
 怪我しないから分からないけど、疲れないところから考えても、大丈夫な気がする。

 まぁ、1滴でいいなら、針で突けばいいか。

「指輪に1滴落とせばいいのね?」

『はい。あの、お願いしておきながら、こんなことを言うのはおかしいのですが、本当によろしいのですか?』

「本当におかしい。今更、そんなこと言うなんて。でも、うん。私を気遣ってくれてるんだよね、ありがとう。だけど、決めたことだから」

 私は、私の決めた通りに生きる。
ずっと、そうしてきた。

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