41 / 53
番外編 ー白き腕ー 野瀬さと・作
十
しおりを挟む
頬を冷たいものが触った。
その感触に目を開けると声が聞こえた。
「智樹…?」
その声のする方を見遣ると、潤一が居た。
懐は五助が居るのか膨らんでいた。
「潤一…来てくれたの…」
「ああ…」
潤一は泣いているようだった。
なぜ泣いているのか智樹にはわからない。
手を伸ばそうとするけど、身体に力が入らなかった。
ジジっと燭台から音が聞こえた。
虫が飛び込んだんだろう。
「腫れているから…冷やそうね…?智樹…」
そういえばさっき頬に衝撃が走ったことを智樹は思い出した。
あの衝撃がきたら、痛い。
そして腫れるのだと智樹は知った。
濡れた手ぬぐいを、潤一は智樹の頬に当てている。
殴られて失神するまで苛まれた智樹の姿に、潤一は涙が止まらなかった。
遊びなんかじゃない。
ただの性玩具だ…
こんなに綺麗なのに…
こんなに無垢なのに…
なぜ智樹がこんな目に遭わなければならない。
いつか…そういつか…
ここから智樹を連れて逃げよう。
潤一の目に力が篭った。
優しく智樹の頬を撫でると、智樹は微笑んだ。
その潤一の手に、智樹の白い手が重なった。
微笑んだまま閉じた目のまつげも、銀糸の様に美しかった。
そのまま眠りについた智樹の唇に、指で触れた。
温かいその唇は、薄紅色…
甘い智樹の唾液を思いながら潤一は目を閉じた。
唇が重なると智樹の瞼が薄っすらと開き、その赤い瞳に潤一を映した。
…嬉しい…潤一…
その白い腕を伸ばして、智樹は潤一を包み込んだ。
その感触に目を開けると声が聞こえた。
「智樹…?」
その声のする方を見遣ると、潤一が居た。
懐は五助が居るのか膨らんでいた。
「潤一…来てくれたの…」
「ああ…」
潤一は泣いているようだった。
なぜ泣いているのか智樹にはわからない。
手を伸ばそうとするけど、身体に力が入らなかった。
ジジっと燭台から音が聞こえた。
虫が飛び込んだんだろう。
「腫れているから…冷やそうね…?智樹…」
そういえばさっき頬に衝撃が走ったことを智樹は思い出した。
あの衝撃がきたら、痛い。
そして腫れるのだと智樹は知った。
濡れた手ぬぐいを、潤一は智樹の頬に当てている。
殴られて失神するまで苛まれた智樹の姿に、潤一は涙が止まらなかった。
遊びなんかじゃない。
ただの性玩具だ…
こんなに綺麗なのに…
こんなに無垢なのに…
なぜ智樹がこんな目に遭わなければならない。
いつか…そういつか…
ここから智樹を連れて逃げよう。
潤一の目に力が篭った。
優しく智樹の頬を撫でると、智樹は微笑んだ。
その潤一の手に、智樹の白い手が重なった。
微笑んだまま閉じた目のまつげも、銀糸の様に美しかった。
そのまま眠りについた智樹の唇に、指で触れた。
温かいその唇は、薄紅色…
甘い智樹の唾液を思いながら潤一は目を閉じた。
唇が重なると智樹の瞼が薄っすらと開き、その赤い瞳に潤一を映した。
…嬉しい…潤一…
その白い腕を伸ばして、智樹は潤一を包み込んだ。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
3
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる