俺の名前は今日からポチです

ムーン

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あさからひるまで、ご

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さっきまで絶頂を繰り返していたくせに、俺と自分の身体を精液で汚したくせに、父性溢れる微笑みを浮かべて俺の頭を撫でている。

「……ごめん」

目を閉じて、ポツリと呟くと雪風は起き上がって俺の隣に座った。追いかけるように俺も起き上がり、白い肢体を抱き寄せた。

「…………よしよし。大丈夫だ。お前はもう何ヶ月も前から大丈夫になってるんだ。大丈夫だからな」

俺がこうなった原因にも、どうして大丈夫なのかも言わず、自分より分厚い身体の子供を慰める。そんな雪風に俺は聖母に抱くような敬意と愛情が自分の中にあったと気付いた。

「……怖かったな。辛かったよな。分かるよ、俺も……自分の全てが消えたって、そう感じたことあったから」

俺が何に怯えて苦しんでいたのかは言わずに、自分の経験も具体的には語らない。その対応が何より心地好くて、抱き着いて甘える。

「大丈夫……もう、新しい拠り所は見つかっただろ?」

抱き着いたまま、首筋に顔を押し付けたまま、頷く。

「…………よし、じゃ、そろそろ昼飯だ。行くぞ」

「ぅ、ん……」

「先に風呂だな。一緒に入るか?」

「うん……」

「よし、着替え持って風呂に集合。ほら取ってこい」

半ば追い出されるように雪風の部屋を出て、裸で自分の部屋に向かう。涙を拭って、震えなくなった足をしっかりと動かして、自分の部屋に戻った。


着替えを持って露天風呂に移動。着替えは脱衣所で待たせ、俺と雪風は山と海を見渡す贅沢な景色を肴に温泉に浸かる。

「すごいよなここ、両方が綺麗に見えるアングル探すの大変だったらしいぞ?」

確かに、山も海も美しい角度……かな? この景色の芸術的価値は俺には分からない、俺に分かるのはこの景色が美しいということだけだ。
抜けるような青い空に陽光を反射して輝く海面、それらを引き立て、また自分も引き立てさせる深い緑の木々。裾野の雄大さにはため息が漏れる。

「やっぱ温泉浸かりながらの酒は最高だよな」

「それは分からないけど、浸かって大丈夫なのか? 傷とか」

「怪我してるからって風呂入らないのもアレだろ? この温泉入らないのはもったいなさすぎるし」

痛くないかを聞いているのに、入る理由を並べてくる。なるほど、これはつまり──

「沁みてるんだな?」

「……あぁ、骨身に染みるな」

「痛いんだな?」

「…………いや、ほら、温泉って効能あるから」

引っ掻き傷や打撲にも効くのか? まぁ、湯治なんてものがあるくらいだから効く温泉があったとしても、ここなのか?

「それに酒飲んでるから結構平気。気にするな」

「……なら、いいけど」

細い腰に腕を回し、太腿が触れ合うまで距離を詰め、頬に口付け。

「…………そんなことされたらすぐのぼせそうだ」

うまいこと言ったつもりか、そう笑ってやりたくなる微笑みだ。俺はあえて何も言わず、今度はしっかり唇を重ねた。
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