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アンジェラ視点28
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「私、夫に嫌われているの」
何の事もなげにユーリア様は話し出す。
私はと言うと、おしどり夫婦とまではいかないけど、他所に愛人も作らず奥さんを大事にしているシグルス様は例え政略結婚だったとしても奥さんを愛しているものと思っていた。
「最初は何故身分違いの私を妻にと望んだのか、当時まだ若かった私は愚かにもシグルス様が私を見初めたと本気で思っていたの」
「本当に馬鹿だったわ」としんみりと話し出すユーリア様。
確かに、落ちぶれた伯爵家から公爵家に婚約を打診した所で歯牙にも掛けて貰えないと思う。
つまり、どう見てもシグルス様がユーリア様に恋をしたて、格下である伯爵に結婚の打診をしたと思うのが本当だ。
けど、どうやら話は違うらしい。
「私達夫婦は何度か子供を授かったけど、全て流産か死産だったの。その事で夫は私を一度も責めた事はなかった。だから疑わなかったの……」
誰を?
何を?
疑問だけが膨らむ。
「その銀のカップ。両手で持った時に飾りが左の親指に当たるでしょう?」
言われた通り触ってカップの模様を触ってみる。
すると、あら不思議。
カップの中の液体が少しづつ減って行く。
「食事以外の飲食物は、自分で持ち込んだ物以外は口に入れないように。飲み物はそれを使えば一回だけ逃げる事が出来るわ。食べ物は悪阻のせいにして食べれないと言えば良い」
ユーリア様はそう言うとニコリと微笑まれた。
「そろそろ行くわね。あまり遅いと勘繰られてしまうから」
誰に?
そう思うが、考えると怖いので止めておく。
ユーリア様が去った後、私は銀のカップを見ながら考えに耽っていた。
何の事もなげにユーリア様は話し出す。
私はと言うと、おしどり夫婦とまではいかないけど、他所に愛人も作らず奥さんを大事にしているシグルス様は例え政略結婚だったとしても奥さんを愛しているものと思っていた。
「最初は何故身分違いの私を妻にと望んだのか、当時まだ若かった私は愚かにもシグルス様が私を見初めたと本気で思っていたの」
「本当に馬鹿だったわ」としんみりと話し出すユーリア様。
確かに、落ちぶれた伯爵家から公爵家に婚約を打診した所で歯牙にも掛けて貰えないと思う。
つまり、どう見てもシグルス様がユーリア様に恋をしたて、格下である伯爵に結婚の打診をしたと思うのが本当だ。
けど、どうやら話は違うらしい。
「私達夫婦は何度か子供を授かったけど、全て流産か死産だったの。その事で夫は私を一度も責めた事はなかった。だから疑わなかったの……」
誰を?
何を?
疑問だけが膨らむ。
「その銀のカップ。両手で持った時に飾りが左の親指に当たるでしょう?」
言われた通り触ってカップの模様を触ってみる。
すると、あら不思議。
カップの中の液体が少しづつ減って行く。
「食事以外の飲食物は、自分で持ち込んだ物以外は口に入れないように。飲み物はそれを使えば一回だけ逃げる事が出来るわ。食べ物は悪阻のせいにして食べれないと言えば良い」
ユーリア様はそう言うとニコリと微笑まれた。
「そろそろ行くわね。あまり遅いと勘繰られてしまうから」
誰に?
そう思うが、考えると怖いので止めておく。
ユーリア様が去った後、私は銀のカップを見ながら考えに耽っていた。
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