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王子にお礼参りしに行く途中で側妃に『妾風情は黙っていろ』と叫んでしまいました
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馬車の中はバリーがいると暑苦しいので外の御者台に追いやっても、バリーは何も文句は言わなかった。
天使な息子のシャルルは馬車の中で少し騒いでいたが、私のおっぱいを飲んだら眠くなったのかそのまま寝てくれた。
すやすや眠るシャルルもとてもかわいい。本当に天使な息子だ。
私はギュッとシャルルを抱き締めた。
王宮の前に着くと、さっとバリーが馬車の扉を開けてくれた。
そのままエスコートしておろしてくれる。
王宮の入口もバリーのお陰で顔パスだった。
昔はいつも門番と一騒動あったのだが……
エドは冒険の後は絶対に二度と私を王宮の中にいれるなと命令していたのだ。
私にとってそんな命令どこ吹く風なのだが。
今日も門番は私を一瞬見て目を見開いたのだが、
「王太子殿下へのお客様だ」
バリーがそう言ってくれたらあっさり通してくれた。
命令に忠実にあろうとして、いつも最後には私に電撃を浴びせられる彼なんだけど。
いつもこれくらい私にも忠実だったら言うことないのに!
私も余分な手間がかからなくて楽だ。
今は寝ているシャルルを抱えているのだからなおさらだ。
騒動でシャルルが起きたら、門番にまた雷撃を浴びせないといけないところだった……
王宮の中もバリーの先導で誰からも咎められることなく歩けた。
というか、私の知り合いは私を見た途端に血相変えて逃げていくんだけど……
「何も逃げることはないのに!」
私が呟くと
「お嬢様に何かされるのを怖れたのではないですか」
ボソリとアリスが答えてくれるんだけど
「何言っているのよ。普通、人は目の前から逃げられると追いかけたくなるものなのよ」
そう言ったら、
「それは人じゃなくて犬や熊の間違いではないですか?」
アリスに指摘されたんだけど……
「私を熊なんて凶暴な獣にしないで欲しい」
ムッとして言うと
「そうですね。お嬢様はそんなやわなものではなくてドラゴン、それもドラゴンの主ですね」
更に酷いことを言ってくれるんだけど。
それに、今は天使な息子のシャルルを抱えているから追いかけたりしないわよ!
起きたらどうするのよ!
私がそう思った時だ。
「おい、お前、こちらは側妃様のお通りだ。何故横に避けない」
前から大声がした。
その声に反応してピクッとシャルルがしたのだ。
ええええ! せっかく寝ていたのに!
こちらをバリーが振り返ってきたけれど、それどころではない。
「よちよち」
私は再度シャルルを軽く揺すったのだ。
これで、また、寝てくれる。と安心した。
シャルルはいつもはご機嫌なのだが、昼寝を邪魔されるとぐずるのだ。
その間に横に私は横に退いてやったのだ。
この私がだ。
ここで揉めてシャルルが起きて泣き出すよりはましだ。
と私は思ったのだ。
私は必死にシャルルを再度寝かせようとしていたのだ。
「ちょっと、そこの貴方。何で私に頭を下げないの」
そこへ近衛に囲まれたいかめしそうな女が怒鳴りつけてきたのだ。
それで終わりだった。
「オギャーーーーオギャーーーー」
いきなりシャルルが泣き出したのだ。
私も完全に切れてしまった。王宮でなかったら雷撃していたところだった。
「ちょっとそこのあなたいい加減に……」
「煩いわね。妾風情が偉そうにしてるんじゃないわよ!」
私は大声で言い返していたのだ。
************************************************
ここまで読んで頂いて有難うございました。
さて、側妃様に逆らったジャンヌの運命やいかに?
続きをお楽しみに!
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天使な息子のシャルルは馬車の中で少し騒いでいたが、私のおっぱいを飲んだら眠くなったのかそのまま寝てくれた。
すやすや眠るシャルルもとてもかわいい。本当に天使な息子だ。
私はギュッとシャルルを抱き締めた。
王宮の前に着くと、さっとバリーが馬車の扉を開けてくれた。
そのままエスコートしておろしてくれる。
王宮の入口もバリーのお陰で顔パスだった。
昔はいつも門番と一騒動あったのだが……
エドは冒険の後は絶対に二度と私を王宮の中にいれるなと命令していたのだ。
私にとってそんな命令どこ吹く風なのだが。
今日も門番は私を一瞬見て目を見開いたのだが、
「王太子殿下へのお客様だ」
バリーがそう言ってくれたらあっさり通してくれた。
命令に忠実にあろうとして、いつも最後には私に電撃を浴びせられる彼なんだけど。
いつもこれくらい私にも忠実だったら言うことないのに!
私も余分な手間がかからなくて楽だ。
今は寝ているシャルルを抱えているのだからなおさらだ。
騒動でシャルルが起きたら、門番にまた雷撃を浴びせないといけないところだった……
王宮の中もバリーの先導で誰からも咎められることなく歩けた。
というか、私の知り合いは私を見た途端に血相変えて逃げていくんだけど……
「何も逃げることはないのに!」
私が呟くと
「お嬢様に何かされるのを怖れたのではないですか」
ボソリとアリスが答えてくれるんだけど
「何言っているのよ。普通、人は目の前から逃げられると追いかけたくなるものなのよ」
そう言ったら、
「それは人じゃなくて犬や熊の間違いではないですか?」
アリスに指摘されたんだけど……
「私を熊なんて凶暴な獣にしないで欲しい」
ムッとして言うと
「そうですね。お嬢様はそんなやわなものではなくてドラゴン、それもドラゴンの主ですね」
更に酷いことを言ってくれるんだけど。
それに、今は天使な息子のシャルルを抱えているから追いかけたりしないわよ!
起きたらどうするのよ!
私がそう思った時だ。
「おい、お前、こちらは側妃様のお通りだ。何故横に避けない」
前から大声がした。
その声に反応してピクッとシャルルがしたのだ。
ええええ! せっかく寝ていたのに!
こちらをバリーが振り返ってきたけれど、それどころではない。
「よちよち」
私は再度シャルルを軽く揺すったのだ。
これで、また、寝てくれる。と安心した。
シャルルはいつもはご機嫌なのだが、昼寝を邪魔されるとぐずるのだ。
その間に横に私は横に退いてやったのだ。
この私がだ。
ここで揉めてシャルルが起きて泣き出すよりはましだ。
と私は思ったのだ。
私は必死にシャルルを再度寝かせようとしていたのだ。
「ちょっと、そこの貴方。何で私に頭を下げないの」
そこへ近衛に囲まれたいかめしそうな女が怒鳴りつけてきたのだ。
それで終わりだった。
「オギャーーーーオギャーーーー」
いきなりシャルルが泣き出したのだ。
私も完全に切れてしまった。王宮でなかったら雷撃していたところだった。
「ちょっとそこのあなたいい加減に……」
「煩いわね。妾風情が偉そうにしてるんじゃないわよ!」
私は大声で言い返していたのだ。
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さて、側妃様に逆らったジャンヌの運命やいかに?
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