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番外編3.ずっとここにいたい
79.オーフィザン様が優しい
しおりを挟む*本編の後日談で、主人公はクラジュ、一人称です*
なんだかすごく気持ちいい……あったかい……
風だぁ……あったかい風が髪の毛に当たってる。
その風に身を委ねていたら、すっと、優しい手つきで櫛をあてられた。
頭、あったかい。僕……誰かに膝枕されてる……
あ、そうか。僕、今、オーフィザン様に膝枕してもらいながら、濡れた髪の毛を乾かしてもらってるんだ。
裸の体には、ふかふかのバスタオルが巻かれている。
ぼんやりしたまま見上げると、オーフィザン様は「起きたのか」と言って微笑んだ。
窓の外からは、優しい朝日が入って来ている。
そうだ。僕、夜の間、オーフィザン様にいっぱい抱かれて、その後、お風呂に連れていかれて、洗ってもらっている間に気持ち良すぎて寝ちゃったんだ。お風呂って、あったかくて眠くなるんだもん。
ちょっと前まで、オーフィザン様に抱かれたら、すぐに気絶しちゃってた僕だけど、毎日毎日朝まで抱かれていたら、ちょっと体が慣れてきたみたい。最近は朝まで頑張れるようになって、オーフィザン様も上機嫌だ。
オーフィザン様は、夜の間、ずっと僕を可愛がってくれて、日が昇る頃にぐったりしている僕を抱きかかえて、お風呂まで連れて行ってくれる。その頃には、僕はもう立ちあがることもできなくなっていて、ぼんやりしながらオーフィザン様に寄りかかって、綺麗に洗ってもらう。
それから、ふわふわのタオルで体を拭かれて、また寝所に連れていかれる。そこでオーフィザン様は膝枕をしてくれて、こうして頭や耳や尻尾の毛を乾かしてくれるんだ。
オーフィザン様は、僕の毛を乾かす時、いつもあったかくて気持ちいい魔法の風を吹かせてくれる。これだけでも夢の中にいるみたいに気持ちいいのに、オーフィザン様は丁寧に僕の毛をブラッシングしてくれるんだ。
僕はオーフィザン様にブラッシングされるのが大好き。
毛づくろいは、群れにいた時に、よく兄ちゃんや仲間たちがしてくれた。それもすごく好きなんだけど、オーフィザン様のは格別。毛をすく手つきもすごく優しいし、たまにオーフィザン様の手が僕に触れてくすぐったいのも嬉しい。
膝枕してもらうのもすごく好きだし、これをしている間は、「夜中頑張った褒美だ」って言って、オーフィザン様が僕のおねだりをいっぱい聞いてくれる。この時間は、僕の一番幸せな時間。
丁寧に髪をすいてから、オーフィザン様は僕の首に可愛らしい首輪をつける。首輪は数え切れないくらいいっぱいあって、オーフィザン様がその日の気分で決める。
今日はキラキラした金色の首輪。オーフィザン様がくれる首輪は、どれでも好き。
「オーフィザン様……」
僕の目の前に垂れていた、オーフィザン様の長い髪を、くいって引いて呼ぶと、オーフィザン様はすぐに返事をしてくれた。
「どうした?」
「喉乾いちゃいました……ミルク飲みたいです……」
「ミルクだな」
答えて、オーフィザン様は僕を抱き起こす。そのまま、すぐそばに浮いていたカゴの中から、ミルクの瓶をとってくれた。
「温めたほうがいいか?」
「……はい……」
僕が答えると、オーフィザン様はすぐに魔法でホットミルクを作ってくれる。僕が火傷しないように、ちょうどいいくらいに温められたミルクは、体がポカポカして、ますます眠くなっちゃう。
「ふあああ……」
「眠いのか?」
「……ううう……だって甘いから……ミルクが……」
「もっといるか?」
「……今度はジュースが欲しいです……」
「ジュースだな」
今度はカゴからジュースの瓶が出てきた。僕はすぐに瓶を受け取ろうと手を出すのに、オーフィザン様は瓶を渡してくれずに、自分でジュースを含んでキスしてくる。
ひゃああ……は、恥ずかしいよ……ジュースの味のキスだ。
甘いぃ……オーフィザン様がすごく優しく微笑むから、もっともっと欲しくなる。いっぱいいっぱい甘えたい……
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