乙女ゲーム世界で少女は大人になります

薄影メガネ

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第二章~恋人扱編~

042 仮約束

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 イリヤは月瑠が眠りについたのを確認してから誰もいないはずの扉の方へと顔を向けた。

「――フェルディナン、一応言っておくけど月瑠をあまりしからないでよ? シーツ一枚巻き付けただけの格好で腰が立たないって途方とほうれていたし、何より俺しか頼れるやつが近くにいなかったんだからさ」

 そこには何時いつの間に現れたのか。半ば身体を扉に預けながら腕を組み筋骨隆々きんこつりゅうりゅう見事みごとな身体をしげもなく外気がいきさらしているフェルディナンが人知れずひっそりと立っていた。上半身裸で下半身に長い布を巻き付けただけの簡易的なその恰好は月瑠に見つかったらまた注意されそうだ。

「分かっている。確かにこんな状態の俺が近くにいては月瑠も気が休まらないだろうからな……」
「まあでもさ、やっと何時いつものフェルディナンに戻って良かったじゃないか」
「ああ、だがこれではまだろくに動けんな。まだまともに月瑠のそばにいることが出来ない」

 フェルディナンは一見すると普通に立っているように見える。しかし実のところは内側からき出る欲望を相当な忍耐力と強靭きょうじんな理性によって何とか抑えつけて表面上は平静を保って見せているに過ぎない。小刻みに震える指先を見つめながらグッとこぶしを握りしめた。

「仕方ないよ生殖時期せいしょくじきが終わったといってもその直後は多少の余波よはが残るものだからね。あっ、それと一つ気になってたんだけど勿論もちろん今度こそ最後までやっ――」
「していない」
「……は? 何それ本気で言ってるの? 冗談でしょ?」

 イリヤはこれでもかという位に目を大きく見開いた。

「冗談を言った覚えはないんだが」
「じゃあ月瑠は何でこんなに疲れ切ってるんだよ」
「――さあ、どうしてだろうな?」

 フェルディナンは金の髪に縁取ふちどられた端正たんせいな顔に意味有いみあな笑みを浮かべたまま答えない。
 
 くそっ! やってられるか! 

 聞いているこっちが恥ずかしい。イリヤは冗談じゃないと咳払せきばらいを一つしてから気を落ち着かせて話をらした。

「……あ~、こほん。とにかく! 誰かさんがあんまり無理させるから月瑠が疲れ切ってるんじゃないか。俺が面倒見ないで誰がみるんだよ。正直なところバートランドやシャノンには荷が重いと思うけどね」
「そうだな」
「分かってるんなら少しは感謝してほしいんだけどな」
「――お前だから任せられる。だからお前に月瑠を任せた。それが答えだとお前自身もよく分かっているんだろう?」

 分かっていて当然のようなフェルディナンの口調にイリヤは折れた。

「ったく……信じらんねぇな。あんたのその自信は何処どこからくるんだよ?」
「お前のそのぶっきらぼうな話し方――久しぶりに聞いたな」

 ハハハと楽しそうに歯を見せて爽快そうかいに笑っているフェルディナンの青年の様な笑い顔にイリヤもられて笑ってしまった。

「いい加減お互いもういい大人なんだからさ。昔のままって訳にはいかないだろ? あんただって大分だいぶ変わったじゃないか。昔のこと知ったら月瑠が驚くよ?」
「ああ、そうだな」

 穏やかな口調で先程から肯定こうていの言葉ばかりをフェルディナンは繰り返している。社交辞令しゃこうじれいのような当たりさわりのない単語を選んで答えているだけの大人の対応。柔らかい布地を殴るような手応てごたえのない会話にイリヤはうんざりして小さく首を横に振った。

「はぁーあ、もういいや。あんた何言っても全くりそうにないもんな」

 諦めに深く息を吐き出してイリヤは月瑠の頭にそっと手を伸ばした。毛布の中で猫のように丸まって眠っている月瑠は疲れ切っていて、頭上ずじょうで繰り広げられている会話に少しも気が付いていないようだった。イリヤに頭をでられている今も全く起きる気配がない。

「……まあな」

 少し自虐的にくすっと笑ってフェルディナンは腕を組んだまま静かに月瑠の頭をでるイリヤを見た。そのフェルディナンの紫混じった青い瞳は穏やかなんだ色をしている。それは本当に信頼している者へと向けられる純粋なもの――だからこそ応えなければならない。イリヤはフェルディナンを一刻も早く過去の呪縛じゅばくから解放してやりたいと思った。それはフェルディナンが負う必要のないものだ。 

「――ああそれと、月瑠から聞いたんだけど……」
 
 途中で言葉を切ったイリヤにフェルディナンは目だけを動かして先をうながしてくる。

「俺はフェルディナンのこと恨んだり何てしてないんだけど?」
「そうなのか?」
そろいもそろって疑り深い人達だな……」
 
 フェルディナンは釈然しゃくぜんとしない顔でイリヤの話を聞いている。

「あのさぁ、俺は一度だってそんなこと言ったことないだろう?」
「それはそうだが……」

 珍しく歯切れを悪くしているフェルディナンにイリヤはハアッと溜息を付いた。

「俺が違うと言ったら違うんだよ。どうしてそう言うところだけ信用してくれないんだよ?」
「そうだな、すまない」
「それと……」
「?」
「どうして俺が月瑠の面倒見るって分かったんだよ?」
「……分かるさ」
「だからどうして分かるんだよ?」
「お前は本当に結良を愛していたからな」
「だから? 何が言いたいのさ?」
「――月瑠はどことなく結良に似ている。雰囲気も性格も容姿も何もかもが違うのに本質的な部分が似ている・・・・・・・・・・・ような気がするんだ。――お前もそう思わないか?」

 ギクリと身を強張らせてイリヤはフェルディナンから聞こえてきた言葉に一瞬耳をうたがった。その一言でフェルディナンに全て見透みすかされている事にイリヤは気が付いた。胸の内へ厳重にしまい込んでふたをした自分の月瑠への思いすらもフェルディナンにはバレている。
 ――出会ってから直ぐに月瑠にかれていたことも。共に同じ時を過ごしていく中ではぐくまれた心が最終的にどんな思いに到達したのかを。そしてそれを言うつもりがない事もはっきりと。フェルディナンは分かってた。
 
 ねらいを定めた肉食獣の目でこちらを静かに見据みすえて。微動だにせず。鋭利えいりな刃物の様な殺気をまとった野生の獣が目の前にいるような感覚に目眩めまいすら覚える。暗殺を本業としている自分がここまで圧倒される相手何てそうそういない。イリヤは心の中で舌打ちした。

 くそっ、かなわねぇ……

「……それが、どうして月瑠の面倒を見ることにつながるんだよ?」

 せめて動揺していることが伝わらないように何時いつも通りに太々ふてぶてしい態度を取るしかない。それがイリヤのフェルディナンに対するせめてもの抵抗だった。

「結良を愛したお前が同じ異邦人ラヴァーズで似たような境遇の月瑠を嫌うわけがない」
「何その単純な理由。何なんだよ意味が分からないんだけど」

 はぁっ? っとイリヤはあっけらかんとした様子で淡々たんたんと回答をつらねるフェルディナンを見返した。フェルディナンは相変わらず人を食ったような顔をしてその綺麗な顔に微笑びしょうたたえている。

「お前は昔から単純じゃないか」
「何それ喧嘩けんか売ってるの?」
「売ったつもりはないが。買いたいのか?」

 買うつもりなら喜んで売るがと言いたげなフェルディナンの好戦的な態度にイリヤは半眼はんがんで答えた。

「はぁ……もういいよ」
「いいのか?」
「ああ」
「つまらんな」
「……あのさ、生殖時期せいしょくじきが終わったばかりで一人で暇だからって俺で遊ばないでくれる?」
 
 これ以上面白おかしく遊ばれてたまるか!

 そう思っていたら今度は核心を突かれた。それも思いきり遠慮なくフェルディナンは聞いてきた。

「お前は月瑠が好きなんだろう?」
「うんまあね。そうだけどそれが何?」
  
 開き直ってベッドから立ち上がろうと腰を少し上げたところで後ろ髪を引っ張られた。引きつるような感覚が頭部に伝わってくる。イリヤは動きを止めてその違和感の先を辿たどった。長い銀髪の後ろ髪。その毛先。行きついた先にあったのは月瑠の小さな手。月瑠は長い銀髪の毛先をしっかりと握り締めてすやすやと寝息を立てている。
 先程月瑠を寝かし付けた時につかんだ髪を月瑠はまだしっかりと手の中に握り締めていた。血色良くピンク色に染まった頬に掛かるほつれた月瑠の長い黒髪が目についてそれを耳にかけてやると、月瑠は小さく身じろいで益々ますます強くイリヤの銀髪を握り締めてしまう。どうやらよっぽど気に入られてしまったらしい。

 ……おいおい、どうするんだよこれ?

 イリヤは困って助けを求めるように自然とフェルディナンに目を向けた。するとフェルディナンは嫉妬するどころかニヤニヤと面白そうにこちらを見ている。どうイリヤが対処するのか見物だと言わんばかりの表情に何だか腹が立つ。

「……絶対面白がってるだろ?」
「まあな」
 
 そっちがその気なら俺も遠慮はしないからな?

「いいんだな? 月瑠が手を放すまで俺は月瑠のそばにいるけど?」

 そんな余裕こいていられるのも今の内だと復讐でもするような気分でそう台詞せりふを吐いたのにフェルディナンは更に一枚上手うわてだった。

随分ずいぶんと面倒見がいいんだな?」

 揶揄からかう様に笑うフェルディナンの余裕に満ちた様子がしゃくさわる。朝の陽ざしが照り返して筋肉を浮き上がらせて一層いっそう強調された肉体に後光がまぶしく、神々こうごうしくすらあるフェルディナンにイリヤは眉をひそめてチッと舌打ちをした。
 
「何だよ。こんな時ばっかり素に戻るんだな。何時いつもは他人行儀たにんぎょうぎな物言いばかりして寄せ付けないくせして」
「対面と言うものがある。そうそうお前にばかり付き合ってはいられないさ」

 面倒臭そうな表情で口元に笑みをたたえながら立っているフェルディナンにさらっとそう言い切られてイリヤは益々ますます腹の虫が収まらなくなる。目の前で眠っている月瑠の黒髪に手を伸ばしてゆっくりときながら、それを口元に当ててフェルディナンに見せつけるように口づけた。   

「その対面も月瑠なら別、なんだろう?」
「当たり前だ」

 よどみなく即答したフェルディナンを尻目しりめにイリヤは月瑠へと視線を戻した。恋人の髪を触られている場面を見せつけられてもフェルディナンの表情は崩れない。なかなか崩す事の出来ない難攻不落なんこうふらく牙城がじょうを前にしているかのような歯がゆい気持ちを胸中きょうちゅうに抱きながら、イリヤは口元から月瑠の髪を離して小さく息をつく。

「まったく、厄介やっかいな人だよ貴方あなたは」

 そう言ってあきれた様な顔をしながらも月瑠へとそそがれるイリヤの表情からは月瑠に対するいとおしさがにじみ出ていた。

「俺はお前を信用している」

 フェルディナンはイリヤが抱いている月瑠への感情をとっくに見抜いていた――それと同時に、イリヤが絶対に月瑠に手を出さないことも知っていた。

「それはどうも」
「俺に何かあった時、――俺はお前に月瑠を任せたいと思っている」

 イリヤはそれを聞いた瞬間月瑠に触れようとして再度伸ばした手を空中でピタリと止めた。深紅の瞳が驚愕きょうがくに震えている。

「フェルディナン、君ね。何を馬鹿な事をいっているんだい?」

 月瑠に向けていた目線を上げてイリヤはフェルディナンにけんのある目を向けた。

「俺がどんなにあらがおうとも俺は月瑠より先に死ぬ」
「突然何を言い出すんだよ?」
「それに俺は軍人だからな……何時いつ命をたれるか知れない身だ」
「そんなことは月瑠だってよく分かっていることじゃないか」
「ああ、だが理解しているのとそれを実際に経験するのとは違う」
「……第一、フェルディナンは軍人だって言うけど俺の本業は暗殺者だよ? こっちの方がよっぽど危ない道じゃないか。職業的にはフェルディナンが先にと言うよりも俺の方がよっぽど先に死にそうなんだけど。何なら俺と職業交換する?」
揶揄からかうな」
「あ~、そうだ。知らないみたいだから一応言っておくよ。俺はフェルディナンの事も好きなんだけど?」
「どうやらそうみたいだな」

 適当な物言いで返されてイリヤはハァッと溜息をついた。

「だったらそういう発言はあまりしないでくれないかな? 俺はフェルディナンも月瑠も二人共好きなんだよ。だからそういう話しはあまり聞きたくないんだけど」
「分かっている。だが俺もゆずれない話だからこそ今お前に頼んでいるんだ」
「相変わらずの頑固者がんこものだね。そんなこと勝手に決められる月瑠が可愛そうだと思わないのかい?」
「これは月瑠が知る必要のない話だ」
「またそんなこと言って……俺は月瑠が怒っても知らないからね。そんな事言ってるのが月瑠にバレたらさ、また嫌いって言われるかもよ?」
「……っ」

 少しひるんだフェルディナンにイリヤは笑いをこらえるのが大変だった。何だってこんな面倒な二人を好きになってしまったのだろうか。

「はっきり言って約束は出来ない」
「……お前ならそう言うと思っていた。だがお前にしか頼めない」

 フェルディナンとイリヤはにらみ合うように互いの視線を合わせたけれど、その視線を先に外したのはイリヤの方だった。

「あーっもう! 仕方ないなぁ。分かったよ――ただし、かりだ。仮約束だからな!」

 イリヤはどうしてもフェルディナンの頼みを断り切ることが出来なかった。

「ああ、それでいい」

 フェルディナンは小さく頷いてからとても穏やかな表情で満足気に微笑ほほえんでいる。

「……そう言えばさ、さっきの話はまでも月瑠がこの世界に残る前提での話だろ? 月瑠が女の子を産んで元の世界に帰る事を選択したとしたらその時フェルディナンはどうする気? 勿論もちろん止めるんだよね?」
「さあな」

 フェルディナンはあっさりと返事を返してくる。

「え? あの、さあなって……それってフェルディナンと一緒に生きていくこと以外の選択肢を月瑠が望んでも止めないってこと?」

 イリヤの問いかけにフェルディナンはその奇跡のような美貌びぼうにふっと不敵ふてきな笑みを浮かべた。

「そんなもの俺と一緒に生きていくこと以外の選択肢を選択する事が出来ない位に俺が月瑠を愛しくしてしまえばいいだけの話だ――」

 フェルディナンの綺麗な紫混じった青い瞳に悪魔のような妖艶ようえんさが一瞬宿ったようにイリヤには見えた。
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