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診察は手術の後で
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次に目を覚ますと、ぼやける視界の中で白衣が見えた。徐々に覚醒していく頭。
そっか。私、手術を受けたんだ。夕映はこの時になってようやく実感した。辺りは暗かった。ただ、横から差し込む光が眩しくて、少し目を細めた。
目だけ動かして天井から左右を見渡すと、昨日とは違う病室にいるようだった。ガラス越しからは人の気配がした。それも数人いるようで、昨日説明をしにきた看護師が「手術後はナースステーションの隣の大きなお部屋に帰ってきますからね」と言っていたのを思い出した。
ああ、そうか。ここがHCUか、と実習で見学させてもらった情景を思い浮かべる。自分が患者になることはわかってたけど、こんな感じか。
ぼやぼやそんなことを考えていると「あ、意識戻った? よく寝てたね」と低い声が聞こえた。
ぎこちない動きしかできない体を動かし、顎を上げるとひょっこり顔を出した白衣の主は旭だった。
白衣が見えたことはわかったが、それが誰かを判断するほど頭は回っていなかった。ただ、会いたかったその人物の存在に、夕映の胸はトクトクと高鳴った。
「せんせ……」
「手術終わったからね。麻酔が効きすぎたかな? もうご両親も帰られたよ」
なんとなくさっき会った気がする。その程度の記憶しかない。旭の顔を見られて嬉しいはずなのに、両親はもう既にいないと聞いてなんでさっきちゃんと起きられなかったんだろうと後悔した。
「もう夜だから、明日また面会に来てもらおうね」
そう付け加えられ、夕映はゆっくり頷いた。
話し声に気付いたのか、ドアが開いて「小柳さん起きた?」と女性の声が聞こえた。
夕映は、声だけで渕上先生だと思った。
そっか。私、手術を受けたんだ。夕映はこの時になってようやく実感した。辺りは暗かった。ただ、横から差し込む光が眩しくて、少し目を細めた。
目だけ動かして天井から左右を見渡すと、昨日とは違う病室にいるようだった。ガラス越しからは人の気配がした。それも数人いるようで、昨日説明をしにきた看護師が「手術後はナースステーションの隣の大きなお部屋に帰ってきますからね」と言っていたのを思い出した。
ああ、そうか。ここがHCUか、と実習で見学させてもらった情景を思い浮かべる。自分が患者になることはわかってたけど、こんな感じか。
ぼやぼやそんなことを考えていると「あ、意識戻った? よく寝てたね」と低い声が聞こえた。
ぎこちない動きしかできない体を動かし、顎を上げるとひょっこり顔を出した白衣の主は旭だった。
白衣が見えたことはわかったが、それが誰かを判断するほど頭は回っていなかった。ただ、会いたかったその人物の存在に、夕映の胸はトクトクと高鳴った。
「せんせ……」
「手術終わったからね。麻酔が効きすぎたかな? もうご両親も帰られたよ」
なんとなくさっき会った気がする。その程度の記憶しかない。旭の顔を見られて嬉しいはずなのに、両親はもう既にいないと聞いてなんでさっきちゃんと起きられなかったんだろうと後悔した。
「もう夜だから、明日また面会に来てもらおうね」
そう付け加えられ、夕映はゆっくり頷いた。
話し声に気付いたのか、ドアが開いて「小柳さん起きた?」と女性の声が聞こえた。
夕映は、声だけで渕上先生だと思った。
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