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第6章 超神話級ガチャ
第77話 包帯のミイラ
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包帯のミイラ。
包帯いじりの大好きな少女。
事の始まりは友達の呟き。
ミイラちゃんてとてつもなく不細工だよね。
ただただその発言。
ミイラちゃんてとてつもなく醜いよね。
ただそれだけの会話だった。
包帯のミイラはそれがショックで立ち直れなくなった。
いつか自分自身の醜い顔を隠すように包帯でぐるぐる巻きにしていた。
両親からは気持ち悪がられて愛情を注がれなかった。
包帯をずっと扱っていると、いつしか操る事が出来るようになった。
包帯が体の皮膚と同化をし始めた。
包帯が体の一部となった。
死後天国にて修行を続けた。
肉体的な成長はないにしても魔力的な成長は見込めた。
ただただ練習した。
15将になっていた時もただただ修行を繰り返した。
沢山の人間をその包帯で殺した。
それでも終わる事のない時間を天国で過ごした。
体に文字を刻んでいった。
文字は魂に刻まれた。
それは魔術語と言う物で、普通は書物に書き記すもの。いわば魔法書のようなものだったが、それを自らの皮膚に刻んだ。
天国では痛みが和らぐので、刻みはとても簡単にスムーズに出来上がることが出来た。
いつしか包帯のミイラは自らにある戒めを与えた。
包帯を解くときこの魔術の文字を活用するのだと。
呪われた力を活用するのだと。
そして包帯のミイラの思考が現実に戻ると。
彼女は巨大な包帯の天井を地面に落下させて、死別ダマスカを踏みつぶすはずであった。
だが死別ダマスカは悠然と散歩をするかのようにこちらにやってくるではないか。
包帯のミイラは冷や汗を掻きつつも、包帯で吸収されていく事を感じた。
魔力を伴った包帯、いや呪われた包帯の力。
嘆きの仮面を身に着けた死別ダマスカは頭上に右手と左手をかざしたではないか。
「こういう使い方もあるのですよ」
死別ダマスカの両手は存在しない、つまり両手より下に天井を振り落とす事は出来ない。
という事は心臓は無事だという事。
「存在しないとはとても便利な力だ」
「そうでもないよ」
「さて、あたしも本気を出そうか」
「そういうのはやられてから発言してくれたまえ」
包帯のミイラは全身の包帯をひも解く。
胸にはさらしを巻き付けて、ズボンは短パンを身に着けて。
黒い艶のある髪の毛をしており、なによりもロングヘアーであり。
そこには全身が魔術文字で刻まれた女性がいたのだから。
====死別ダマスカ側====
俺ことカイルはその光景を絶句で見ていた。
包帯のミイラはどこからどう見ても絶世の美女であった。
整った卵方の顔。
優しそうに整えられたまつげと瞳。
口はぷっくりと艶のある桃色。
鼻はすらりと細身でありながら真っ直ぐに整っている。
そばかすなどひとかけらもない白い肌。
だがそんな白い肌は顔だけであり、その他の部位体のパーツにはまるで落書きのように魔術文字が刻まれている。
うっすらと白い光を発しながら、まるで魂の火を灯すかのように燃え上がっている。
包帯のミイラの体がどくんどくんと脈打つのが何となく分かる。
風圧が死別ダマスカに襲い掛かる。
死別ダマスカは存在していないので無効化する事が出来るのだが。
「いくぞ、これが魔法と格闘技の融合、魔闘士の戦い方だ」
包帯のミイラの後ろが爆発したかと思うと、それは包帯のミイラが空気を蹴り上げた音だった。
逆立ち状態で空中を飛翔しながら、死別ダマスカの背後に辿り着き。
「これで終わりよ、魔破壊」
「だから効かないとぐふぅうう」
包帯のミイラの拳が死別ダマスカの腹を抉る。
もう少しずれていたら心臓を突き破っていただろう。
「な、なんだと」
死別ダマスカは背後に飛ばされて、お尻を地面につきながら立ち上がるも、次は顔面を殴り飛ばされる。彼はごろごろと転がっていく。
「一体どういう原理だ」
「ようは存在しないもんを殴ればいいのさ」
包帯のミイラは笑う。
「あたしを誰だと思ってるんだい? 一度死に天国に行ったんだよ、それってさ存在しないようなもの、あたしの存在そのものは新しい体で戻ってきた事だから、ならあたしは存在していない、なぜかって包帯で隠され続けていたのだから」
「少し意味がわからないのだが」
「あたしの心はあたしを認めていない存在していない、だからだからあなたに通用すると思った」
「つまり、君は存在していない気持ちでそれがしを殴ったと、もはや合理的ではないな」
「それは同感ね」
包帯のミイラは自らに強化バフを施す。
それは魔術語で書かれた文字のおかげでもあった。
俺は鑑定で包帯のミイラの状態を確かめる。
死別ダマスカに勝利方法を伝えないといけないと考えるも。
答えは見つける事が出来ない。
鑑定結果から言うと測定不能。
もはや未知領域に達する。
包帯のミイラは右腕を構えて、左足と右足を地面にしっかりとつけると。
爆走した。
死別ダマスカの体が空高く吹き飛ぶ。
包帯のミイラが空を跳躍すると、連打で殴っては蹴っての繰り返し。
そこにはもはや包帯が存在していなく。
彼女の生き生きとした姿が映し出される。
死別ダマスカは何とか心臓を守り切るも地面に落下する。
「最後のとどめぇええええ」
包帯のミイラが空中で横になっている死別ダマスカの体に乗ると、拳を振り上げて。
精一杯の打撃を繰り出す。
死別ダマスカの体が爆発音とともに吹き飛び、地面に高速で落下する。
茶色い荒野の地面に落下した死別ダマスカ。
地面はぐちゃぐちゃに破壊されて、瓦礫のような岩などに死別ダマスカは埋もれた。
「ふぅ、倒したかしら」
だがそこには死別ダマスカは存在しておらず。
「へぇ、やるねぇ」
俺は死別ダマスカを驚愕の瞳で見ていた。
死別ダマスカは嘆きの仮面を外していたのだから。
「存在していない状態で仮面を外すと少しテンションがあがるのですよ」
「それにしても良い空気ざわりですね、いつも仮面をつけていると汗だくで仕方なありません」
「あぁーそうだ。あなたも包帯でぐるぐる巻きにしてましたよね、蒸れてしょうがなくありませんか?」
「さて、終わりにしましょうか」
死別ダマスカはただただ連打で呟くのであった。
「な!」
包帯のミイラは絶句していた。死別ダマスカの変貌ぶりに。
包帯いじりの大好きな少女。
事の始まりは友達の呟き。
ミイラちゃんてとてつもなく不細工だよね。
ただただその発言。
ミイラちゃんてとてつもなく醜いよね。
ただそれだけの会話だった。
包帯のミイラはそれがショックで立ち直れなくなった。
いつか自分自身の醜い顔を隠すように包帯でぐるぐる巻きにしていた。
両親からは気持ち悪がられて愛情を注がれなかった。
包帯をずっと扱っていると、いつしか操る事が出来るようになった。
包帯が体の皮膚と同化をし始めた。
包帯が体の一部となった。
死後天国にて修行を続けた。
肉体的な成長はないにしても魔力的な成長は見込めた。
ただただ練習した。
15将になっていた時もただただ修行を繰り返した。
沢山の人間をその包帯で殺した。
それでも終わる事のない時間を天国で過ごした。
体に文字を刻んでいった。
文字は魂に刻まれた。
それは魔術語と言う物で、普通は書物に書き記すもの。いわば魔法書のようなものだったが、それを自らの皮膚に刻んだ。
天国では痛みが和らぐので、刻みはとても簡単にスムーズに出来上がることが出来た。
いつしか包帯のミイラは自らにある戒めを与えた。
包帯を解くときこの魔術の文字を活用するのだと。
呪われた力を活用するのだと。
そして包帯のミイラの思考が現実に戻ると。
彼女は巨大な包帯の天井を地面に落下させて、死別ダマスカを踏みつぶすはずであった。
だが死別ダマスカは悠然と散歩をするかのようにこちらにやってくるではないか。
包帯のミイラは冷や汗を掻きつつも、包帯で吸収されていく事を感じた。
魔力を伴った包帯、いや呪われた包帯の力。
嘆きの仮面を身に着けた死別ダマスカは頭上に右手と左手をかざしたではないか。
「こういう使い方もあるのですよ」
死別ダマスカの両手は存在しない、つまり両手より下に天井を振り落とす事は出来ない。
という事は心臓は無事だという事。
「存在しないとはとても便利な力だ」
「そうでもないよ」
「さて、あたしも本気を出そうか」
「そういうのはやられてから発言してくれたまえ」
包帯のミイラは全身の包帯をひも解く。
胸にはさらしを巻き付けて、ズボンは短パンを身に着けて。
黒い艶のある髪の毛をしており、なによりもロングヘアーであり。
そこには全身が魔術文字で刻まれた女性がいたのだから。
====死別ダマスカ側====
俺ことカイルはその光景を絶句で見ていた。
包帯のミイラはどこからどう見ても絶世の美女であった。
整った卵方の顔。
優しそうに整えられたまつげと瞳。
口はぷっくりと艶のある桃色。
鼻はすらりと細身でありながら真っ直ぐに整っている。
そばかすなどひとかけらもない白い肌。
だがそんな白い肌は顔だけであり、その他の部位体のパーツにはまるで落書きのように魔術文字が刻まれている。
うっすらと白い光を発しながら、まるで魂の火を灯すかのように燃え上がっている。
包帯のミイラの体がどくんどくんと脈打つのが何となく分かる。
風圧が死別ダマスカに襲い掛かる。
死別ダマスカは存在していないので無効化する事が出来るのだが。
「いくぞ、これが魔法と格闘技の融合、魔闘士の戦い方だ」
包帯のミイラの後ろが爆発したかと思うと、それは包帯のミイラが空気を蹴り上げた音だった。
逆立ち状態で空中を飛翔しながら、死別ダマスカの背後に辿り着き。
「これで終わりよ、魔破壊」
「だから効かないとぐふぅうう」
包帯のミイラの拳が死別ダマスカの腹を抉る。
もう少しずれていたら心臓を突き破っていただろう。
「な、なんだと」
死別ダマスカは背後に飛ばされて、お尻を地面につきながら立ち上がるも、次は顔面を殴り飛ばされる。彼はごろごろと転がっていく。
「一体どういう原理だ」
「ようは存在しないもんを殴ればいいのさ」
包帯のミイラは笑う。
「あたしを誰だと思ってるんだい? 一度死に天国に行ったんだよ、それってさ存在しないようなもの、あたしの存在そのものは新しい体で戻ってきた事だから、ならあたしは存在していない、なぜかって包帯で隠され続けていたのだから」
「少し意味がわからないのだが」
「あたしの心はあたしを認めていない存在していない、だからだからあなたに通用すると思った」
「つまり、君は存在していない気持ちでそれがしを殴ったと、もはや合理的ではないな」
「それは同感ね」
包帯のミイラは自らに強化バフを施す。
それは魔術語で書かれた文字のおかげでもあった。
俺は鑑定で包帯のミイラの状態を確かめる。
死別ダマスカに勝利方法を伝えないといけないと考えるも。
答えは見つける事が出来ない。
鑑定結果から言うと測定不能。
もはや未知領域に達する。
包帯のミイラは右腕を構えて、左足と右足を地面にしっかりとつけると。
爆走した。
死別ダマスカの体が空高く吹き飛ぶ。
包帯のミイラが空を跳躍すると、連打で殴っては蹴っての繰り返し。
そこにはもはや包帯が存在していなく。
彼女の生き生きとした姿が映し出される。
死別ダマスカは何とか心臓を守り切るも地面に落下する。
「最後のとどめぇええええ」
包帯のミイラが空中で横になっている死別ダマスカの体に乗ると、拳を振り上げて。
精一杯の打撃を繰り出す。
死別ダマスカの体が爆発音とともに吹き飛び、地面に高速で落下する。
茶色い荒野の地面に落下した死別ダマスカ。
地面はぐちゃぐちゃに破壊されて、瓦礫のような岩などに死別ダマスカは埋もれた。
「ふぅ、倒したかしら」
だがそこには死別ダマスカは存在しておらず。
「へぇ、やるねぇ」
俺は死別ダマスカを驚愕の瞳で見ていた。
死別ダマスカは嘆きの仮面を外していたのだから。
「存在していない状態で仮面を外すと少しテンションがあがるのですよ」
「それにしても良い空気ざわりですね、いつも仮面をつけていると汗だくで仕方なありません」
「あぁーそうだ。あなたも包帯でぐるぐる巻きにしてましたよね、蒸れてしょうがなくありませんか?」
「さて、終わりにしましょうか」
死別ダマスカはただただ連打で呟くのであった。
「な!」
包帯のミイラは絶句していた。死別ダマスカの変貌ぶりに。
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