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目には目を?

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 ホリック公爵家が営む雑貨店の隣には、平民が営む雑貨店がある。

 その平民の雑貨店より一割ほど安く売ることで、平民の店を閉店間際まで追い込んでいたのだが、ここに来て風向きが変わった。

 その平民の店に客が途絶えず来るようになり、ホリック公爵家運営の雑貨店は閑古鳥が鳴くようになったのだ。

 不審に思った店員が、平民の雑貨店に様子見に行くと、見慣れない雑貨が並んでいて、どうやらみんなそれを購入しているようだった。

 ホリック公爵家が営む化粧品店の隣には、子爵家が営む化粧品店がある。

 ある日から、お得意様である貴族の夫人やご令嬢方が隣の子爵家運営の店に通うようになった。

 慌てた店員が、お得意様に疑問を投げかけると「こちらの商品の方がお肌にいいんですもの」と言われる始末。

 ホリック公爵家運営の化粧品店は、閑古鳥が鳴くようになった。

 ホリック公爵家運営のレストランの隣には、男爵家運営のレストランがある。

 高級食材をふんだんに使うホリック公爵家のレストランに対し、男爵家運営のレストランは素朴で、下位貴族くらいしか通っていなかった。

 ところが、ホリック公爵家運営のレストランの常連の高位貴族が、男爵家運営のレストランに通うようになった。

 レストランの使用人に調査に向かわせたところ、料理は素朴で、高級食材など使っていないという。

 久々に訪れた常連の客に尋ねたところ、特別な日には高級食材もいいが、普段には健康のために男爵家のレストランのような健康に配慮した料理を食すようにしたという。

 閑古鳥とまではいかないが、食材を常に保持しておく必要があり、扱っているのが高級食材なため、廃棄の食材が出ることでレストランは赤字になっていた。

 ホリック公爵家の営む衣料品店の隣には、ダリル男爵家夫人が手掛けている衣料品店がある。

 高級な生地のドレスを、隣より格安に売るホリック公爵家の店に、隣のダリル男爵家の店は閉店直前だった。

 ところが、ホリック公爵家の店を贔屓にしていた夫人やご令嬢が、隣のダリル男爵家の店に通うようになる。

 慌てた支配人が店から出た夫人を捕まえて理由を尋ねたところ、マハール王国王妃殿下がダリル男爵家の店のドレスを着ていた、というのだ。

 しかも、王太子殿下の婚約者の公爵家のご令嬢もダリル男爵家の店のドレスを購入しているらしい。

 各店舗から上がる報告書に、ホリック公爵夫妻は、顔を青くした。

 隣に怒鳴り込むわけにもいかない。
 だけなのだ。

 撤退しないと、赤字の影響がホリック公爵家にまで及ぶ。

 ホリック公爵夫妻は、全ての店を撤退せざる得なかった。

 
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