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第一章
第29話 女だから
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バルバトスさんと下水道で遊んだ次の日。
町を綺麗に、そして、Gを手に入れようということで町の探索。
30万も溜まれば余裕ではあるんだけど、多くあるに超したことはないからね。
「母ちゃんも呼べばよかったな~」
「確かに。町の中ならみんなでというのもいいね」
ニカが楽しそうに僕とアイラの手を取って話す。アイラも同意して呟く。ベロニカさんも店ばかりじゃ、大変だしね。
「お店のお客さんは相変わらず二人だけだしね」
ニカが苦笑いして話す。
なんでお客さんが来ないんだろうな。本当に不思議だ。胡椒やその他の調味料を卸してるから食べ物はかなり美味しくなった。一度でもお店に来たらとりこになると思うんだけどね。
「母ちゃんが美人すぎるから敬遠してるのかな?」
「ははは、確かにベロニカさんは美人だけど」
ニカの声に思わず笑ってしまう。
女将さんが美人だから人が来ないって考えすぎだよな。むしろ行くでしょ。
「ふむ、ハヤトはベロニカさんのような人が好みか?」
「好みとかそういんじゃないよ。人が来ないって言う理由に美人は関係ないでしょ」
「ま、まあ確かに」
アイラに答えるとなぜか顔を赤くする。ルキナちゃんと一緒になって彼女の顔を覗くとそっぽを向いてしまった。
「マスター。路地にゴミがあるにゃ!」
「おっ。本当だ。東側は普通に路地が汚いままだな」
いいことなんだか悪いことなんだかわからないけど、僕的には都合がいいな。依頼でも何でもないけど、少し頂いてすぐにでも下水道に潜ろう。外のごみは路上生活者のものだから、取りすぎると命に関わるからな。
「わ、わ~……」
地下に潜るとニカの声がこだまする。それもそのはず、壁や地面がべっとべとですべてがスライムみたいになってる。これはあんまりいたくないな。ベロニカさんを連れてこなくて良かった。
とりあえず異世界商店に売ってみるか。スライムの粘液だったら売れるかもしれないもんな。
すかさず床にべっとりついている粘液を掬う。異世界商店に入れて売るとオークの骨と同じ値段、100Gで売れた。片手で掬える粘液が100……これは大金になるぞ!
「お兄ちゃん! スライム!」
「うわっ! みんなファイアボルトの魔法石を」
喜んでいるとスライムが大量に現れた。東側の下水道は冒険者が来ていないみたいだ。魔物の巣窟になってる。ルキナちゃんとアイラにも渡しておいたファイアボルトの魔法石がスライム達を屠っていく。
「よっし! 全滅だねお兄ちゃん!」
「マスターの魔法石のおかげにゃにゃ」
ニカとルキナちゃんがスライムたちを全滅させて喜ぶ。ルキナちゃんもだいぶブラリカ語が話せるようになった。アイラと一緒に教えたから話せる姿を見るのは普通に嬉しいな。
「スライムの魔石は普通にギルドに卸すとして。粘液を入れていこう」
魔石はアイラ達に集めてもらう。僕はせっせと掃除と言う名の金稼ぎ。
「ニカにゃ! そっちに行ったにゃ~」
「りょうか~い」
「二人共、あんまり奥に行かないようにね」
「「は~い」にゃ」
ニカとルキナちゃんのコンビがネズミの魔物とスライムを追い詰めていく。アイラの声に元気よく答える二人は兄妹みたいだな。
「ニカもルキナちゃんも心強いね」
「そうだね。僕からするとアイラが一番心強いけどね」
「まあ、これでも騎士団出身だから」
魔石を集めてきてくれたアイラが誇らしげに二人を見やる。僕の声に胸をはる彼女、なんでわざわざ冒険者なんかになったんだろう?
「よし! これで当分はいいかな」
異世界商店のお金が50万を突破した。重い腰をあげて声をあげると不満げなアイラの顔が目に映った。
「アイラ?」
「ハヤトは私に興味ないのか?」
「え? 急にどうしたの?」
なぜかジト目になるアイラ。聞き返すとため息をついてる。
「なんで騎士団をやめたんだ~とかさ」
魔石を更に運んできて呟かれる。彼女は聞いてほしいのかな?
「言いたくないから言わないと思ってた」
「聞かれなかったから言わなかったんだけど……」
僕の言葉に顔を赤くさせるアイラ。まったくと言うかなんというか。
「じゃあ、聞かせてよ。なんで騎士団をやめたの?」
僕も意趣返しでため息をついてから聞いてみた。
「女だからやめた」
「え?」
彼女の答えに驚いて声をあげる。女だから騎士団をやめた? 訳が分からないな。
「騎士団で一番強いと思っていた私だったんだけどね。『女は一番になっちゃいけない』と言われていやになってやめてきた。着の身着のまま外に出たから所持品はエリュシオンだけだったんだ」
アイラの話に大きくため息がでた。女だからとか男だからとかそんなの些細なこと。実力で一番ならそれでいいのに、貴族とか王族とかが絡んでくるのかね~。まったくと言うかなんというか。
「僕はアイラが一番強いと思ってるし、仲間になってくれてよかったと思ってるよ」
「ハヤト」
「女だから前に出るなとかそんなカッコいいことは言わないよ。その時にアイラが出来ることを迅速にやってくれれば」
アイラの目をまっすぐ見つめて話す。本当に彼女は強いからね。僕なんかとくらべちゃダメなくらいだ。
「マスタ~。終わったにゃ~」
「わわ!? ルキナちゃん、後にしよ」
ルキナちゃんとニカが魔石を両手いっぱいにして帰ってきた。見つめ合う僕らを見てニカがルキナちゃんを抱き上げて離れていく。
「「ぷっ。ははは」」
アイラと顔を見合って大きく笑う。ニカは疑問に首を傾げてる。それがさらに面白くて笑いが止まらないよ。
『レベルが上がりました』
「おっ。久しぶり」
空気を読まない声が聞こえてくる。ステータスを確認すると11レベルにあがっていた。折角だから金額も確認しておくか。
そう思っておもむろに異世界商店を開いた。すると新たな項目が追加されていた。
「所持金が50万を超えたので施設を追加しました?」
目の前のウィンドウにそんな文字が描かれていた。施設って何?
町を綺麗に、そして、Gを手に入れようということで町の探索。
30万も溜まれば余裕ではあるんだけど、多くあるに超したことはないからね。
「母ちゃんも呼べばよかったな~」
「確かに。町の中ならみんなでというのもいいね」
ニカが楽しそうに僕とアイラの手を取って話す。アイラも同意して呟く。ベロニカさんも店ばかりじゃ、大変だしね。
「お店のお客さんは相変わらず二人だけだしね」
ニカが苦笑いして話す。
なんでお客さんが来ないんだろうな。本当に不思議だ。胡椒やその他の調味料を卸してるから食べ物はかなり美味しくなった。一度でもお店に来たらとりこになると思うんだけどね。
「母ちゃんが美人すぎるから敬遠してるのかな?」
「ははは、確かにベロニカさんは美人だけど」
ニカの声に思わず笑ってしまう。
女将さんが美人だから人が来ないって考えすぎだよな。むしろ行くでしょ。
「ふむ、ハヤトはベロニカさんのような人が好みか?」
「好みとかそういんじゃないよ。人が来ないって言う理由に美人は関係ないでしょ」
「ま、まあ確かに」
アイラに答えるとなぜか顔を赤くする。ルキナちゃんと一緒になって彼女の顔を覗くとそっぽを向いてしまった。
「マスター。路地にゴミがあるにゃ!」
「おっ。本当だ。東側は普通に路地が汚いままだな」
いいことなんだか悪いことなんだかわからないけど、僕的には都合がいいな。依頼でも何でもないけど、少し頂いてすぐにでも下水道に潜ろう。外のごみは路上生活者のものだから、取りすぎると命に関わるからな。
「わ、わ~……」
地下に潜るとニカの声がこだまする。それもそのはず、壁や地面がべっとべとですべてがスライムみたいになってる。これはあんまりいたくないな。ベロニカさんを連れてこなくて良かった。
とりあえず異世界商店に売ってみるか。スライムの粘液だったら売れるかもしれないもんな。
すかさず床にべっとりついている粘液を掬う。異世界商店に入れて売るとオークの骨と同じ値段、100Gで売れた。片手で掬える粘液が100……これは大金になるぞ!
「お兄ちゃん! スライム!」
「うわっ! みんなファイアボルトの魔法石を」
喜んでいるとスライムが大量に現れた。東側の下水道は冒険者が来ていないみたいだ。魔物の巣窟になってる。ルキナちゃんとアイラにも渡しておいたファイアボルトの魔法石がスライム達を屠っていく。
「よっし! 全滅だねお兄ちゃん!」
「マスターの魔法石のおかげにゃにゃ」
ニカとルキナちゃんがスライムたちを全滅させて喜ぶ。ルキナちゃんもだいぶブラリカ語が話せるようになった。アイラと一緒に教えたから話せる姿を見るのは普通に嬉しいな。
「スライムの魔石は普通にギルドに卸すとして。粘液を入れていこう」
魔石はアイラ達に集めてもらう。僕はせっせと掃除と言う名の金稼ぎ。
「ニカにゃ! そっちに行ったにゃ~」
「りょうか~い」
「二人共、あんまり奥に行かないようにね」
「「は~い」にゃ」
ニカとルキナちゃんのコンビがネズミの魔物とスライムを追い詰めていく。アイラの声に元気よく答える二人は兄妹みたいだな。
「ニカもルキナちゃんも心強いね」
「そうだね。僕からするとアイラが一番心強いけどね」
「まあ、これでも騎士団出身だから」
魔石を集めてきてくれたアイラが誇らしげに二人を見やる。僕の声に胸をはる彼女、なんでわざわざ冒険者なんかになったんだろう?
「よし! これで当分はいいかな」
異世界商店のお金が50万を突破した。重い腰をあげて声をあげると不満げなアイラの顔が目に映った。
「アイラ?」
「ハヤトは私に興味ないのか?」
「え? 急にどうしたの?」
なぜかジト目になるアイラ。聞き返すとため息をついてる。
「なんで騎士団をやめたんだ~とかさ」
魔石を更に運んできて呟かれる。彼女は聞いてほしいのかな?
「言いたくないから言わないと思ってた」
「聞かれなかったから言わなかったんだけど……」
僕の言葉に顔を赤くさせるアイラ。まったくと言うかなんというか。
「じゃあ、聞かせてよ。なんで騎士団をやめたの?」
僕も意趣返しでため息をついてから聞いてみた。
「女だからやめた」
「え?」
彼女の答えに驚いて声をあげる。女だから騎士団をやめた? 訳が分からないな。
「騎士団で一番強いと思っていた私だったんだけどね。『女は一番になっちゃいけない』と言われていやになってやめてきた。着の身着のまま外に出たから所持品はエリュシオンだけだったんだ」
アイラの話に大きくため息がでた。女だからとか男だからとかそんなの些細なこと。実力で一番ならそれでいいのに、貴族とか王族とかが絡んでくるのかね~。まったくと言うかなんというか。
「僕はアイラが一番強いと思ってるし、仲間になってくれてよかったと思ってるよ」
「ハヤト」
「女だから前に出るなとかそんなカッコいいことは言わないよ。その時にアイラが出来ることを迅速にやってくれれば」
アイラの目をまっすぐ見つめて話す。本当に彼女は強いからね。僕なんかとくらべちゃダメなくらいだ。
「マスタ~。終わったにゃ~」
「わわ!? ルキナちゃん、後にしよ」
ルキナちゃんとニカが魔石を両手いっぱいにして帰ってきた。見つめ合う僕らを見てニカがルキナちゃんを抱き上げて離れていく。
「「ぷっ。ははは」」
アイラと顔を見合って大きく笑う。ニカは疑問に首を傾げてる。それがさらに面白くて笑いが止まらないよ。
『レベルが上がりました』
「おっ。久しぶり」
空気を読まない声が聞こえてくる。ステータスを確認すると11レベルにあがっていた。折角だから金額も確認しておくか。
そう思っておもむろに異世界商店を開いた。すると新たな項目が追加されていた。
「所持金が50万を超えたので施設を追加しました?」
目の前のウィンドウにそんな文字が描かれていた。施設って何?
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