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92 朧も脇役です
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スセリビメによる宣言が終わると、猫の面をつけた巫女たちが、鈴をシャランと鳴らした。
「およ?桜の花びら?」
舞台を見守る鴉天狗天狗の一人が、空からヒラヒラと舞い降りてきた桜の花びらを手に受け止めた。
シャラン、シャランと一定間隔で鈴の音が奏られ、ヒラヒラと踊るように桜の花びらが舞い落ちる。
鴉天狗たちが、舞い降りる桜の花びらに見惚れて歓喜の声を上げる。
「キレイだなぁ」
「おらぁ、桜が一番好きだべ」
どこからともなく舞い落ちる桜の花びらの中、拝殿の中から現れたのは、朧の背に乗った神さまだった
「桜の木なんて一本も無いのに、どうやって用意したんだにゃ?」
「ひぃが、多少の演出は必要だと、根の国の桜の花びらを用立ててくれたのじゃ」
朧は、可愛らしいリボンを首に巻き、機嫌良く舞台に向かって歩いて行く。
「浅葱が、屋根の上から風の妖術を使って必死なのが目に見えるにゃ。裏方は、大変だにゃ」
観客の鴉天狗たちの注目を一身に浴びて、主役のような気分になっている朧ではあるが、自身も神さまの馬役として立派な裏方であることには、気づいていなかった。
胸を張って堂々と舞台に上がって行き舞台中央に立つと、背を低く伏せの姿勢をとった。神さまは、ひらりと朧の横に舞い降りる。
「あぁ、兄さまカッコ良いです」
スセリビメは、胸の前に手のひらを合わせ、キラキラとした目で兄である神さまを見つめていた。
「ちっちゃいな」
鴉天狗の何気ない一言が、スセリビメの耳に届き、ギロリと表情を歪ませその鴉天狗を睨みつける。
スセリビメの睨みにビクンと姿勢を正したが、両脇の鴉天狗達に拳骨を落とされてしまった。
神さまは、真っ直ぐに前を見つめる。
シャラン、シャランと鈴の音が鳴り続ける。神さまの視線の先には、桐箱を乗せた三宝を持った佐久夜が、ゆっくりと舞台に向かって参道を歩いていた。
佐久夜は、神さまの姿を見据え、参道を一人歩いて行く。その姿を京平は、優しく見守る。何処からか、鈴の音に合わせて手拍子が鳴り始めた。
一人、また一人手拍子を打ち始める。
「およ?桜の花びら?」
舞台を見守る鴉天狗天狗の一人が、空からヒラヒラと舞い降りてきた桜の花びらを手に受け止めた。
シャラン、シャランと一定間隔で鈴の音が奏られ、ヒラヒラと踊るように桜の花びらが舞い落ちる。
鴉天狗たちが、舞い降りる桜の花びらに見惚れて歓喜の声を上げる。
「キレイだなぁ」
「おらぁ、桜が一番好きだべ」
どこからともなく舞い落ちる桜の花びらの中、拝殿の中から現れたのは、朧の背に乗った神さまだった
「桜の木なんて一本も無いのに、どうやって用意したんだにゃ?」
「ひぃが、多少の演出は必要だと、根の国の桜の花びらを用立ててくれたのじゃ」
朧は、可愛らしいリボンを首に巻き、機嫌良く舞台に向かって歩いて行く。
「浅葱が、屋根の上から風の妖術を使って必死なのが目に見えるにゃ。裏方は、大変だにゃ」
観客の鴉天狗たちの注目を一身に浴びて、主役のような気分になっている朧ではあるが、自身も神さまの馬役として立派な裏方であることには、気づいていなかった。
胸を張って堂々と舞台に上がって行き舞台中央に立つと、背を低く伏せの姿勢をとった。神さまは、ひらりと朧の横に舞い降りる。
「あぁ、兄さまカッコ良いです」
スセリビメは、胸の前に手のひらを合わせ、キラキラとした目で兄である神さまを見つめていた。
「ちっちゃいな」
鴉天狗の何気ない一言が、スセリビメの耳に届き、ギロリと表情を歪ませその鴉天狗を睨みつける。
スセリビメの睨みにビクンと姿勢を正したが、両脇の鴉天狗達に拳骨を落とされてしまった。
神さまは、真っ直ぐに前を見つめる。
シャラン、シャランと鈴の音が鳴り続ける。神さまの視線の先には、桐箱を乗せた三宝を持った佐久夜が、ゆっくりと舞台に向かって参道を歩いていた。
佐久夜は、神さまの姿を見据え、参道を一人歩いて行く。その姿を京平は、優しく見守る。何処からか、鈴の音に合わせて手拍子が鳴り始めた。
一人、また一人手拍子を打ち始める。
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