俺の名前は今日からポチです

ムーン

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あわせわざ、きゅう

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扉が閉まって雪兎の姿が完全に見えなくなる。使用人の一人が扉に鍵をかけ、頭を下げていた他の者達が持ち場に戻っていく。
俺を故意に観察することはないのを安堵するも、首輪を軽く引かれて視界に一人の使用人が入ってくればまた背筋が寒くなる。

「行きましょうか、ペット様」

「ぅ……うぅぅ……」

首を横に振って首輪の紐に手を伸ばすと、使用人は紐を更に引っ張る。呼吸が本当に出来なくなって手を下ろすと余裕を返された。

「雪兎様に言うことを聞かない時は首輪を引けと言われていますので、あまり逆らわないでくださいね。さぁ、行きましょう。四つん這いで着いてきてください」

雪兎以外に首輪を引かれても嬉しくも気持ちよくもない、ただただ屈辱で、苦しくて、涙が溢れてきた。そんな俺の様子なんて知ろうともしないで、振り返ることなく進んでいく大きな背を睨みつける。
膝が床に着く度に振動が中に伝わり、尻尾飾りの張形が中を刺激して、刺激されると締め付けてしまって……そんな循環は雪兎が居なくてもずっとあって、呼吸の苦しさも合わせて情けなくてまた泣いた。

「着きました。一度立ってください」

連れて来られたのは見覚えがある気がする檻。何故家に檻があるのか……なんて話はきっと富豪だからで納得しなければ何か嫌なものに近付いてしまう気がする。
檻の中心に置かれた椅子は床に固定されているように見える。その前で立てと言われて立つと今度はやはり椅子に座れと言われる。

「んっ、ふ……ぅ」

座れば尻尾飾りが押し込まれて、座ったことでくねった腸壁をぐりっと突かれてしまう。

「…………座るだけで感じるんですね」

その言葉に視線を上げれば使用人はサングラスを外して胸ポケットに引っ掛けるところだった。彼らの目はずっと見ることがなかった、室内だろうと彼らはサングラスを外さなかった。しかし、目の前に居る彼はそれを外して俺に嘲りと憐れみの視線を向けている。

「……固定しますね。雪兎様の命令ですので、抵抗しないでください」

抵抗したくても出来る身体ではない。
背もたれの後ろに腕を回すよう言われてそうすると後ろにあったらしいベルトに固定される。同じく背もたれにあったらしい別のベルトが今度は前に回り、腹に巻かれた。手首を拘束した物よりは太いように感じる。

「足、ここに上げてください」

じっと男を睨みながら膝を曲げて足を開く。肘掛けのベルトに足を拘束されてもずっと男を睨んでいると、鼻で笑われた。

「……よくそんな格好して人を睨めますね」

拘束を終えた使用人は背もたれの角に左手を置き、右手で首輪の紐を後ろに引っ張りながら顔を近付ける。

「雪兎様には色々な玩具を付けて放置しろと言われています。ペット様の尻尾のバイブ動かすリモコン俺が持ってるんですよ。他に使えって言われたのは……乳首吸引してその上ブラシで擦るえぐいやつと、これまたえぐい尿道プラグ……見てるとちょっと痛いんですよねこれ」

ぐっ、と首輪を引く力が強くなり、声を出せなくなる。

「……玩具を全てセットしたら部屋を出ろって言われているんですが、そんなに生意気に睨まれたら俺に媚びた目向けるまで出たくなくなります。やめてくださいよ……俺に変な性癖作らないでください」

苦しくて自然と涙が溢れても、その涙で視界が歪んでも、ほとんど意識せずに睨み続けていた。
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