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診察は手術の後で
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手術前同様に顔を覗き込まれる。綺麗な美人顔が優しく微笑むと「頑張ったね。無事に終わったからね」と言った。
小さく頷くと「説明はまた明日するね。今はまだお薬が残ってると思うから、ゆっくり寝てね」とまるで子守唄のように優しい声が聞こえた。
なぜ旭がいたのか、この後どうなるのか、今何時なのか。聞きたいことは山ほどあったが、夕映は安心感に包まれて眠りに落ちた。
バタバタと騒がしい音で目が覚めた。小さな窓から太陽の光が差し込んでいて、夜が明けたことを示していた。
頭はすっかり冴えていた。麻酔の効果が完全に切れているのだろう。夕映はコロンと寝返りを打った。
ピンッと何かが引っ張られる感覚が下半身からした。布団の中でモゾモゾと手を動かし、自分の陰部を確認しようとする。しかし、ゴワゴワとした紙に覆われていて、それがオムツだとわかった瞬間、さあっと青冷めた。
それからすぐ下から出ている管。実習中、何度も患者のそれを確認した。
あぁ、私の尿道にも遂に入れられてしまった……。
心の中で呟いた夕映は、泣き出したいほどの羞恥心に襲われた。今回は腹腔鏡での手術であったが、大事をとって全身麻酔で行われた。
完全に呼吸を停止させて行うため、当然排泄機能も止まり、自力では不可能になる。尿を排出させるため、膀胱に留置させるカテーテルが挿入されていた。
術後は排尿の量や性状も重要な観察ポイントとなる。そんなことは看護学生の夕映にはわかりきっているのだが、昨日はどうやら旭がいたらしい朧気な記憶が残る中、自分は尿を明るみにさせて爆睡していたのだと思ったら、堪らなく恥ずかしくなったのだ。
小さく頷くと「説明はまた明日するね。今はまだお薬が残ってると思うから、ゆっくり寝てね」とまるで子守唄のように優しい声が聞こえた。
なぜ旭がいたのか、この後どうなるのか、今何時なのか。聞きたいことは山ほどあったが、夕映は安心感に包まれて眠りに落ちた。
バタバタと騒がしい音で目が覚めた。小さな窓から太陽の光が差し込んでいて、夜が明けたことを示していた。
頭はすっかり冴えていた。麻酔の効果が完全に切れているのだろう。夕映はコロンと寝返りを打った。
ピンッと何かが引っ張られる感覚が下半身からした。布団の中でモゾモゾと手を動かし、自分の陰部を確認しようとする。しかし、ゴワゴワとした紙に覆われていて、それがオムツだとわかった瞬間、さあっと青冷めた。
それからすぐ下から出ている管。実習中、何度も患者のそれを確認した。
あぁ、私の尿道にも遂に入れられてしまった……。
心の中で呟いた夕映は、泣き出したいほどの羞恥心に襲われた。今回は腹腔鏡での手術であったが、大事をとって全身麻酔で行われた。
完全に呼吸を停止させて行うため、当然排泄機能も止まり、自力では不可能になる。尿を排出させるため、膀胱に留置させるカテーテルが挿入されていた。
術後は排尿の量や性状も重要な観察ポイントとなる。そんなことは看護学生の夕映にはわかりきっているのだが、昨日はどうやら旭がいたらしい朧気な記憶が残る中、自分は尿を明るみにさせて爆睡していたのだと思ったら、堪らなく恥ずかしくなったのだ。
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