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パーティーでは淑女を演じさせていただきます
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そんなことがあったことなど、旭は微塵も感じなかった。その状況でよく手術をやめると言わなかったな、と感心した。
「手術を受けてその後はどうですか?」
「それが、元気なものですよ。薬も飲まなくてよくなったし、怖がっていた声帯の後遺症もなにもなかったので。傷口を洗うのも慣れてきたみたいですし。何より、今日のことが楽しみだって言いながら張り切ってましたから」
思い出し笑いを浮かべる母に、旭は安堵の息をついた。嬉しそうに戻ってきた夕映は、2人がそんな話をしているなどとは思いもしない。
「お待たせしました!」
いつも通りの笑顔を見せた夕映。
旭は、母親から聞かされた話を思い出すと、パーティではしゃぐ夕映に強くは言えなかった。
車内ではずっと嬉しそうに顔を綻ばせていた。美容院でヘアメイクを施してもらったのか、普段の雰囲気とは異なる。
少しだけ大人っぽく見える夕映だが、発言はいつも通りだ。
更に武内保は誰だとしつこく問いただされ、渋々指を差して教えてやれば「本当にお医者さんですか!? モデルさんじゃなくて!?」と驚きを隠せない様子だった。
旭は苦笑するが、夕映の気持ちもわからなくはなかった。保は186cmの長身に小さな顔、長い足が特徴的だった。更に月9ドラマにヒーロー役で登場していてもおかしくはない整った顔立ちは、街中を歩いていれば何度もスカウトされる。それが面倒で、保自身も都会には行きたがらなかった。
遠目でもハッキリとわかるその存在感。更に、隣にはお似合いの美女を連れているのだから目がいかないはずもなかった。
「手術を受けてその後はどうですか?」
「それが、元気なものですよ。薬も飲まなくてよくなったし、怖がっていた声帯の後遺症もなにもなかったので。傷口を洗うのも慣れてきたみたいですし。何より、今日のことが楽しみだって言いながら張り切ってましたから」
思い出し笑いを浮かべる母に、旭は安堵の息をついた。嬉しそうに戻ってきた夕映は、2人がそんな話をしているなどとは思いもしない。
「お待たせしました!」
いつも通りの笑顔を見せた夕映。
旭は、母親から聞かされた話を思い出すと、パーティではしゃぐ夕映に強くは言えなかった。
車内ではずっと嬉しそうに顔を綻ばせていた。美容院でヘアメイクを施してもらったのか、普段の雰囲気とは異なる。
少しだけ大人っぽく見える夕映だが、発言はいつも通りだ。
更に武内保は誰だとしつこく問いただされ、渋々指を差して教えてやれば「本当にお医者さんですか!? モデルさんじゃなくて!?」と驚きを隠せない様子だった。
旭は苦笑するが、夕映の気持ちもわからなくはなかった。保は186cmの長身に小さな顔、長い足が特徴的だった。更に月9ドラマにヒーロー役で登場していてもおかしくはない整った顔立ちは、街中を歩いていれば何度もスカウトされる。それが面倒で、保自身も都会には行きたがらなかった。
遠目でもハッキリとわかるその存在感。更に、隣にはお似合いの美女を連れているのだから目がいかないはずもなかった。
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