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閑話1 家賃滞納の件
01 エログロス、大家に怯える
しおりを挟むヤバイ、ヤバイ、ヤバイ。
エロトラップダンジョン管理者エログロスは焦っていた。
家賃滞納三ヶ月。そろそろ奴が来る頃だ。支払いはまだ少しも用意できていない。
「どうしようどうしようどうしよう…。最近は挑戦者が一階ですぐに退場しちゃうもんだから、最高に懐が寂しいってのに…」
やはりダンジョンは賃貸より持ち家にすべきだった。手頃な場所で手頃に見つかったからって勢いで借りるもんじゃない。
別に借りなくても購入で35年ローンにしたって良かったじゃないか。
「でもなぁ、自分で言うのも何だが、僕って結構飽きっぽいからなぁ~。35年ローンにするとな~、ずっとこの土地にいないといけないしなぁ~」
エログロスは監視カメラでダンジョン入口をチェックしながら、真っ青になって嘆いている。
実はこのダンジョン管理者エログロス、世界最強の闇の魔導師という肩書きを持っているのだが、世界最強というだけあってとてつもなく強い。
そのため、ダンジョン内に魔法でトラップを作って、毎回挑戦者を無様エロさせているのだが、あまりにもトラップが手強すぎたために挑戦者が毎度一階止まりで退場してしまう。
これでは家主と約束している家賃が払えない。
「家主の提案にホイホイ乗った僕も悪いんだけど…。あああ、どうしよう…」
そう言ってエログロスは頭を抱えた。
とにかく挑戦者。挑戦者よ、早くこい。
ビーーーーーッ
「ん?あ!挑戦者か!?」
祈るように監視カメラが撮影するダンジョン入口を見つめていると、誰かやってきたようで室内のブザーが鳴った。
エログロスは椅子から飛び跳ねるように立ち上がり、その映像をパソコンから見る。
見て数秒後、エログロスの顔色がサーッと白くなった。
「…ヤベェ、大家じゃん。これ詰んだわ。もう僕この世から消されちゃう」
挑戦者と思っていたが、映像に映る人物はエログロスがこの世で最も恐れている人物、大家だった。
世界最強の闇のまという肩書を以てしても、エログロスは大家を恐れているようだ。
すると、映像越しに似ていた大家が、パッと監視カメラのレンズを見て鋭い視線を向けてきた。ビクッとしたエログロスは一歩後ずさる。
映像の向こうで家主が指を差し、ジェスチャーしている。
『あ・け・な・さ・い』
その瞬間、エログロスは光の速度でダンジョン入口へと向かっていった。
入口の扉を開け、大家を出迎えるエログロス。
そこにいたのは着物を着た女性だった。清楚な感じの綺麗な人だ。何故エログロスはこの女性をそこまで恐れているのか。
とりあえず、エログロスは挙動不審な様子で挨拶をした。女性がニコリと静かに微笑んで返事をする。
「お久しぶりです、ヨーコさん…」
「エログロスさん、ご機嫌よう。最近調子はいかが?」
「は、はい、その…、えー…」
口ごもるエログロスを見てヨーコの表情が変わる。笑っているのに笑っていない。そのような殺気がひしひしと感じられ、エログロスの顔色が益々悪くなる。
「家賃、払ってくださいまし」
「あ、その件ですけど、そのー…」
「滞納三か月で家賃を体で支払って頂くお約束、覚えていまして?」
「はひっ、えーっと、えっと、あのっ」
「期限まであと数時間、ご用意、出来ていまして?」
「…うううっ、その、それが…」
涙目になりながらエログロスはしどろもどろに言葉を濁す。
次第にヨーコの殺気が濃くなり、背後から靄のようなものが発生してきた。ガタガタと体を震わせながら、両手を祈るように組んだエログロス。
その時だった。ダンジョンの入口で今にも何かが起こりそうなその時、エログロスとヨーコは誰かがやってくる気配を察知した。
ヨーコの殺気が静まり、向かい側にいるエログロスは焦ったようにヨーコに言う。
「ヨーコさん、とりあえず監視室に一緒に来てください。もしかすると挑戦者かもしれないです」
「…そうですか。でしたら参りましょう」
エログロスの瞬間移動魔法で、その場にいた二人の姿が消えた。
監視室のパソコンから映像を見た二人は、改めてその人物を確認してみる。
「あ、挑戦者ですね、これは。名前を登録してます。挑戦者の名前は…えっと、オクト、格闘家ですね」
「格闘家ですか。とても頑丈そうな体で叩き甲斐がありそうですわね」
「そ…、そうですね」
ヨーコの言葉に声を詰まらせながら返事をするエログロス。どうしてもヨーコに怯えてしまうようだ。
エログロスはパソコンの映像を複数の大画面に繋ぎ、複数の監視カメラで室内全体を見れるようにした。上下左右をグルリと見渡し、細かい場所の拡大まで何でも出来るようになった。
するとヨーコが画面を見ながら提案した。
「この方のトラップをワタクシに任せて頂けるのでしたら、これを今回の家賃としましょう」
「あ、そんな感じでもいいんですか?」
「ええ。たまには体を動かしたいと思っていましたので。これでも昔はダンジョンの管理者としてそこそこ有名でしたのよ。さっそくよろしくて?」
「あ、はい、どうぞどうぞ。僕はこちらで静かに見物させて貰いますね。ついでに家賃代わりの映像処理も並行してやりますんで」
「DVDコレクションが増えて嬉しいですわ」
「こちらこそ有難い限りですよホント」
このダンジョンを契約した際、家主のヨーコは現金での支払いと、ダンジョン挑戦者の様子を記録したDVDを提供するという二つを選択肢として用意していた。
エログロスは何となくDVDの提供を選択したのだが、それがまさかこんなことになるとは、と。
自分の魔力が強すぎるため、挑戦者がすぐに退場するとは夢にも思わなかった。
これなら普通に現金支払いにしておけばよかった。金ならいくらでもある。下衆の極みのようなことを思うエログロス、世界最強、闇の魔導師、もうすぐ五百歳。
話がとんとん拍子に進み、今回のエロトラップダンジョン管理者は臨時でヨーコが行うことになった。何だろう、これ、うん。家賃滞納がなくなったから結果オーライではあるが。
そうこうしている間に、挑戦者が一階へとやってきた。今回はヨーコが相手なので何階まで進めるか楽しみである。
エログロスは映像の処理をしながら大画面を見る。
格闘家オクトはその逞しい体で、大変堂々とした様子である。そんなオクトを見て、ヨーコが嬉しそうに喋り出した。
「うふふ。こんな逞しい男を調教出来るだなんて、何て幸せ…」
「…調教」
エログロスは聞こえないふりをして作業を続ける。タイトルは何にしようか。
画面の向こう、挑戦者オクトはあたりを見渡す。
「…変だ、何も起こらない。このダンジョンを攻略した者がいないという噂は嘘だったのか?」
オクトが警戒するように上下左右、神経を張り巡らせ、気配を探る。
するとヨーコが何やら呪文を唱え始め、画面の向こうのオクトに呪いをかけた。
「格闘家オクト、呪いを受けなさい。そして…、我に従え!!」
「…ひぃっ」
その凄まじい勢いに、少し離れて座っていたエログロスが悲鳴を上げた。
ヨーコは可憐で清楚な雰囲気からは全く考えられないが、こう見えても千年以上生きた、いにしえの大魔女なのである。五百年と千年では大人と子供。エログロスとヨーコでは天と地ほどにそのレベルが違うのだ。
いくらエログロスが世界最強の闇の魔導士と言われていても、ヨーコにとってはそれがどうした、ということである。
一度だけ、生意気にも家賃滞納をして反抗したエログロスだったが、ヨーコとの格の違いを見せつけられ、挙句の果てには絶体絶命、貞操の危機に瀕する事態となったのだ。
それからというもの、エログロスはヨーコにだけはどうしても頭が上がらない。あの恐怖は二度と味わいたくはなかった。
話が反れたが、今は挑戦者としてやってきた格闘家オクトの話をしていたのだった。
ヨーコの呪いによって動きが封じられてしまったオクト。仁王立ちのまま、ピクリとも体が反応しない。
「なっ、何だこれは!?くそ!!体が動かない!?」
焦った様子のオクトを見ながらヨーコがクスリと笑った。
「さあて、どうしてやりましょう。とりあえずお洋服を脱がせてやりましょうか。それ!!」
ヨーコが手を振り上げた。するとオクトの服が突然裂け、真っ裸になってしまった。しかし、動きをふうじられているため、どうすることもできない。
「ぐっ、何故、こんなっ」
オクトはわけもわからず狼狽えている。しかしヨーコの攻撃はこれからが本番だ。
楽しそうな様子でヨーコが手を振る動作をする。
「我が呪い、苦悩の尻叩きを受けなさい」
突然、オクトの尻に衝撃が走った。
バシンッ、バシンッ、バシンッ、…バシッ、バシッ、バシッ、バシッ、…バシバシバシバシバシバシッ!!
「ぐおおおおおおおおおっ!?うぐうううううううっ、な、なにが…、うがあああああああっ!!」
超高速でオクトの尻が激しく平手打ちされている。誰も何もいないのにだ。動けないため逃げることも出来ず、オクトは叫び続けた。
いくら体を鍛えていたとしても、尻への衝撃を回避する特訓などしたことがない。左右の尻たぶが激しく波打ち、赤く腫れあがる。
左右交互に、時には両方、連続して、強く、激しく。
バシンバシンバシンバシンッ、バシンバシンバシンバシンッ、バシシシシシシシシシシシシシッ!!
「ふんがあああああああっ!!ぐおおおおおおおおおおおっ!!」
尻から血が滲もうとも止まる気配はない。
目を血走らせて真っ赤な顔で耐え続けるオクトに、エログロスの体がブルッと震えた。目の前ではヨーコがうっとりとした様子で微笑んでいる。
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