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23 夕飯にて

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「京平、大荷物だな?何持ってきたんだ?」

京平の自転車の荷台に括り付けられた大きな段ボール。どう考えてみても鏡だけでは無い大きさだった。

「うへへ、家の倉庫漁ってたら見つけちゃって、電気とガスが無くても利用できる物だ。ちゃんと親には、許可貰ったから安心しろ」

中身は着いてからのお楽しみだと言って、何を持って来たのかは教えて貰えなかった。二人は、既に真っ暗な道を自転車で並走しながら走っていく。

「京平だ!遊ぼう!遊ぼう」
「うむ、滞在を許すぞ」
「何にゃ、モノ好きか。貢ぎ物は有るのかにゃ?」

神社に帰って来ると三者三様のお出迎えに、佐久夜は苦笑いをするが、京平は嬉しそうに笑っていた。

「ハァ~生の体験!半端ねぇ」

京平は、自転車の荷台に括り付けた段ボールを抱えると、そのまま土間に運んできた。

「どっこいしょっと」

以外と重量感ある段ボールを朧は、興味深く見つめている。隙あらば段ボールの中に入りたいと思っていた。

「じゃじゃーん!これ、うちの倉庫に眠っていたんだ」
「ほほう、七輪じゃな」
「さすが、神さま知ってるね」

七輪とは木炭や豆炭を燃料に使用する調理用の炉で、京平が言うように電気、ガスが通っていないこの神社でも、利用できる代物だった。

「朱丸、竹炭作ってるだろう、それ使わせて」
「うん、わかった!」

朱丸は、蓄えていた竹炭を持って来ると、京平は、七輪の中に並べていく。全て並べ終わると七輪の上に網を置いた。

「これで、肉や魚焼くと美味いんだぜ。朧センセ、秋刀魚持ってきたから、是非食べてくれ」
「秋刀魚にゃ!早く、早く焼くにゃ!」

段ボールの中から、朧は耳をピンと立てて嬉しそうに答える。

朱丸が、火を起こすと竹炭は赤々と炎を纏っていく。京平は網に少し油を塗って、秋刀魚を二本網の上に置いた。チリチリと音を立てて、焼けていく秋刀魚を朧はじっと見つめていた。

佐久夜は、土鍋で炊いたご飯でおにぎりを握っていく。おかずは、弁当屋から賄いとして貰った赤ウインナーと唐揚げだった。

秋刀魚を焼いた後、網を変えおにぎりに醤油を塗り同じく七輪の炭火で炙っていく。カリカリっとしたお焦げと芳ばしい香りの焼きおにぎり、ついでにベーコンも炙って塩胡椒を振った。

「これは、なんとも芳ばしい。佐久夜、我は焼いた握り飯も好みであるぞ」
「ベーコンもカリカリで美味しい!」

朧も秋刀魚を無心でウニャウニャと言いながら食べていた。唐揚げも軽く炙ってみた。

「お!衣カリカリで、肉汁がジュワッと出てきて美味いじゃん」
「うむ、七輪とは、まこと万能じゃぞ」

京平も、持ってきた甲斐があったと喜んでいた。

「七輪ってさぁ、陶芸の窯としても流用できるみたいだしさ、今度土器とかも作ってみようぜ!」
「僕、竹炭いっぱい用意しておく!」

食事を終え、佐久夜と京平とで片付けを済ませると、改めて本日集めた鏡をちゃぶ台の上に並べていった。








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