『ルームメイトの服を着てナニしているのを見られちゃいました。』他、見られちゃった短編集

雨月 良夜

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『幽霊だけど、姿を見られちゃいました。(ついでに触られてます。)』

幽霊って視えないはずですよね……

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僕は、相良咲弥と言います。

この部屋に住んでいる、というか憑いている地縛霊です。


自分がどうやって死んだかは覚えていません。
でも、この部屋は、僕が生前住んでいたアパートです。


何時からなのか分かりませんが、僕は気がつくと地縛霊になっていました。


最初は自分が幽霊だと気が付いていなかったんです。
でも、この部屋に他の人が住み始めて、自分のことが見えていないと知ったとき、「ああ、僕は幽霊なのか。」と分かってしまいました。


僕は地縛霊なので、このアパートの部屋から出られません。
ぎりぎり、ベランダまでは出ることが出来ますが、それ以上出ようとすると、身体が部屋に引っ張られるのです。


ちなみに、この部屋は「いわくつきの部屋」になっています。

その理由は、僕が部屋に住んだ前の住人を、一ヶ月も経たずに追い出してしまったからです。
 

ほんの3ヶ月前に、若くてチャラい男性がこの部屋に住み始めました。

 
僕は、「幽霊なら何かしないといけないのかな?人間を怖がらせないとダメなのかな?」
と謎の使命感を感じてしまいました。

それは、それは、沢山の怪奇現象を起こしました。

 
テレビの電源を勝手に入れたり、窓を勝手に開けてみたり、照明のスイッチを着けたり、消したり。


どういうわけか、此方からは、人やモノに触れることが可能でした。
でも、人からは、僕に触ることができないようです。

 
そんなことを繰り返していたら、一ヶ月も経たないうちに、チャラい男の人が根をあげてしまったのです。


不動産屋の人を部屋に呼び出して、僕が起こした怪奇現象を説明しました。

 
そのときに、僕も黙っておけば良かったのですが、このチャラ男があまりに可哀想でした。

なので、不動産屋がいる前でもポルターガイスト現象を起こしておきました。

 
不動産屋は、この部屋が異常だと気づき、二年契約の縛り関係なく、チャラ男に別の部屋を紹介し、チャラ男も引っ越していきました。

 
後日、祓い屋なる中年男性がきましたが、あれはエセだと思います。


僕の存在に気が付かないし、何か呪文を唱えていましたが、僕の身には何も変化がありませんでした。


お祓いの費用は数十万ということで、ひどい商売です。

 
お祓いをしても、この部屋は『いわくつき』になったので、家賃が他の部屋よりも少し安くなっています。

 
僕はもう心に決めていました。

怪奇現象は起こさず、ただ住民を見守ろうと。

人が住んでいない間、家具も一切ない部屋で、一人ぼっちでいるのは、とても寂しかったのです。


そんなこんながありましたが、つい最近、この部屋に新しい住人が引っ越してきました。

 

名前は一ノ瀬 章親。

有名な大学の二年生です。
爽やかな好青年のイケメンです。
学部は医療関係だったと思います。

 
僕は心のなかで、密かに章親君と呼んでいます。


僕は、怪奇現象を起こさず、章親君の生活を見守ることにしたのですが……。


大学の勉強の他に、章親君は居酒屋でアルバイトをしていました。

何でも、親からの仕送りには頼らず、自分で学費を稼いでいるようです。

 
医療関係の勉強はとても難しく、覚えることも沢山あります。
大学から出される課題も多いです。

 
毎日、くたくたになって帰ってきてから、勉強をして朝から大学に行く。

 
そんな生活をしている章親君が、僕は心配でたまりませんでした。
いつか、章親君は身体を壊してしまう。
 

僕は、ほんとにそれとなく、章親君の生活が快適になるように動き始めました。


章親君が部屋にいない間に、排水口の掃除から始まり、部屋やお風呂の掃除を始めました。


もちろん、ばれない程度にです。
洗い物も、コップ一個とか、小さな皿数枚とか、なるべく数を減らすようにしました。


今のところは、章親君にバレていません。
我ながら偉いです。



ある日の朝、いつも通り目覚まし時計のけたたましい音が、部屋に鳴り響きました。


ガチンッ!

目覚ましのスイッチを押してアラームを止めた章親君。
 

ここまではいつも通りです。

でも、よっぽど疲れているのか、章親君が起き上がりません。

 
「……んにゃ…、あと10分……」

章親君は、むにゃむにゃ言いながら、再び眠ってしまいました。


待って!寝ちゃダメです!

今日は朝から、出席に厳しい教授の講義だって言ってたじゃないですか!


起こさないと、遅刻しちゃう……。うう。


焦っている僕をよそに、章親君はスヤスヤ寝ています。

 
……かわいそうだけど、心を鬼にします!

 
僕は、モノと同じように、人にも触ることができます。

仰向けで寝ている章親君の上に、ふわりと身体を浮かべました。
恐る恐る近づいて、軽くゆさゆさと章親君の肩をゆすってみます。


身体の違和感に気が付いて、起きてくれないかな……。

 
「起きて!遅刻しちゃいます!!」

聞こえないと分かってはいましたが、緊急事態です。思わず叫んでしまいました。


「うーん……。」

違和感は感じていそうですが、眠気が覚めないようで、まだ目を覚ましてくれません。

そんなこんなしているうちに、時間が迫ってきています!


悩んだ末、僕は強行手段に出ました。


「もう、起きてー!!」

僕は章親くんの身体を押して、どすんっとベッドから床に章親くんの身体を落としました。
痛いだろうけど、さすがに起きるはずです!

お願い。これで起きて!


「っ!痛っ!!」

章親君は、短く悲鳴をあげて目覚めました。
腰を押さえて、あくびをしています。

まだ、電車にも間に合うし、良かった……。


「っげ。やべ……、二度寝した!」

まだ間に合うから、支度を急いで!

章親くんがバタバタとしている間に、筆記用具とかをカバンの中にこっそり入れておきます。忘れ物はこれでないはず。

 
顔を洗って、歯磨きをしている章親君を見ると、後頭部の髪がぴょこんっと寝ぐせで跳ねています。

どうやら気が付いていないみたいです。


「ここ、寝ぐせついてるよー。」

教えてあげるために、そっと指でぴょこんとした寝ぐせを突きます。

 
「おー。」

寝起きの頭でぼーっとした声を出して、章親君が寝ぐせを治そうと手を動かしています。


……あれっ?

今、章親君、返事しなかった?
そんな訳ないか。


きっとタイミングが良かっただけでしょう。
でも、会話ができたみたいで少し嬉しいです。

 
バタバタと準備をして、カバンを持っていざ出発です。

章親君は、今日も爽やかなイケメンに仕上がっています。上々です。
今日もあまり無理しないでくださいね。

 
急いで玄関に向かっていった章親君に、「気を付けてね!行ってらっしゃい。」と声を掛けます。

まあ、聞こえて……

 
「おう。」


……?!?!

いやいや。
これもタイミングが良すぎただけですよね。

きっとそうです。

 
僕は気を取り直して、日課のちょこっとした家事をこなします。

 

_______________

夜になって、章親君が部屋に帰ってきました。

今日はアルバイトは休みの日です。早く帰ってこれて良かった。


こんな日は、ゆっくり休んでほしいな。
料理好きの章親君は、夕食を作りはじめました。

今日の夕食はオムライスと野菜スープです。とろとろオムライス、すごく美味しそう。
 

背の低いテーブルに座った章親君の左横に、僕も座ります。

こうしていると、二人で食事しているみたいで楽しいです。


テーブルに両肘をついて、手に両頬を乗せた状態で、章親君がオムライスを美味しそうに食べる姿を眺めていました。

うん、安定のイケメンです。

 僕はふと、章親君の顔を見ながら疑問を口にしました。


「料理も完璧でかっこいいのに、なんで彼女いないんだろ……。」

僕はぽつりと呟きました。
何となく疑問に思ってたんですよね。

別に、誰にも聞こえないし。
ほとんど独り言です。

 

「余計なお世話だ。」

 

…………。へっ?

 
僕は、目をぱちくりさせて章親君を見ました。
章親君も、こちらに顔を向けて目が合っているような気がします。


いや……、まさか、そんな訳ないか……。

 

「……今日のオムライス、美味しそうですね……。」

 

「そうだろ?とろとろにするの、かなり難しいんだ。」



…………。

※θ☆*〇γΘΦ×ωΣ?!!!

 

えっ!まって!なんで???

なんで章親君と会話してんの?
意志の疎通できちゃってんの?

僕の声なんで聞こえてるの????



僕はガタっと立ち上がると、章親君から距離を取りました。
勢い余ってちゃぶ台返しをするところでした。

頭はいろんな記号が浮かんで大パニックです。

 

「ふえっ!なんで?!!!」

「なんではこっちが聞きてーよ。」

大パニックな僕をよそに、章親君は冷静に会話を進めています。


ていうか、そっちが驚いてください。

なんで幽霊の僕が驚いてるんですか。
幽霊と会話してるって、
結構なホラーだと思うんですけど……。

 
「ていうか、俺ここに引っ越した時から、お前のこと視えてたし。」


「っ……、えっ?」


「俺の実家が神社なんだよ。先祖が陰陽師って言われてんの。そういう体質を引き継いだのか、俺も小さいころから色んなもの視えてたんだよね。」


衝撃の事実です。
最初から僕のこと視えていたなんて……。

 
「ここに来て、すぐにお前のこと視えてさ。もし、悪さをするなら、実家で神主やってる兄貴に頼んで、祓ってもらおうと様子見てたんだけど……。」


どうやら、僕は命が危なかったようです。
ああ、もう死んでますけど。

 
「お前全然悪さしないし。それどころか部屋の掃除してくれるしさ……。今日も朝、起こしてくれただろ?」

「なんか憎めないつーか。お人好しすぎるから、祓うんじゃなくて、そのまま一緒に住めないかなって。」

 
「……でも、僕、幽霊ですよ?」

 
「いいやつに、幽霊とか関係ねえだろ。俺は、ルームメイトが出来たみたいで嬉しい。」


「てなわけで、敬語はなしな。俺は一ノ瀬章親。お前は?」

 そういえば、自分の名前は章親君に言ったことなかったですね。

 
「……僕は、相良咲弥……。」

「咲弥な。咲弥も章親って呼べよ。」

『よろしくな』と言って、章親が僕の右肩をポンと叩きました。


こちらこそ、よろし……?!

 
「なんで?!なんで僕に触れるの?!」

「なんでって、知らん。」


幽霊に触れるなんて、普通の人ではありえません。
もしかしたら、何か悪いものでも憑いているのではないでしょか。

 
「章親!おかしいよ!お祓いに行こう!」

「幽霊のお前がお祓いを促してどうする……。いいじゃん。俺も触りたかったし。」


もう、この数分のやり取りで、僕の頭の中はショートしました。

 
ぽんぽんっと優しく、暖かい手が、僕の髪を撫でていきます。
突然のことで、ビックリして固まってしまいます。

 
「柔らかいなー。こうやって触ってみると、人間と一緒だな。ちょっとひんやりするけど。」

頭を撫でていた手が、スルリと左頬を手の平で撫でていきました。

 
僕は人に触られたのが久々で心地よくて、思わず章親の手にスリスリしてしまいます。
章親の手、暖かいなー。


クスッと章親が笑ってポツリと何か呟きました。


「……。猫みてぇ。かわいい。」


うん?何って言ったの?

章親が小さな声で言うから、何を言っているか聞こえませんでした。

 

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