59 / 95
姉妹
しおりを挟む
マルゲリーターと毎日一緒に食事をしているうちに、エレインはとある事に気付いたのである。
何時もの様にマルゲリーターが食堂に姿を現し、ルーカスの隣に腰かけた時だった。
「お兄様!何時もお姉様ばっかり隣に座らせるなんて、狡いですわ。私も、お兄様の隣に座りたいのです。席を交代させてください」
突然のエレインの我儘に、ルーカスは呆気にとられたのだが、直ぐに意図を汲み取ったのは流石の洞察力である。
「エリー。僕の隣は、マルゲリーターの席なのだから、我慢しなさい」
「そうよ。ここは私の席なの。あんたは、そっちで寂しく食べていれば良いのよ」
勝ち誇った顔でエレインを見て来るマルゲリーターに、悔しそうな表情を浮かべてエレインは黙るのだった。
気分を良くしたマルゲリーターは、その日は大人しく自分で食事をしていた。
それからエレインは、毎回ルーカスを独り占めするマルゲリーターに悔しそうな表情を見せる様にしていたので、この日もいつも通り文句を言ったのだ。
すると、予想外の言葉が返って来たのである。
「いいよ。そんなに隣に座りたいなら、変わってあげる」
マルゲリーターは、エレインの希望通りに、席を交代してくれたのだ。
これにはルーカスもエレインも驚きを隠せなかった。
「あ。う、嬉しい。お兄様の隣だわ」
「もう、やらなくていいよ」
「そ、そうですか…」
エレインは、バツが悪そうにルーカスの隣の席に腰を下ろした。
マルゲリーターは、静かに食事をしており、何時もとは様子が違っていたのだ。
「どうした。今日は、随分と静かだな。どこか調子でも悪いのか」
「別に。今日は、お兄様の前で食べたかっただけ」
「そうか…」
マルゲリーターは、エレインの方を向くと、初めて普通に声を掛けてきたのだ。
「ねえ。私、痩せすぎて、着れるドレスが無くなっちゃったの。サイズ、直して貰ったんだけど、なんか気に入らないんだ。あんたの要らないドレスがあったら、一枚貸してくれない。心配しなくても、ちゃんと洗って返すわよ」
エレインは、話しかけて貰えるとは思っていなかったので、かなり驚いていた。
「あ…あの。お姉様に、似合いそうなドレスなら持っておりますの。宜しければ、お部屋にお持ち致しますわ」
「そう。後で持って来て頂戴」
「はい、喜んで」
少しだけ、マルゲリーターとの距離が縮まった気がして、エレインは嬉しくなったのだ。
「マリー。明日、一緒にドレスを買いに行こう。早めに帰って来るから、待っていなさい」
「お兄様と、二人だけ?」
「二人で行きたいのなら、そうしよう」
「嬉しい。早く帰って来てね」
「分かった」
マルゲリーターはルーカスから愛称で呼ばれた事と、二人だけで外出出来る事で、勝ち誇った顔をしエレインを見つめたのだ。
エレインは、胸の奥がチクリと痛む感覚がして、戸惑っている。
一緒に行きたいと思う気持ちと、連れて行って貰えない事に、寂しさを感じたのだ。
『まだ、妹としては、認めて貰えないのですね…一緒にお姉様のドレスを選ぶのは楽しそうですが、我儘は言えませんわ』
夕餉の後でエレインは、マルゲリーターに似合いそうだと思ったドレスを見繕い、ルーカスと共に部屋を訪れ言葉を失っていた。
「このお部屋は…」
「私が暴れて壊したの。気にしなくていいよ、買い替える気も無いし。それよりさ、ドレス貸してよ」
「はい、どうぞ」
「ちょっと着替えたいからさ、お兄様は出て行ってくれる」
「しかし」
「叩いたりしないわよ。女の子同士、話がしたいだけ」
「だが…」
「信じられないよね。分かった、もう戻っていいよ」
「いいえ。私も女の子同士、お話しがたいですわ。お兄様、お部屋に戻ってくださいませ」
「エリー」
ルーカスは不安を覚えながらも、廊下で待つと言う約束をして部屋を出たのだ。
大きな音が聞こえたら、容赦なく部屋に飛び込む算段である。
マルゲリーターは、エレインに手伝って貰いながら、ドレスを着る事にした。
痩せた事で二人の体型が同じになったのは、腹違いでも姉妹として似ている部分なのかもしれない。
「ねえ。あんたってさ、胸もお尻も小さいね。ちょっとキツイわこのドレス」
「ごめんなさい。もう少しゆったりしたのを、探して来ますわ」
「何言ってんの?そこは怒るところだよ」
「そうなのですか」
「………私たち、似ていないよね」
「そうですね。幼い頃は、よく似ていたと聞いておりますわ」
「私たち、双子じゃないって知ってた?」
「え?」
「知らないのなら、教えてあげる。私はお母様とお父様の娘で、あんたとは腹違い」
エレインは絶句した、マルゲリーターが何処で真実を聞いたのか、分からなかったからである。
「ビックリするよね。でもさ、見たら分かるよ。あんたとお兄様はそっくりだけど、私だけ似てないもん。お母様と似ているなって、ずっと思っていたんだ。でもさ、信じたくなかったんだ~特別になれないじゃない。庶子は平民なんだよ、だから絶対に秘密にしてよね。バレたら、処刑されちゃうんだよ」
「そんな…」
「嘘じゃないよ」
マルゲリーターは、エレインが思っている以上に、周りを見ていた事が伺えたのだ。
言葉を失っているエレインに、ここぞとばかりに質問を繰り返して来た。
「アル様は、優しい?」
「え?」
「アルフレッド殿下の事だよ。婚約者だったからね、私。ずっと愛称で呼んでた。今は人前で呼ぶ事出来なくなっちゃったけどね。誰も聞いていないところでは、アル様。私だけの、優しい王子様だよ」
「そうですか」
「怒らないの?」
「何故です?」
「…別に」
「?」
「あんたってさ、すぐ薬指触るよね、なんか見えているの?」
「え?」
「無意識?私は、薬指に赤い糸が見えているよ。アル様と繋がっているの」
「本当ですか!」
「嘘に決まってんじゃん」
「………あ」
「簡単に騙されていたら、王妃様にはなれないよ」
「……はい。気を付けます」
「子供の頃はね、アル様と赤い糸を結んで遊んでいたんだ。いっぱい抱きしめてもらって、おでこにもキスしてくれたの。あの頃は、幸せだったな」
「羨ましいです」
「本当?」
「はい。私は、遊んで貰えるお友達がおりませんでしたから、楽しい思い出は何もないのです」
「そうなんだ…ねえ。孤児院て、どんな所なの?…やっぱいいわ。帝国って、どんな所だった?」
「とても大きくて、綺麗な所でしたわ。次はお姉様も、一緒に行きましょう」
「気が向いたらね。あんたのお母様は皇弟妃なんでしょう。いいね、どんな人」
「寡黙ですが、素敵な方です」
「ふ~ん。お母様の事、自慢なんだ」
「私には三人母がいますが、皆大切な方たちです」
「三人?お母様は、あんたの母親じゃないでしょう」
「ええと、皇弟妃と、養母と、孤児院の院長です」
「へ~幸せそうだね」
「はい。幸せです」
「私は…幸せじゃなかったな」
「そうなのですか」
「あんたに比べたら、ずっと幸せだったかもね」
「え?」
「お兄様の事は、好き?」
「はい。大好きです」
「良かったね。愛されていて」
「お兄様は、お姉様の事も、愛しておりますわ」
「どうかな」
「絶対に愛しております」
「あんたって、おめでたい頭しているね」
「え?」
「私の事は、好きになれそう?」
「はい。お姉様と一緒に、かくれんぼとかしたいです」
「そう。気が向いたらね」
「楽しみにしております」
「私がいなくなっても、お兄様を恨んだら駄目だよ」
「え?」
「何でもない。もう行っていいよ」
「お姉様」
「なに?」
エレインは、ポケットからシルクのリボンを取り出した。
「もし嫌でなければ、こちらのリボンを、お使い頂けませんか」
「要らない」
「どうしてですか。私も色違いのリボンを持っているので、姉妹なのですから、お揃いにしたいのです」
「ふ~ん」
マルゲリーターは、暫くリボンを眺めて考えている様だった。
「じゃあ、それは貰ってあげる。だけど、もう余計な事はしなくてもいいからね」
「そんな…余計だなんて…」
「五月蠅い!言う事聞かないと、口利いてあげないよ」
「すみません」
「おやすみ、また明日ね…そうだ、今日の話しは、絶対に二人だけの秘密だよ」
「はい、二人だけの秘密ですね、お約束致しますわ。おやすみなさい、お姉様。また明日」
エレインが、マルゲリーターの部屋に入ったのは、この日が最初で最後であった。
何時もの様にマルゲリーターが食堂に姿を現し、ルーカスの隣に腰かけた時だった。
「お兄様!何時もお姉様ばっかり隣に座らせるなんて、狡いですわ。私も、お兄様の隣に座りたいのです。席を交代させてください」
突然のエレインの我儘に、ルーカスは呆気にとられたのだが、直ぐに意図を汲み取ったのは流石の洞察力である。
「エリー。僕の隣は、マルゲリーターの席なのだから、我慢しなさい」
「そうよ。ここは私の席なの。あんたは、そっちで寂しく食べていれば良いのよ」
勝ち誇った顔でエレインを見て来るマルゲリーターに、悔しそうな表情を浮かべてエレインは黙るのだった。
気分を良くしたマルゲリーターは、その日は大人しく自分で食事をしていた。
それからエレインは、毎回ルーカスを独り占めするマルゲリーターに悔しそうな表情を見せる様にしていたので、この日もいつも通り文句を言ったのだ。
すると、予想外の言葉が返って来たのである。
「いいよ。そんなに隣に座りたいなら、変わってあげる」
マルゲリーターは、エレインの希望通りに、席を交代してくれたのだ。
これにはルーカスもエレインも驚きを隠せなかった。
「あ。う、嬉しい。お兄様の隣だわ」
「もう、やらなくていいよ」
「そ、そうですか…」
エレインは、バツが悪そうにルーカスの隣の席に腰を下ろした。
マルゲリーターは、静かに食事をしており、何時もとは様子が違っていたのだ。
「どうした。今日は、随分と静かだな。どこか調子でも悪いのか」
「別に。今日は、お兄様の前で食べたかっただけ」
「そうか…」
マルゲリーターは、エレインの方を向くと、初めて普通に声を掛けてきたのだ。
「ねえ。私、痩せすぎて、着れるドレスが無くなっちゃったの。サイズ、直して貰ったんだけど、なんか気に入らないんだ。あんたの要らないドレスがあったら、一枚貸してくれない。心配しなくても、ちゃんと洗って返すわよ」
エレインは、話しかけて貰えるとは思っていなかったので、かなり驚いていた。
「あ…あの。お姉様に、似合いそうなドレスなら持っておりますの。宜しければ、お部屋にお持ち致しますわ」
「そう。後で持って来て頂戴」
「はい、喜んで」
少しだけ、マルゲリーターとの距離が縮まった気がして、エレインは嬉しくなったのだ。
「マリー。明日、一緒にドレスを買いに行こう。早めに帰って来るから、待っていなさい」
「お兄様と、二人だけ?」
「二人で行きたいのなら、そうしよう」
「嬉しい。早く帰って来てね」
「分かった」
マルゲリーターはルーカスから愛称で呼ばれた事と、二人だけで外出出来る事で、勝ち誇った顔をしエレインを見つめたのだ。
エレインは、胸の奥がチクリと痛む感覚がして、戸惑っている。
一緒に行きたいと思う気持ちと、連れて行って貰えない事に、寂しさを感じたのだ。
『まだ、妹としては、認めて貰えないのですね…一緒にお姉様のドレスを選ぶのは楽しそうですが、我儘は言えませんわ』
夕餉の後でエレインは、マルゲリーターに似合いそうだと思ったドレスを見繕い、ルーカスと共に部屋を訪れ言葉を失っていた。
「このお部屋は…」
「私が暴れて壊したの。気にしなくていいよ、買い替える気も無いし。それよりさ、ドレス貸してよ」
「はい、どうぞ」
「ちょっと着替えたいからさ、お兄様は出て行ってくれる」
「しかし」
「叩いたりしないわよ。女の子同士、話がしたいだけ」
「だが…」
「信じられないよね。分かった、もう戻っていいよ」
「いいえ。私も女の子同士、お話しがたいですわ。お兄様、お部屋に戻ってくださいませ」
「エリー」
ルーカスは不安を覚えながらも、廊下で待つと言う約束をして部屋を出たのだ。
大きな音が聞こえたら、容赦なく部屋に飛び込む算段である。
マルゲリーターは、エレインに手伝って貰いながら、ドレスを着る事にした。
痩せた事で二人の体型が同じになったのは、腹違いでも姉妹として似ている部分なのかもしれない。
「ねえ。あんたってさ、胸もお尻も小さいね。ちょっとキツイわこのドレス」
「ごめんなさい。もう少しゆったりしたのを、探して来ますわ」
「何言ってんの?そこは怒るところだよ」
「そうなのですか」
「………私たち、似ていないよね」
「そうですね。幼い頃は、よく似ていたと聞いておりますわ」
「私たち、双子じゃないって知ってた?」
「え?」
「知らないのなら、教えてあげる。私はお母様とお父様の娘で、あんたとは腹違い」
エレインは絶句した、マルゲリーターが何処で真実を聞いたのか、分からなかったからである。
「ビックリするよね。でもさ、見たら分かるよ。あんたとお兄様はそっくりだけど、私だけ似てないもん。お母様と似ているなって、ずっと思っていたんだ。でもさ、信じたくなかったんだ~特別になれないじゃない。庶子は平民なんだよ、だから絶対に秘密にしてよね。バレたら、処刑されちゃうんだよ」
「そんな…」
「嘘じゃないよ」
マルゲリーターは、エレインが思っている以上に、周りを見ていた事が伺えたのだ。
言葉を失っているエレインに、ここぞとばかりに質問を繰り返して来た。
「アル様は、優しい?」
「え?」
「アルフレッド殿下の事だよ。婚約者だったからね、私。ずっと愛称で呼んでた。今は人前で呼ぶ事出来なくなっちゃったけどね。誰も聞いていないところでは、アル様。私だけの、優しい王子様だよ」
「そうですか」
「怒らないの?」
「何故です?」
「…別に」
「?」
「あんたってさ、すぐ薬指触るよね、なんか見えているの?」
「え?」
「無意識?私は、薬指に赤い糸が見えているよ。アル様と繋がっているの」
「本当ですか!」
「嘘に決まってんじゃん」
「………あ」
「簡単に騙されていたら、王妃様にはなれないよ」
「……はい。気を付けます」
「子供の頃はね、アル様と赤い糸を結んで遊んでいたんだ。いっぱい抱きしめてもらって、おでこにもキスしてくれたの。あの頃は、幸せだったな」
「羨ましいです」
「本当?」
「はい。私は、遊んで貰えるお友達がおりませんでしたから、楽しい思い出は何もないのです」
「そうなんだ…ねえ。孤児院て、どんな所なの?…やっぱいいわ。帝国って、どんな所だった?」
「とても大きくて、綺麗な所でしたわ。次はお姉様も、一緒に行きましょう」
「気が向いたらね。あんたのお母様は皇弟妃なんでしょう。いいね、どんな人」
「寡黙ですが、素敵な方です」
「ふ~ん。お母様の事、自慢なんだ」
「私には三人母がいますが、皆大切な方たちです」
「三人?お母様は、あんたの母親じゃないでしょう」
「ええと、皇弟妃と、養母と、孤児院の院長です」
「へ~幸せそうだね」
「はい。幸せです」
「私は…幸せじゃなかったな」
「そうなのですか」
「あんたに比べたら、ずっと幸せだったかもね」
「え?」
「お兄様の事は、好き?」
「はい。大好きです」
「良かったね。愛されていて」
「お兄様は、お姉様の事も、愛しておりますわ」
「どうかな」
「絶対に愛しております」
「あんたって、おめでたい頭しているね」
「え?」
「私の事は、好きになれそう?」
「はい。お姉様と一緒に、かくれんぼとかしたいです」
「そう。気が向いたらね」
「楽しみにしております」
「私がいなくなっても、お兄様を恨んだら駄目だよ」
「え?」
「何でもない。もう行っていいよ」
「お姉様」
「なに?」
エレインは、ポケットからシルクのリボンを取り出した。
「もし嫌でなければ、こちらのリボンを、お使い頂けませんか」
「要らない」
「どうしてですか。私も色違いのリボンを持っているので、姉妹なのですから、お揃いにしたいのです」
「ふ~ん」
マルゲリーターは、暫くリボンを眺めて考えている様だった。
「じゃあ、それは貰ってあげる。だけど、もう余計な事はしなくてもいいからね」
「そんな…余計だなんて…」
「五月蠅い!言う事聞かないと、口利いてあげないよ」
「すみません」
「おやすみ、また明日ね…そうだ、今日の話しは、絶対に二人だけの秘密だよ」
「はい、二人だけの秘密ですね、お約束致しますわ。おやすみなさい、お姉様。また明日」
エレインが、マルゲリーターの部屋に入ったのは、この日が最初で最後であった。
1,303
あなたにおすすめの小説
【完結】偽物と呼ばれた公爵令嬢は正真正銘の本物でした~私は不要とのことなのでこの国から出ていきます~
Na20
恋愛
私は孤児院からノスタルク公爵家に引き取られ養子となったが家族と認められることはなかった。
婚約者である王太子殿下からも蔑ろにされておりただただ良いように使われるだけの毎日。
そんな日々でも唯一の希望があった。
「必ず迎えに行く!」
大好きだった友達との約束だけが私の心の支えだった。だけどそれも八年も前の約束。
私はこれからも変わらない日々を送っていくのだろうと諦め始めていた。
そんな時にやってきた留学生が大好きだった友達に似ていて…
※設定はゆるいです
※小説家になろう様にも掲載しています
【完結】私を捨てた皆様、どうぞその選択を後悔なさってください 〜婚約破棄された令嬢の、遅すぎる謝罪はお断りです〜
くろねこ
恋愛
王太子の婚約者として尽くしてきた公爵令嬢エリシアは、ある日突然、身に覚えのない罪で断罪され婚約破棄を言い渡される。
味方だと思っていた家族も友人も、誰一人として彼女を庇わなかった。
――けれど、彼らは知らなかった。
彼女こそが国を支えていた“本当の功労者”だったことを。
すべてを失ったはずの令嬢が選んだのは、
復讐ではなく「関わらない」という選択。
だがその選択こそが、彼らにとって最も残酷な“ざまぁ”の始まりだった。
【完結】殿下、自由にさせていただきます。
なか
恋愛
「出て行ってくれリルレット。王宮に君が住む必要はなくなった」
その言葉と同時に私の五年間に及ぶ初恋は終わりを告げた。
アルフレッド殿下の妃候補として選ばれ、心の底から喜んでいた私はもういない。
髪を綺麗だと言ってくれた口からは、私を貶める言葉しか出てこない。
見惚れてしまう程の笑みは、もう見せてもくれない。
私………貴方に嫌われた理由が分からないよ。
初夜を私一人だけにしたあの日から、貴方はどうして変わってしまったの?
恋心は砕かれた私は死さえ考えたが、過去に見知らぬ男性から渡された本をきっかけに騎士を目指す。
しかし、正騎士団は女人禁制。
故に私は男性と性別を偽って生きていく事を決めたのに……。
晴れて騎士となった私を待っていたのは、全てを見抜いて笑う副団長であった。
身分を明かせない私は、全てを知っている彼と秘密の恋をする事になる。
そして、騎士として王宮内で起きた変死事件やアルフレッドの奇行に大きく関わり、やがて王宮に蔓延る謎と対峙する。
これは、私の初恋が終わり。
僕として新たな人生を歩みだした話。
婚約が白紙になりました。あとは自由に生きていきます~攻略対象たちの様子が何やらおかしいですが、悪役令嬢には無関係です~
Na20
恋愛
乙女ゲーム"この花束を君に"、通称『ハナキミ』の世界に転生してしまった。
しかも悪役令嬢に。
シナリオどおりヒロインをいじめて、断罪からのラスボス化なんてお断り!
私は自由に生きていきます。
※この作品は以前投稿した『空気にされた青の令嬢は、自由を志す』を加筆・修正したものになります。以前の作品は投稿始め次第、取り下げ予定です。
※改稿でき次第投稿するので、不定期更新になります。
【完結】家族にサヨナラ。皆様ゴキゲンヨウ。
くま
恋愛
「すまない、アデライトを愛してしまった」
「ソフィア、私の事許してくれるわよね?」
いきなり婚約破棄をする婚約者と、それが当たり前だと言い張る姉。そしてその事を家族は姉達を責めない。
「病弱なアデライトに譲ってあげなさい」と……
私は昔から家族からは二番目扱いをされていた。いや、二番目どころでもなかった。私だって、兄や姉、妹達のように愛されたかった……だけど、いつも優先されるのは他のキョウダイばかり……我慢ばかりの毎日。
「マカロン家の長男であり次期当主のジェイコブをきちんと、敬い立てなさい」
「はい、お父様、お母様」
「長女のアデライトは体が弱いのですよ。ソフィア、貴女がきちんと長女の代わりに動くのですよ」
「……はい」
「妹のアメリーはまだ幼い。お前は我慢しなさい。下の子を面倒見るのは当然なのだから」
「はい、わかりました」
パーティー、私の誕生日、どれも私だけのなんてなかった。親はいつも私以外のキョウダイばかり、
兄も姉や妹ばかり構ってばかり。姉は病弱だからと言い私に八つ当たりするばかり。妹は我儘放題。
誰も私の言葉を聞いてくれない。
誰も私を見てくれない。
そして婚約者だったオスカー様もその一人だ。病弱な姉を守ってあげたいと婚約破棄してすぐに姉と婚約をした。家族は姉を祝福していた。私に一言も…慰めもせず。
ある日、熱にうなされ誰もお見舞いにきてくれなかった時、前世を思い出す。前世の私は家族と仲良くもしており、色々と明るい性格の持ち主さん。
「……なんか、馬鹿みたいだわ!」
もう、我慢もやめよう!家族の前で良い子になるのはもうやめる!
ふるゆわ設定です。
※家族という呪縛から解き放たれ自分自身を見つめ、好きな事を見つけだすソフィアを応援して下さい!
※ざまあ話とか読むのは好きだけど書くとなると難しいので…読者様が望むような結末に納得いかないかもしれません。🙇♀️でも頑張るます。それでもよければ、どうぞ!
追加文
番外編も現在進行中です。こちらはまた別な主人公です。
【完結】この運命を受け入れましょうか
なか
恋愛
「君のようは妃は必要ない。ここで廃妃を宣言する」
自らの夫であるルーク陛下の言葉。
それに対して、ヴィオラ・カトレアは余裕に満ちた微笑みで答える。
「承知しました。受け入れましょう」
ヴィオラにはもう、ルークへの愛など残ってすらいない。
彼女が王妃として支えてきた献身の中で、平民生まれのリアという女性に入れ込んだルーク。
みっともなく、情けない彼に対して恋情など抱く事すら不快だ。
だが聖女の素養を持つリアを、ルークは寵愛する。
そして貴族達も、莫大な益を生み出す聖女を妃に仕立てるため……ヴィオラへと無実の罪を被せた。
あっけなく信じるルークに呆れつつも、ヴィオラに不安はなかった。
これからの顛末も、打開策も全て知っているからだ。
前世の記憶を持ち、ここが物語の世界だと知るヴィオラは……悲運な運命を受け入れて彼らに意趣返す。
ふりかかる不幸を全て覆して、幸せな人生を歩むため。
◇◇◇◇◇
設定は甘め。
不安のない、さっくり読める物語を目指してます。
良ければ読んでくだされば、嬉しいです。
〈完結〉【書籍化&コミカライズ】悪妃は余暇を楽しむ
ごろごろみかん。
恋愛
「こちら、離縁届です。私と、離縁してくださいませ、陛下」
ある日、悪妃と名高いクレメンティーナが夫に渡したのは、離縁届だった。彼女はにっこりと笑って言う。
「先日、あなた方の真実の愛を拝見させていただきまして……有難いことに目が覚めましたわ。ですので、王妃、やめさせていただこうかと」
何せ、あれだけ見せつけてくれたのである。ショックついでに前世の記憶を取り戻して、千年の恋も瞬間冷凍された。
都合のいい女は本日で卒業。
今後は、余暇を楽しむとしましょう。
吹っ切れた悪妃は身辺整理を終えると早々に城を出て行ってしまった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる