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パーティーでは淑女を演じさせていただきます
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ぶわっと赤面する夕映。旭は、他人とのやり取りで夕映のそんな顔を見たのは初めてだった。自分の好きな人と自分のことが好きな人が向かい合って会話をしているのは不思議な光景だった。
「武内、とりあえず挨拶がてら連れてきたんだけど、まだ就職するまでは言わないつもりでいるから」
「わかってるよ。旭の病棟に行くの?」
ふふんと笑う保が夕映に尋ねると、ぶんぶんと首を左右に振った夕映が「いえいえ……私は外科に……」と否定した。
「外科志望なの? じゃあ、うちにきたら? 消化器。看護師さん足りなくてわちゃわちゃしてるし。あ、俺の幼なじみも彼女看護師さんだよ」
さらさらっと流暢に言った保はぐるっと会場を見渡して誰かを探している様子だった。それからすぐに「昴ー」と大声を出して手招きをする。
1人ぎょっとしたように顔をしかめた人物が、心底嫌そうにしながら保の元へやってきた。
「大声出すなよ。うるせぇな」
口の悪い男は、ギロっと下から保を睨み付ける。とはいえ、夕映にとっては彼も旭と同じくらいの高身長に見えた。武内先生が大きすぎるのか、と納得しながらその男に視線をやると更に鋭い視線を振り落とされ、夕映はびくぅっと飛び上がった。
「ほら昴。彼女が怖がってるでしょ。あ、名前なんだっけ?」
「こ、小柳夕映です……」
「そうそう。夕映ちゃん。旭の彼女」
「は!?」
さらりと言った保に、ぎゅっと眉をひそめて昴が夕映を見る。
「……子供じゃねぇか」
そう呟いた昴の頭を勢いよくスパーンと保が叩いた。
「いってぇな!」
「はい、無神経。ごめんね、夕映ちゃん。これ俺の幼なじみね。それで同じ病棟の医師。旭とも同期だよ」
にこやかな保は、昴の肩を組んでそう紹介した。面倒くさそうに腕を組んで顔をしかめる昴だったが、夕映は保と並んでも引けを取らないその容姿に気付いた。
「武内、とりあえず挨拶がてら連れてきたんだけど、まだ就職するまでは言わないつもりでいるから」
「わかってるよ。旭の病棟に行くの?」
ふふんと笑う保が夕映に尋ねると、ぶんぶんと首を左右に振った夕映が「いえいえ……私は外科に……」と否定した。
「外科志望なの? じゃあ、うちにきたら? 消化器。看護師さん足りなくてわちゃわちゃしてるし。あ、俺の幼なじみも彼女看護師さんだよ」
さらさらっと流暢に言った保はぐるっと会場を見渡して誰かを探している様子だった。それからすぐに「昴ー」と大声を出して手招きをする。
1人ぎょっとしたように顔をしかめた人物が、心底嫌そうにしながら保の元へやってきた。
「大声出すなよ。うるせぇな」
口の悪い男は、ギロっと下から保を睨み付ける。とはいえ、夕映にとっては彼も旭と同じくらいの高身長に見えた。武内先生が大きすぎるのか、と納得しながらその男に視線をやると更に鋭い視線を振り落とされ、夕映はびくぅっと飛び上がった。
「ほら昴。彼女が怖がってるでしょ。あ、名前なんだっけ?」
「こ、小柳夕映です……」
「そうそう。夕映ちゃん。旭の彼女」
「は!?」
さらりと言った保に、ぎゅっと眉をひそめて昴が夕映を見る。
「……子供じゃねぇか」
そう呟いた昴の頭を勢いよくスパーンと保が叩いた。
「いってぇな!」
「はい、無神経。ごめんね、夕映ちゃん。これ俺の幼なじみね。それで同じ病棟の医師。旭とも同期だよ」
にこやかな保は、昴の肩を組んでそう紹介した。面倒くさそうに腕を組んで顔をしかめる昴だったが、夕映は保と並んでも引けを取らないその容姿に気付いた。
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