64 / 253
診察は手術の後で
17
しおりを挟む
「なんだかお別れみたいだ」
「いえ、諦めません。契約の件もまだ保留なので」
即座に真顔で言った夕映。食い気味な彼女に旭はまた笑うしかなかった。
「もう、しつこいなぁ」
肩を震わせて笑う旭に、夕映はつられて笑った。
「私はしつこいですよ! とりあえず患者としてはお終いですけど、今度は看護師としてお世話になりますからね」
「なるほどね。立派な看護師さんになって下さいね」
「あ、話逸らしましたね。契約はどうなったんですか」
「とりあえず退院しようよ」
眉を下げて笑う旭。またもやこんなに迫られるとは思ってもおらず、笑いが止まらなかった。
「退院したらもう会えないじゃないですか!」
「会えるよ。3月13日」
「え?」
「土曜日」
「土曜日……」
「お母さんにはちゃんと出席すること言いなよ」
「え、な……」
「パーティー、来るんでしょ?」
前屈みで足を組み、膝の上で頬杖をついた旭が軽く目を閉じて言った。夕映はその言葉を理解すると、みるみる内に瞼を最大限まで持ち上げて「行きます!」と声を張った。
「静かに。いくら個室でも隣には他の患者さんもいるんだからね」
「はい、すみません!」
「一応正装なんだけどドレスとか持ってる?」
「えっと、謝恩会で着るためのドレスを買ってもらったので一応あります」
「謝恩会あるの? いつ?」
「20日なので被りません!」
「あー……」
残念そうに目を細めた旭に、夕映はむくれると「被っててもパーティー優先しました」と低い声で呟いた。
「いえ、諦めません。契約の件もまだ保留なので」
即座に真顔で言った夕映。食い気味な彼女に旭はまた笑うしかなかった。
「もう、しつこいなぁ」
肩を震わせて笑う旭に、夕映はつられて笑った。
「私はしつこいですよ! とりあえず患者としてはお終いですけど、今度は看護師としてお世話になりますからね」
「なるほどね。立派な看護師さんになって下さいね」
「あ、話逸らしましたね。契約はどうなったんですか」
「とりあえず退院しようよ」
眉を下げて笑う旭。またもやこんなに迫られるとは思ってもおらず、笑いが止まらなかった。
「退院したらもう会えないじゃないですか!」
「会えるよ。3月13日」
「え?」
「土曜日」
「土曜日……」
「お母さんにはちゃんと出席すること言いなよ」
「え、な……」
「パーティー、来るんでしょ?」
前屈みで足を組み、膝の上で頬杖をついた旭が軽く目を閉じて言った。夕映はその言葉を理解すると、みるみる内に瞼を最大限まで持ち上げて「行きます!」と声を張った。
「静かに。いくら個室でも隣には他の患者さんもいるんだからね」
「はい、すみません!」
「一応正装なんだけどドレスとか持ってる?」
「えっと、謝恩会で着るためのドレスを買ってもらったので一応あります」
「謝恩会あるの? いつ?」
「20日なので被りません!」
「あー……」
残念そうに目を細めた旭に、夕映はむくれると「被っててもパーティー優先しました」と低い声で呟いた。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
41
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる