異世界人生ニューゲーム

ナアザ

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村での子供人生

新たな人生、俺は俺でも俺じゃない!

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「ハ、ハ、ハックション」

くしゃみと共に銀髪の髪が大きく揺れ、紫の瞳が扉を見据える

この村の幼馴染で子供の頃から何をするにも付いてくる
俺が冒険者になると村を出る時に、
自分も冒険者になるからパーティーを組めと迫って来た嫁の出産を待っているのだ

「まだかな、ヨムル俺は何をしとけば良いんだ?」

情けない声は壁にもたれ掛かりながら眼を閉じている水色の髪の男にかけられる

「まったく、ルディ
少しは落ち着けそれでも冒険者か?
そんなんだから邪魔だと追い出されたんだ」

彼、ヨムルも同じ村の出身で、
最初は違うパーティーにいたが、とある事件を切っ掛けにパーティーとして、親友として頼りになる仲間として冒険をした仲である

色々あって今は冒険稼業を休んでいるがまた冒険をしたいものだ

「ルディ、
お前も、嫁のヨナも少しは落ち着け
お前は子供の頃から自信がなさ過ぎる、商人はまだしも町の子供に口喧嘩で負けるな本当にあの時はビックリしたぞ俺がいなかったらどうなっていたことか、それでもこのパーティーのリーダーか?
ヨナもヨナで喧嘩っぱや過ぎだ、
初対面の貴族をぶん殴った時は本当に見捨てようか悩んだんだからな
そもそもだなお前達の結婚だって俺がいなかったらあったかも分からない
ってルディ聞いてるのか!?」

ヨムルの話をそっちのけで嫁の妊娠部屋の扉を見ていたルディを叱るヨムルはまさに母親の姿が重なって見える程だ

耳元で大声を出され耳を塞ぐルディは謝罪ではなく犯行の声をもらす
「だってヨムルの話長いんだもん、最後まで聞いてたら子供が産まれちゃうよ」

「あぁ!?」

ヨムルに睨まれたルディ達の姿はまさに蛇とカエルであった

そんな情けない父親の子は父を助ける為か大きな声で自分が産まれたという証である声を張り上げた

「オンギャアーーーーー!!!!!」

その声は赤ちゃんとは思えぬ程大きく自分の存在を示すには十分過ぎた

ルディは何度も何度も扉を強く叩きつけながら開けて良いかと扉の向こうに問い続ける

「ヨナ!ヨナ!ヨナー!開けて良いのか?
体は大丈夫か?子供はどうだ?
ヨムル!俺は念のために最上級の回復ポーションをとって来るから待っててくれ」

ヨムルはヨムルで話が長く話し出すと止まらない自覚があるが、ルディの気の弱さや自信のなさ、取り乱した時の馬鹿さを見ているとどうしても自分がマシに思えてしまうのだ

「ルディ、おいルディ、ルディ!!!」

取り乱し過ぎたルディは他人の声が聞こえなくなることがたたあったのだが大体がヨナとヨムルが落ち着かせていた、ヨムルがルディをなだめるのは赤子の手をひねるよりも楽だろう

「最上級を使うのは死にかけの時だけだ」

少しは落ち着いたルディはゆっくりと扉から下がり

バンッと、勢いよく開けられた扉はルディを飛ばしながら全開した

中から出て来たのは三十代の女性、優しそうな笑顔で遠くに吹き飛んだルディに喋りかける

「全く、静かにしなさい、ヨナがうるさいって言ってたよ」

いつもと変わらない光景にヨムルは苦笑しながら女性に話しかける

「ムーさん、それで赤ちゃんは?」

「元気な男の子だよ」

未だに寝っ転がったルディを蹴りつけ叩き起こす

「ほら、男の子だとよ、早く会いにやってやれ父親だろうが」

今までの話が半分以上聞けていなかったルディは男の子!?とワンテンポ遅く子供の性別を知った

「ヨナ、大丈ブハァッ」

部屋に入るなり、突然花瓶を顔面にくらい転がるルディ、父と子の初対面は顔面を押さえて転がる姿であった

投げられた方を見ると紅の髪と瞳がこちらを睨んでいた

「うるさいのよ、外でギャーギャーギャーギャーしかも最上級ポーションって馬鹿なの?」

どうやら聞こえていたようだ
さっきもにたような事を言われたがそれよりもヨナの腕の中にいる泣き止んだ赤ちゃんに目を奪われるルディ

「それが俺とお前の子か?」

「じゃなかったら誰の子なのよ」

感極まったのかシクシクとなくルディの姿にヨナはくすりと笑う

「こんなのが私達のリーダーなんてね、なんでこんなのを好きになったのか今でも分からないわ」

嫁の言葉に笑いながら苦笑してみせる

「おぉ、随分とかわいい子だな、てっきり鬼か阿修羅みたいな子だと思ったんだが」

後から入って来たヨムルが本当に意外そうに驚く

「ナナシ、これから色々めんどくさい人生があるけど頑張れよ、ヨナこいつの眼の色は?」

「紅だけどそれがどうかしたの?」

「いや、賭けをしててな今夜の酒代が浮いただけだ」

「「クズだ!」」

そんな会話の中、ムーさんが溜息を吐きながらルディ達に注意を促す

「ほらほら、これから忙しくなるってのにいつまで話してんだい
ほら働きな」

その言葉に3人が返事をしそれぞれの仕事に向かった

ヨナとムーは赤ちゃんの世話関係の仕事を

ヨムルはまだ赤ちゃんと一緒にいたいと駄々をこねるルディを引きずりながら外へ向かった

母の腕の中にいる赤ちゃんはとても可愛らしく一見静かに見えた

上辺だけなら

(ちょっと待って~~~!!!
えぇぇ!!!???
え?キャラクターメイキングに17歳って入力したよね!?
0歳じゃんかどう考えても!
名前ってコウヤだよね!?
ナナシって誰!?
えぇぇ???)

内心はヤバかった

しかも、何か分からないが右上に残り13分48秒と書かれている

そんなパニクってる中で、頭の中で声がした

『マイクテスト、マイクテスト、本日は晴天なり
よし、みんな聞こえてるかみたいだね
いや~、まさか言い忘れるとはね

忘れたのは2つ

1つ、記憶の消去、チート転生とかさせてた頃にやり過ぎる子がいてねぇ、結論的にはほとんど消すことになったんだ』

(おいぃぃぃ!それめっちゃヤバいじゃないか!?)

そんな俺の想いは届かず神は続ける

『2つ、人格の話
君達って本来なら死んでここにいないはずだったじゃん今は僕らの力で君達だけにしてるけど、来世の子の体を借りてるんだ、持ち主がちゃんといる
君達の人格は多重人格とかじゃなくて
主人格の考え方その1扱いになるんだ、

えぇ、まだ分からないの?
えぇと、もっと簡単に言うと


お前ら人権ねぇから(笑)


ってことだよ
一応存在はするけどね』

(神も仏もいないな)
神はいたけど優しくないからノーカンで

神は相変わらず人の声?を聞かずに喋る。

そもそも、キャラクターメイキングはどうなったんだよ

そんな事を思っていると神は突然怒り出した

『うるっさいな、キャラクターメイキングの最初に理想のって書いてあったでしょ

実現させるなんて言ってないよ』

初めて声が届いたようだ

念のために質問しておく

(神様~!ナナシって何?)

『んじゃ、終わりだよ
残り8分19秒残りの自分勝手の人生満喫してね~
アドゥー(笑)』

無視されたのか、さっきがたまたまだったのか

そんなことより後8分どうしようかそんな事を考え続けて、時間は0になった

何も出来ずに俺は人生を無駄にした


ーー
ーーー
純白の世界で金髪の少年は足をバタつかせ笑う

「いや、面白いね
試練その2
『最後の一時間」記憶は無くなっても思考の一部はのこるからね、これを境にみんな頑張り始めるんだよな、赤ちゃんだからって寝てるだけで終わる子がほとんどだし」

そんな少年を見て大男が質問する

「この試練を作ったエリスは何がしたいんだい?」

「時間を無駄に過ごすな、働けニートってところだよ、どうせ『みなさんには幸せな人生を歩んでもらうために時間を無駄にしてはいけませんと言う事を分かってもらうために作りました』とか言うんだよ、どーせ」

優しい彼女なら言いそうだな、と大男は納得して転生者を見るのであった

あぁと、金髪の神は何もない天井を見上げて吐き捨てるように言った

「チッ、偽善者が」
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