嫌われた王と愛された側室が逃げ出してから

迷路を跳ぶ狐

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chap11.深く暗く賑やかな森

223.浮き上がる対立

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「領主はまだ目を覚まさないのか?」

 シグダードが、サンドイッチを食べながらたずねると、同じようにパンを齧るヘッジェフーグが、俯いて言った。

「まだ……意識が朦朧としているみたいなんだ……リー、領主様は……助かるんだよな?」

 するとリーイックは、持っていた瓶の中に粉のようなものを入れながら答えた。

「ああ……もう少し待て……そうだ。シグ、水を汲んでこい」
「貴様……ついに私をアゴで使うようになったな……」
「ここを出たところに川がある。そこの水が欲しい。だが、そんなところへ、フィズやヘッジェフーグだけを行かせるのは危険だろう。だからお前に頼んでいるんだ」
「ちっ……分かった。水だな?」
「ああ。これに頼む」

 そう言ってリーイックは、古いバケツを投げてくる。それを受け取って、外へ出ようとすると、フィズがついてきた。

「シグ!! 私も行きます!」
「フィズ……だが、外は危険だ。使者を救い出そうとする連中や、もしかしたら、またあの水の玉が襲ってくるかもしれない」
「そんなの、平気です! シグを一人で行かせる方が不安です!」

 キッパリと言ったフィズに、苦笑いをしながらも、シグダードは嬉しかった。

 ジョルジュが、シグダードに向かって、小声で「頑張れよ」と言い、ヴァルケッドの方は頷いている。二人とも、応援してくれているのだろう。

 シグダードも頷いて、フィズに振り向いた。

「では、行くか。私から離れるんじゃないぞ」
「分かっています」

 そう答えたフィズに、そっと手を伸ばして、手を繋ぐ。

 ドキドキしながら、シグダードは、領主の部屋を出た。







 二人だけで部屋を出て、シグダードは、どうフィズに話しかけようか悩んでいた。彼とは話したいことがあったはずだが、なかなか言葉が出てこない。

 どうしようか考えていると、フィズがシグダードの顔を覗き込んできた。

「……シグ? どうしたんですか?」
「フィズ……」

 今こそチャンスだ。聞いてみたかったことを聞こうと、シグダードが口を開こうとすると、広間の方から声がした。

「……なんの騒ぎだ?」

 嫌な予感がしたシグダードは、広間の方に走った。すると、広間の奥の方に、人が集まっている。

「どうした? 何かあったのか?」

 たずねながら、シグダードが彼らに近づくと、集まっていた者たちが道を開けていく。

 奥へ進むと、柱に鎖で繋がれた使者がうめいている。その腕には、切り付けられたような傷ができていた。

「これは……」
「オイニオンがやったんだ」

 すぐに答えたのは、キャヴィッジェ。彼は不信ばかりが滲んだ目をオイニオンに向けている。けれど、オイニオンは、激昂して声を張り上げた。

「僕は知らないよ!! なんで僕が……決めつけないでよ!!」
「さっきまでこいつ、なんともなかったんだぞ。お前がここで見張ってる時に怪我をしたんじゃないか。お前以外、あり得ないだろ」
「そんなっ……!」

 すると今度は、ラディヤまでキャヴィッジェの側について口を開く。

「お前……昨日鉈持ってたもんな……それでやったのか?」
「違うって言ってるだろ!!」

 怒鳴るオイニオンは、完全に否定しているが、周りにいた他の者も、一様にオイニオンを疑っているようだった。

 今度は、シグダードと一緒にいたフィズが声を張り上げる。

「や、やめてくださいっ……! オイニオンさんだって、ち、違うって言ってるんだし……」

 そう言ったフィズの方にまで、今度は冷たい目が向けられる。中には「お前は見ていたのか?」とまで言い出す者もいた。

 シグダードは、フィズを押し退け、前に出た。

「やめろやめろ。私の方がそこにいるオイニオンより、百倍その使者を恨んでいる!! それなのに、私を差し置いて拷問など許さん!」

 胸を張って言うシグダードに、ラディヤが呆れたように言った。

「……何言ってるんだ、てめえ……」

 キャヴィッジェも「相変わらずお前、わけわかんねえ」と冷めた目をして言っていた。







 険悪な空気が漂う中、シグダードは、オイニオンとキャヴィッジェたちの間に割って入った。

「分かったら、くだらない言い合いはやめるんだな」 

 するとすぐに、キャヴィッジェが言い返す。

「く、くだらなくなんかねえ!! オイニオンは、勝手に使者に手を出したんだ! お、俺たちだって、こいつのことは恨んでいる! それなのに勝手に……使者からは、リーが後で話を聞くことになってるんだぞ! も、もし、こいつが死んだら、毒のことだって聞き出せなくなるじゃないか!!」
「だから、落ち着けと言っているんだ」

 言いながらシグダードは、倒れた使者に触れた。
 傷口は肩から二の腕、肘にかけて、細いもので切り付けたようなものだ。その上、肩のあたりは、ぼんやりと光っている。少なくとも、鉈を振り下ろした跡には見えない。冷静ならば、それが鉈で傷つけた跡でないことくらい、キャヴィッジェやラディヤにも分かるはずだ。

 一方、疑われたオイニオンの方は、複数人に囲まれ犯人扱いされたことがショックだったらしく、真っ青な顔をして俯き、震えている。とても昨日、鉈を持って使者の前に現れた男には見えない。

 無理もないかと、シグダードは思った。
 昨日は他に似たような思いを持つものを従えていたが、今は一人。領主の城で出会った時から、ひどくビクビクした男だと思っていた。

「……オイニオンが、他人に刃を向けるとは思えない。あれだけの人数で鉈を持って使者を取り囲んでおいて、できたとことと言えば泣いて拗ねることくらいだ」
「な、泣いて拗ねるって……」

 さすがに言い返しそうになるオイニオンだが、最後の方は小さくて聞こえない。

 シグダードは、オイニオンを見下ろした。なんとなく、幼かった頃、似たような顔をして拗ねた自分を思い出した。

「……キャヴィッジェ、お前たちの気持ちもわかる。私も、似たように何かを酷く憎んでいるからな」
「……何かってなんだよ?」

 キャヴィッジェの問いに、シグダードは首を横に振って答えた。

「それは言えない。だが、その憎悪を全く関係のない者に向けて、今度は私自身が報いを受けることになった」

 言って、シグダードは、顔と体に巻いた包帯を解いた。その下にあった痛々しい火傷の跡に、誰もが少なからず驚いている。

「……多くの者を傷つけた上に、なによりも大切だったはずの愛する者にまで、二度と消えない傷を与えた。その結果、私自身も全て失い、今はこうなっている。お前たちの怒りはもっともだ。しかし、オイニオンにまで向けるのはお門違いじゃないか? お前とて、私と同じように自分の大切なものを自分で切り裂くのは嫌だろう?」
「シグ……」

 キャヴィッジェは、シグダードから顔を背けて俯いてしまった。そしてしばらくして、口を開く。

「お、お前の火傷って、酔って暖炉に突っ込んだんじゃなかったのかよ……」
「あっ…………いや……ああ!! そうだな!! そ、そうだった!」
「そうなのか? 俺はてっきり何か深いわけでもあるのかと……」
「ない!! あるはずがないだろう!! ぶ、無礼者!! 私を疑うのか!?」
「……何言ってんだ? お前……」
「こ、この火傷は暖炉のせいだが、とにかく内輪揉めはやめろ!! 使者を取り返そうとする奴らが攻めてくるかもしれない時に、呑気なバカどもめ!!」
「お前、さっきと言ってることが違うじゃないか!!」
「うるさい!! 馬鹿どもが! そいつの傷を見てみろ! 鉈で傷つけたような傷ではないだろう!」
「なんでいきなりキレてんだよ?」
「だいたい、そこの震えたチビに、こんな真似ができるものか!! 馬鹿がっ!!」
「馬鹿馬鹿言ってんじゃねえ! てめえには言われたくないわ!」

 言い合いになったところを、ラディヤが呆れたように「やめろ」と言って止めに入る。

「……二人とも、落ち着けよ。シグ、お前も結局、なんでそんなに止めるんだよ? お前も、使者のことが憎いんだろーが。昨日、オイニオンを止めたのもお前だろ」
「こいつからは、リーが色々聞き出す。余計なことをしなくていい」
「……お前はそう言うけど、リーは医術士なんだろ? 一緒にいるヘッジェフーグだって、もともと領主様に助け出された奴隷で、キャラバンの隊長は、村の奴ですらないのに、なんであいつらが俺たちを仕切るんだ? 俺たちからしたら、よそ者が主導権を握るのは不安だぞ」
「主導権を渡せとは言っていない。そもそも、ここのリーダーは、リーでもヘッジェフーグでも、ウォデシアスでもない。私だ」
「……いつからそんな話になったんだよ。お前が仕切るのだけは、絶対に嫌だ。明日にでも全滅しそうだ」
「なんだと!!」

 怒鳴るシグダードだが、その場にいたシグダードとフィズ、使者以外が頷いている。

 シグダードは腕を組んだまま、そっぽを向いた。

「ふん……だったら貴様らは村の連中で代表を決めればいい。ウォデシアスにはそう話す。あいつらがどうするかも、これから話し合わなくてはならないからな」

 するとそこへ、リーイックが、ヘッジェフーグとウォデシアスを連れて入ってくる。

 リーイックは多少騒がしくなった広間に入ってきて早々、シグダードを睨みつけた。

「……なんの騒ぎだ? シグ。水を取りに行くのに、いつまでかかっている? お前、また騒ぎを起こしたのか?」
「なんでも私のせいのように言うな。少し話し合いをしていただけだ」
「……お前が? 誰かが反対意見を言えば、すぐに手が出ていたお前が? 成長したな」
「おい!! 私はそこまでひどくはないだろう!!」
「……包帯はどうした?」
「解いた。ちょうどいい。治療しろ。今すぐにだ!」
「…………見捨てていいか?」







「俺はお前の治療をしに来たんじゃないぞ」

 そう言いながらも、リーイックは、シグダードに薬を塗って、包帯を巻き直してくれた。やはり、彼の治療はすごい。痛みもなくなり、傷跡も少し良くなったように思えた。

「そう言うな。お前がいて助かった。よくやった、リー」
「……お前が人を褒めるとは、珍しいじゃないか……」

 ぶつぶつ言いながらもシグダードの傷に包帯を巻いて、リーイックは立ち上がった。

「……貴重な薬をこんなことで無駄にはできない。これは最低限だ。金を払うなら、また治療してやる」
「ツケでいいか?」
「……払えるあてがあるならな」
「そうか。いずれ払うから治療しろ」
「……ツケはなしだ。金ができたらしてやる」

 そう言って、リーイックは使者に振り返る。彼は、使者から毒やヴィザルーマのことを聞き出しに来たのだ。

「……リー、これからどうするんだ?」

 たずねたシグダードに、リーイックは、この男を連れて行くと言って、フィズに振り向いた。

「フィズ、お前はここにいろ」
「な、なんでですか? なんで、私は行っちゃダメなんですか?」
「……なんでもだ。シグ、お前はついてこい。そいつが暴れ出した時に、止められるのはお前くらいだろう」

 リーイックに言われて、シグダードは頷いた。そして、不安そうな顔をしているフィズの手を握った。

「フィズ……お前は、領主の部屋に行っていろ。ジョルジュかバルジッカと一緒にいて、離れるな」
「……でも、シグは……?」
「私もすぐに戻る。ついてくるんじゃないぞ」
「……い、嫌です! 私だって、シグと行きます!」
「フィズ……ダメだ。もし使者が暴れ出したら、お前を守れるかわからない」
「私だって、剣の腕ならシグより上です!」
「私には魔法……」

 言いかけて口を閉じる。魔法のことを、人前で話すわけにはいかない。

 シグダードが黙った隙に、フィズは小声で畳み掛けてくる。

「シグは、今は魔法だって、以前のようには使えないんです! だから私が一緒にいます!」
「フィズ……」
「止めても無駄です!」
「……」

 強く言われて、シグダードは迷った。彼を連れて行きたくはないし、危険な目にも合わせたくない。しかし、彼の意志は固いようだ。

 悩むシグダードに、リーイックが言った。

「おい……そいつを連れて行くと言うんじゃないぞ。途中で止めに入られても面倒だ」

 すると、フィズは強い口調で反論する。

「り、リーさん!! わ、私だって、今の状況はわかっています!」
「……悪いが、フィズ。お前は」
「リーさん!! お願いします! 使者はヴィザルーマ様のところから来たんだし……シグがカッとなったら、止めるのは私の役目です!」
「……それもそうか」

 リーイックは今度は、存外簡単にうなずき、シグダードに振り返る。

「連れて行った方がいいかもな……」
「貴様……私をなんだと思っている!!」
「落ち着け。お前は、ヴィザルーマやそれに関係するものが現れたら、冷静ではいられないだろう」
「……私にだって我慢くらいできる」
「……そうか? 不安だが……では、フィズ。お前はバルと一緒に部屋の外にいろ」

 リーイックに言われて、フィズは何度か食い下がっていたが、いつでも入ってきていいと言われ、不承不承頷いていた。

 すると今度は、ラディヤが手を上げる。

「待ってくれ。それなら、どこへも行かず、ここでやればいい」
「……使者を信じていた者もいるだろう。その連中に止められても面倒だ」

 難色を示すリーイックを、ラディヤは睨みつけた。

「何をやっているか分からない密室で話を進められるよりはいい」
「……俺は邪魔をされては迷惑だと言っているんだ」

 リーイックが言い返して、険悪な空気が漂う中、キャヴィッジェが慌てた様子で言った。

「お、落ち着いてくれ! リー! 俺たちも、お前たちには感謝している。だが、ここは俺たちの村がある場所なんだ。俺たちも、何も知らずにことが進んでいくのは不安だ! あの城でもそうだったんだから……! ここでいいじゃないか!」

 キャヴィッジェがそう言うと、オイニオンも、僕も彼の意見に賛成ですと言って、他にもその場にいた人から似たような声が上がっていた。
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