悪役令嬢に転生したけど、婚約破棄には興味ありません! 学園生活を満喫するのに忙しいです

古里@3巻電子書籍化『王子に婚約破棄され

文字の大きさ
99 / 309
第三部 ルートン王国交換留学編

アドの歓迎と私の海賊退治の功を祝して夜会が開かれる事になりました。

しおりを挟む
私への疑いは晴れた。

それは疑いが晴れたのは良いけれど、海賊退治した公爵令嬢として陛下からルートン王国の貴族たちの前で大々的に称賛されたのだ。その後、ルートン王国勲章などというものを授かったのだ。
めったに他国の者には与えられないらしい。

でも私はこんなのいらないんだけど・・・・。

結局また、私は英雄になってしまった。

まあ、クラスでたくさん友達が出来た後で良かったけれど・・・・。

「流石、お転婆な方は違いますわね。私だったら絶対にあんな馬鹿なことは出来ないわ。あのバカみたいな罵声の意味は何かあるのかしら? 一瞬どこの動物園の猿かと思いましたわ」
私に助けられたはずのグレースからは完全にバカにされるし、

「さすが脳筋令嬢は違いますわ。私なんか怖くて絶対にあんこと出来なかったです」
とピンク頭はそう言ってA組の伯爵令息の胸の中で怖がるふりしていたとか・・・・。

ピンク頭はどこが反省しているのよ! また、留学先で問題起こしまくりだと私は庇わないわよ、と密かに思った。

まあ、どのみち、私は帝国教の教皇を殴り倒した令嬢だとか、熊より強い令嬢だとか、ドラゴンでも片手で捻り倒す令嬢とか、エルグランでは噂されているのだ。海賊退治の一つくらい勲章が増えてもどうって事ないが、せっかく見ず知らずの国でおしとやかな令嬢として普通に生活できると思ったのに、これじゃあ絶対に無理じゃない!

そう言ったら、
「あんた何言っているのよ。元々あんたがおしとやかな令嬢なわけないでしょ。騎士団長の息子も一撃で気絶させるくらいなのに」
メラニーに言われてしまったんだけど。うーん、なにか違う!


一時期は王宮から無事に帰れるんだろうかと心配になったくらいだが、陛下からは勲章以外に金一封もらったので、女の子皆で食べに行こうと思ったのは男子には秘密だ。

そして、帰ろうとした時だ。

「また、詳しくは明日の歓迎会の夜会でお会いしよう」
陛下から爆弾発言があったんだけど。

私はそんなの聞いていないし。

「フランは衣装はどうするのよ」
帰る時にメラニーが聞いてきた。

「えっ、夜会なんて出るわけ無いでしょ。アドが1人で行くんじゃないの」
私が言ったら、
「んな訳あるか。俺がエスコートするからそのつもりで」
アドに言われたんだけど。

「いや、でも、衣装はないし」
私は必死に断ろうとしたのだ。基本的に私は夜会とか堅苦しいのが大嫌いなのだ。今までもできる限り避けてきた。本来、学生の間は免除されるはずなのだ。

「フランソワーズさん。今回の夜会は留学生の歓迎の意も兼ねているのです。それにあなたのあの大活躍の海賊退治の功を祝したお祝いでもあるのです。不参加は許されませんよ」
なんかフェリシー先生が怖い。勝手に暴れたので、怒っているのだ、絶対に。あんなはしたない事をして、とか、淑女にあるまじき行いとか王宮から帰ったら散々怒られるのだ。

でも、待てよ。私がしたことを陛下が祝ってくれるのならば、私は怒られないのでは無いか・・・・フェリシー先生のお説教3時間コースと嫌な夜会に参加するのとを天秤にかけてみたけれど、両方とも不参加とかいうのは無いの?

私は結局アドやフェリシー先生の圧力に負けて、夜会に参加する羽目になってしまったのだ。

制服で参加するという私の意見は一瞬で却下された。

仕方がないからイネから服を借りようと思ったら、アドが既に持って来ているとのことだった。アドは元々歓迎の夜会に私を参加させるつもり満々だったのだ。それならそうと言っておいてほしかった。私にも心の準備が必要なのだ。

「そんな事したらフランは逃げるだろう」
アドに言われて私は一言も言い返せなかった。

まあ、仕方がない。エルグランでは学生は免除されていたのに、このルートン王国では16歳前後で貴族は夜会に参加出来るらしいし、実際、皆は参加しているらしい。夏に王宮で盛大な夜会パーティーがあって、貴族の子供の大半がそこでデビューしたそうだ。

「当日はフラン様の凛々しい海賊退治の映像がお披露目されると聞きました。今から楽しみです」
イネに言われたんだけど。

止めて! あんなの皆に見せられたらお嫁に行けないじゃない。

それを間違ってアドの前で言ってしまって、「お前はもう俺の婚約者だろうが。卒業と同時に結婚も決まっているし」
なんかアドが私が聞いた事もない事を宣っているんだけど。

そらあ、アドとはいずれ結婚するとは思っているけれど、卒業してすぐは嫌だ。もう少し遊びたい。
私はそう思った。アド本人にその事を言うとまた煩いから、メラニーらに相談しようと思ったのだ。

アドの持ってきた衣装は濃い青に黒のラインが入っているシンプルな色合いのドレスだった。私の無い胸を強調した衣装とかでなくて良かったと私はホッとした。こういう時は付き合いが長い分、私の考えを言わずとも判ってくれていると思ったのだ。

「単にあんたが目立って、他の男達の視線を集めないように地味なのにしているだけじゃないの? 殿下はあんたに執着しているから」
メラニーの言葉を聞くと身も蓋もないんだけど。私は私の考えをアドが尊重してくれたと考えたい。それに私みたいながさつな女がそもそもモテる訳はないのだ。

「そうかな。フランは黙っていたらとても美人よ」
メラニーがなんか褒めてくれるけれども、私が黙っていられるわけないじゃない!

それに考えたら学園のサマーパーティーもピンク頭の自作自演で無くなったし、ひょっとしなくても私達のデビュタントではないの?

さすがの私も初パーティーだと思うと少し緊張した。でも、聞くとメラニーらは親戚の簡単なパーティーで既にデビューしているんだとか。オーレリアンもそうみたいで、平民のアルマンですら父親とデビューしていた。

ひょっとして初めてなのは私だけ?

私はますます緊張して来た。

そんなところへ颯爽とアドが迎えに来てくれたのだ。

「えっ、どうしたんだ。フラン。顔が少し青いけど気分でも悪いのか?」
アドが驚いて聞いてきた。

「違いますよ。殿下。フランは初パーティーで緊張しているんです」
メラニーが後ろから言ってくれた。余計なことを言わなくてもいいのに。

「えっ、嘘だろ。そうだったか? あれだけ王宮でも俺と踊っていたのに、パーティーは初めてだったのか?」
「もう、声が大きい」
私がムッとして言った。当然私にもいろんな機会があったけれど、全てうまく言い逃れして逃げたのだ。練習ではアドといやほど踊ったけれど、正式な夜会は初めてなのだ。それも他国で、なおかつ私も主賓の一人ってちょっとハードルが高すぎない?

「判りました。我が姫君。姫の初めてのパーティーのエスコートをさせて頂けて光栄です」
アドが綺麗に頭を下げてくれた。

ちょっと、アド、周りの注目を浴びているんだけど。

「では、フラン。行こうか」
そう言うとアドが手を差し出した。

もうやけだ。こうなったらやるしかない。

まあ、何とかなるだろう。

いつも、フェリシー先生からは散々ダメ出し受けているけれど、あれは先生が厳しすぎるからだと思うことにした。

私はアドにニコっと笑って頷くとその手を取ったのだ。

**********************************************************************
ここまで読んで頂いて有難うございます。

私の人気小説をここで紹介します!

『モブですら無いと落胆したら悪役令嬢だった~前世コミュ障引きこもりだった私は今世は素敵な恋がしたい~』

https://www.alphapolis.co.jp/novel/237012270/337638866

下にリンクもあります。

前世コミュ障で話し下手な私はゲームの世界に転生できた。しかし、ヒロインにしてほしいと神様に祈ったのに、なんとモブにすらなれなかった。こうなったら仕方がない。せめてゲームの世界が見れるように一生懸命勉強して私は最難関の王立学園に入学した。ヒロインの聖女と王太子、多くのイケメンが出てくるけれど、所詮モブにもなれない私はお呼びではない。コミュ障は相変わらずだし、でも、折角神様がくれたチャンスだ。今世は絶対に恋に生きるのだ。でも色々やろうとするんだけれど、全てから回り、全然うまくいかない。挙句の果てに私が悪役令嬢だと判ってしまった。
でも、聖女は虐めていないわよ。えええ?、反逆者に私の命が狙われるている?ちょっと、それは断罪されてた後じゃないの? そこに剣構えた人が待ち構えているんだけど・・・・まだ死にたくないわよ・・・・。
果たして主人公は生き残れるのか? 恋はかなえられるのか?
ハッピーエンド目指して頑張ります。

その続編はこちら
『転生して悲劇の王女になったつもりが魔王でした!勇者から斬りつけられて素手で殴り返した、前世コミュ障引き籠りだった弱小王国王女の帝国建国物語』

https://www.alphapolis.co.jp/novel/237012270/782706326

ぜひともお読み頂ければと思います!

しおりを挟む
感想 334

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

存在感のない聖女が姿を消した後 [完]

風龍佳乃
恋愛
聖女であるディアターナは 永く仕えた国を捨てた。 何故って? それは新たに現れた聖女が ヒロインだったから。 ディアターナは いつの日からか新聖女と比べられ 人々の心が離れていった事を悟った。 もう私の役目は終わったわ… 神託を受けたディアターナは 手紙を残して消えた。 残された国は天災に見舞われ てしまった。 しかし聖女は戻る事はなかった。 ディアターナは西帝国にて 初代聖女のコリーアンナに出会い 運命を切り開いて 自分自身の幸せをみつけるのだった。

悪役令嬢が美形すぎるせいで話が進まない

陽炎氷柱
恋愛
「傾国の美女になってしまったんだが」 デブス系悪役令嬢に生まれた私は、とにかく美しい悪の華になろうとがんばった。賢くて美しい令嬢なら、だとえ断罪されてもまだ未来がある。 そう思って、前世の知識を活用してダイエットに励んだのだが。 いつの間にかパトロンが大量発生していた。 ところでヒロインさん、そんなにハンカチを強く嚙んだら歯並びが悪くなりますよ?

〈完結〉【書籍化&コミカライズ・取り下げ予定】毒を飲めと言われたので飲みました。

ごろごろみかん。
恋愛
王妃シャリゼは、稀代の毒婦、と呼ばれている。 国中から批判された嫌われ者の王妃が、やっと処刑された。 悪は倒れ、国には平和が戻る……はずだった。

お嬢様はお亡くなりになりました。

豆狸
恋愛
「お嬢様は……十日前にお亡くなりになりました」 「な……なにを言っている?」

国外追放ですか? 承りました。では、すぐに国外にテレポートします。

樋口紗夕
恋愛
公爵令嬢ヘレーネは王立魔法学園の卒業パーティーで第三王子ジークベルトから婚約破棄を宣言される。 ジークベルトの真実の愛の相手、男爵令嬢ルーシアへの嫌がらせが原因だ。 国外追放を言い渡したジークベルトに、ヘレーネは眉一つ動かさずに答えた。 「国外追放ですか? 承りました。では、すぐに国外にテレポートします」

私に姉など居ませんが?

山葵
恋愛
「ごめんよ、クリス。僕は君よりお姉さんの方が好きになってしまったんだ。だから婚約を解消して欲しい」 「婚約破棄という事で宜しいですか?では、構いませんよ」 「ありがとう」 私は婚約者スティーブと結婚破棄した。 書類にサインをし、慰謝料も請求した。 「ところでスティーブ様、私には姉はおりませんが、一体誰と婚約をするのですか?」

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
番外編を閲覧することが出来ません。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。