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腰を抜かすロイズ国王と王弟
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何故ここまで完璧な資料を作る事が出来たのか、エレインは詳しく語って聞かせる事にした。
きっかけは、言葉遊びでアルフレッドが捻り出した答えにある。
「運命の赤い糸と、化石がどう結びついたのかな。私にはさっぱり理解出来ないのだが…」
「そのメッセージは、関係ないのです。あの時、私とお兄様は答えを見つけたと思い込み、それ以上深く追求致しませんでしたわ」
「そうか、発想の展開をしてみたと、言う事なのか。あの時アルフレッドは、画家が描いた作品名をアルファベット順に並べ、パズルの様に組み直したのだったな」
「はい。凝り固まった頭で考えているだけでは、本当の答えに辿り着けなかった事を、思い出したのです。殿下が手伝って下さっていた時も、私とは違った視点から型紙をみておりましたわ」
初めは存在している生物に近い生き物の骨格だと思い、どの種族と合致するのかを探していたのだ。
しかしアルフレッドは、繋がりそうな型紙を並べていただけだった。
そこで言葉遊びを思い出し、アルフレッドが違う視点から、次なる可能性を導き出した事を思い出したのだ。
それからエレインは、見つかった骨格の型紙をひとつずつ見比べながら、何度も何度も組み直していたのだ。
その結果、現代では生存していなかった生き物の姿が、浮き彫りになってきたのである。
見つかった骨格の全てのパーツは面白い程に組み合わさる事に気付き、それは現代で生きているどの生物よりも、遥かに巨大な生き物だったのだ。
「まだ発見されていない欠損部分もありますのよ。もしかすると、全く違う生き物かもしれませんわ」
「確かに、可能性は広がるね。だが私は、この生き物にロマンスを感じている。今でも化石の発掘作業は進められているから、後々欠損部分も発見される事になるかもしれない。その時が来たらと思うと、胸が高鳴るよ」
アルフレッドは目を輝かせて、エレインが書いた骨格の図案を見ている。
「こんなに巨大な生き物が、僕たちの産まれる遥か昔に存在していたのならば、世界を震撼させる事になるだろうな。是非生きて歩いている姿を見たかった」
ルーカスも、想像力を膨らませ、感嘆のため息をもらしていた。
今までに発見された化石が、生きていた頃の姿を取り戻しつつある事で、ここにいる誰もが興味を惹かれたのだ。
どの様な声だったのか、毛色はどの様な感じなのか、議論は途切れる事なく暫くは化石の話題で盛り上がる事になるのだった。
そしてアルフレッドが学園に持ち込んだ化石の一部は、この巨大な生き物の「歯」ではないかと、エレインは推測したのだ。
「これが、この生き物の歯なのかい」
アルフレッドは、大切に持っていた化石を取り出して来た。
「はい。その可能性は、大きいと思います。同じ形の物が複数見つかっておりますし、動物の臼歯の様にも見えますわ。恐らくこの巨大な生き物は、草食だったのではないでしょうか」
「なるほど、そう言われたら、臼歯に見えて来たぞ。うん、間違いなくこれは臼歯だ。凄いぞエレイン嬢。これ程、大きな臼歯を持つ生き物が、存在していたのだね」
近い内に謎が解けると言ってはいたが、こんなに早く解明されるとは、誰も想像をしていなかった。
「この資料は、直ぐ叔父上にも見せたいのだが、構わないだろうか」
「勿論ですわ、殿下。私も、学園長の意見を聞いてみたいと思っておりましたのよ」
「腰を抜かすのではないか。俺も同席したいです、アルフレッド殿下。学園長の驚いた顔が目に浮かびますから」
「僕も同じ意見だ、ダニエル。学園長が、驚きで目を見張る瞬間は、早々訪れるものではないからな」
「ならば私も御一緒させてください」
ダニエルもルーカスもマシューも、みな学園長の意見が聞きたいのは同じの用だ。
「そうか。私が独り占めをする訳にはいかないな。叔父上は、まだ学園からはお戻りになっていないだろう。何時も夕餉の時間近くまで、残っておられるからね。休日まで待つのもな…思い切って呼び出してみるとしよう。きっと、飛んで帰って来るだろうね」
アルフレッドは、悪戯を思いついた少年の様に笑っている。
学園長には化石の新しい発見があったので、早急に確認をして欲しいと内容を明かさずに伝言だけ伝えたのだった。
それまでにはまだ時間があったので、残された執務を片付ける事にする。
エレインは何もする事がなく手持ち無沙汰だったので、出来る範囲の執務を手伝う事にしたのだ。
既に王妃教育を終えている事を知らない面々は、エレインの仕事の速さに驚く事になる。
本人も、足手纏いになるのでは無いかと遠慮がちだったが、思っていた以上に出来る事が多くて楽しんでいた。
効率よく執務が捗り、休憩をしようとしたところで王弟が帰って来た事を知らせに宮仕えがやって来た。
「叔父上がお戻りになったそうだ。皆で押し掛けようではないか」
アルフレッドに続いて、ルーカスとエレイン、ダニエルとマシューも付いて来る。
「兄上が聞いたら、きっと悔しがるでしょうね。今日に限って休みを取っているなんて、運が悪いとしか言えません」
「カシューには、後で面白おかしく報告をするとしよう」
アルフレッドは、実に楽しそうに笑っていた。
マシューの兄であるカシューは、妻と一緒に観劇に行くため、休暇願を出していた。
日頃決まった休暇以外は取った事のない者が、珍しい行動をすると、それに比例するかのような珍事が起こるのかもしれない。
理事長は私室にいて、弟の帰宅を知った国王がやって来ており、二人で談笑をしていた。
久し振りに早く帰って来た弟と世間話がしたかった様なのだが、まさか歴史的瞬間に立ち会うとは、夢にも思っていなかったのである。
「王弟殿下。アルフレッド殿下がお見えになりました。側近と、エレイン・オルターナ皇女殿下も御一緒です」
「勢揃いではないのかね。なにやら楽しい予感がするのだが、兄上も御一緒してはいかがかな」
「私がいては、委縮してしまうであろう。遠慮するのも、父親の仕事だ」
「何を仰る、兄上。アルフレッドの側近と、妃になる娘だ。慣れて貰わねば、困るんだがね」
「そうか。ならば、空気と同化しておくとしよう」
「無理だと思うのだがね」
王弟が許可を出すと、国王がいるとは思っていなかった面々は、緊張した様子を見せながら部屋へと入って来た。
アルフレッドにルーカスとエレインが、王弟と国王の向かいのソファーに腰かけ、ダニエルとマシューは後ろに控えた。
「アルフレッド。私を呼び出したからには、相当面白い発見をしたと言う事で、間違いは無いのだね。つまらない事だったならば、お仕置きが待っているのだよ」
王弟は期待をしているのか、にやりと笑みを浮かべていた。
「叔父上、楽しい事でしたら、ご褒美が貰えるのでしょうか」
「そうなるね。私を喜ばせてくれたのなら、何でも好きな願いを叶えるのも、やぶさかではないのだよ」
その言葉を聞いた面々は、喜色満面の笑みを浮かべたのだった。
「叔父上を呼び出したのは私ですが、お話があるのはエレイン嬢なのです」
「それでこの面子が揃っていたのだね、納得したのだよ。もしかすると、アルフレッドに持たせた化石が何なのか、判明したのかな」
王弟の言葉に、思わず頷きそうになったアルフレッドだったが、ぐっと堪えて資料を手渡した。
「エレイン嬢が纏めた資料です。ご覧になった感想をお聞きしたく、叔父上を呼び立ててしまいました。父上も、宜しければご一緒に見て頂けませんか」
王弟は資料を受け取ると興味深げに読みだしたが、国王はエレインの方に興味が湧いたようだ。
「ほう。エレイン嬢が纏めた資料か。化石の研究に興味を持っている事は聞いていたが、態々資料を纏める程没頭しているとは思わなかったぞ。良かったなアルフレッド、共通の趣味があるのは、良い事だ」
「兄上!その様に、呑気な事を言っている場合ではないぞ。これは、世紀の大発見になるかもしれないんだがね」
興奮した王弟は、目を見開いて驚きの表情を隠しきれずにいた。
そして、ズルズルとソファーからずり落ちて行ったのである。
国王は何事かと思い資料を覗き込んで、兄弟揃って同じ様にソファーの下に座り込んだのだった。
二人が腰を抜かす瞬間を見る事が出来たアルフレッドたちは、満足してそれぞれの屋敷へと帰って行った。
エレインの纏めた資料はそのまま学会で発表され、それは世界中の化石研究者たちの間で瞬く間に広まって行く事になるのだった。
この発見により、今まで発掘された謎の化石の正体が次々と解き明かされる様になるのは、もう少し先の話しである。
きっかけは、言葉遊びでアルフレッドが捻り出した答えにある。
「運命の赤い糸と、化石がどう結びついたのかな。私にはさっぱり理解出来ないのだが…」
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「はい。凝り固まった頭で考えているだけでは、本当の答えに辿り着けなかった事を、思い出したのです。殿下が手伝って下さっていた時も、私とは違った視点から型紙をみておりましたわ」
初めは存在している生物に近い生き物の骨格だと思い、どの種族と合致するのかを探していたのだ。
しかしアルフレッドは、繋がりそうな型紙を並べていただけだった。
そこで言葉遊びを思い出し、アルフレッドが違う視点から、次なる可能性を導き出した事を思い出したのだ。
それからエレインは、見つかった骨格の型紙をひとつずつ見比べながら、何度も何度も組み直していたのだ。
その結果、現代では生存していなかった生き物の姿が、浮き彫りになってきたのである。
見つかった骨格の全てのパーツは面白い程に組み合わさる事に気付き、それは現代で生きているどの生物よりも、遥かに巨大な生き物だったのだ。
「まだ発見されていない欠損部分もありますのよ。もしかすると、全く違う生き物かもしれませんわ」
「確かに、可能性は広がるね。だが私は、この生き物にロマンスを感じている。今でも化石の発掘作業は進められているから、後々欠損部分も発見される事になるかもしれない。その時が来たらと思うと、胸が高鳴るよ」
アルフレッドは目を輝かせて、エレインが書いた骨格の図案を見ている。
「こんなに巨大な生き物が、僕たちの産まれる遥か昔に存在していたのならば、世界を震撼させる事になるだろうな。是非生きて歩いている姿を見たかった」
ルーカスも、想像力を膨らませ、感嘆のため息をもらしていた。
今までに発見された化石が、生きていた頃の姿を取り戻しつつある事で、ここにいる誰もが興味を惹かれたのだ。
どの様な声だったのか、毛色はどの様な感じなのか、議論は途切れる事なく暫くは化石の話題で盛り上がる事になるのだった。
そしてアルフレッドが学園に持ち込んだ化石の一部は、この巨大な生き物の「歯」ではないかと、エレインは推測したのだ。
「これが、この生き物の歯なのかい」
アルフレッドは、大切に持っていた化石を取り出して来た。
「はい。その可能性は、大きいと思います。同じ形の物が複数見つかっておりますし、動物の臼歯の様にも見えますわ。恐らくこの巨大な生き物は、草食だったのではないでしょうか」
「なるほど、そう言われたら、臼歯に見えて来たぞ。うん、間違いなくこれは臼歯だ。凄いぞエレイン嬢。これ程、大きな臼歯を持つ生き物が、存在していたのだね」
近い内に謎が解けると言ってはいたが、こんなに早く解明されるとは、誰も想像をしていなかった。
「この資料は、直ぐ叔父上にも見せたいのだが、構わないだろうか」
「勿論ですわ、殿下。私も、学園長の意見を聞いてみたいと思っておりましたのよ」
「腰を抜かすのではないか。俺も同席したいです、アルフレッド殿下。学園長の驚いた顔が目に浮かびますから」
「僕も同じ意見だ、ダニエル。学園長が、驚きで目を見張る瞬間は、早々訪れるものではないからな」
「ならば私も御一緒させてください」
ダニエルもルーカスもマシューも、みな学園長の意見が聞きたいのは同じの用だ。
「そうか。私が独り占めをする訳にはいかないな。叔父上は、まだ学園からはお戻りになっていないだろう。何時も夕餉の時間近くまで、残っておられるからね。休日まで待つのもな…思い切って呼び出してみるとしよう。きっと、飛んで帰って来るだろうね」
アルフレッドは、悪戯を思いついた少年の様に笑っている。
学園長には化石の新しい発見があったので、早急に確認をして欲しいと内容を明かさずに伝言だけ伝えたのだった。
それまでにはまだ時間があったので、残された執務を片付ける事にする。
エレインは何もする事がなく手持ち無沙汰だったので、出来る範囲の執務を手伝う事にしたのだ。
既に王妃教育を終えている事を知らない面々は、エレインの仕事の速さに驚く事になる。
本人も、足手纏いになるのでは無いかと遠慮がちだったが、思っていた以上に出来る事が多くて楽しんでいた。
効率よく執務が捗り、休憩をしようとしたところで王弟が帰って来た事を知らせに宮仕えがやって来た。
「叔父上がお戻りになったそうだ。皆で押し掛けようではないか」
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「カシューには、後で面白おかしく報告をするとしよう」
アルフレッドは、実に楽しそうに笑っていた。
マシューの兄であるカシューは、妻と一緒に観劇に行くため、休暇願を出していた。
日頃決まった休暇以外は取った事のない者が、珍しい行動をすると、それに比例するかのような珍事が起こるのかもしれない。
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久し振りに早く帰って来た弟と世間話がしたかった様なのだが、まさか歴史的瞬間に立ち会うとは、夢にも思っていなかったのである。
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「勢揃いではないのかね。なにやら楽しい予感がするのだが、兄上も御一緒してはいかがかな」
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王弟の言葉に、思わず頷きそうになったアルフレッドだったが、ぐっと堪えて資料を手渡した。
「エレイン嬢が纏めた資料です。ご覧になった感想をお聞きしたく、叔父上を呼び立ててしまいました。父上も、宜しければご一緒に見て頂けませんか」
王弟は資料を受け取ると興味深げに読みだしたが、国王はエレインの方に興味が湧いたようだ。
「ほう。エレイン嬢が纏めた資料か。化石の研究に興味を持っている事は聞いていたが、態々資料を纏める程没頭しているとは思わなかったぞ。良かったなアルフレッド、共通の趣味があるのは、良い事だ」
「兄上!その様に、呑気な事を言っている場合ではないぞ。これは、世紀の大発見になるかもしれないんだがね」
興奮した王弟は、目を見開いて驚きの表情を隠しきれずにいた。
そして、ズルズルとソファーからずり落ちて行ったのである。
国王は何事かと思い資料を覗き込んで、兄弟揃って同じ様にソファーの下に座り込んだのだった。
二人が腰を抜かす瞬間を見る事が出来たアルフレッドたちは、満足してそれぞれの屋敷へと帰って行った。
エレインの纏めた資料はそのまま学会で発表され、それは世界中の化石研究者たちの間で瞬く間に広まって行く事になるのだった。
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