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第6章 超神話級ガチャ
第87話 ファンタジー小説
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音楽家ジージージには目がない。
それでも感じる事が出来る。人の心を通して景色を見る事が出来る。
それがここがエメラルドの森だという事を意味していたのだから。
見た事もないファンタジー小説のような光景が広がっているのだろう。
「音楽家がハイになって指揮棒を振り回すのは前代未聞じゃふぁふぁふぁ」
「悪いですか? それにしても老婆なのにその体の身のこなしは異常そのものですよ」
「体を動かすのも創作力さね、この小説世界を現実化した事により、このフィールドではあたしが神さね」
「だが君はその分、小説という思い出を失っていくのであろう」
「それも目的のためさね、この世界の安寧、神セフィロト様が光臨する為じゃわい」
「それがどのような世界の安寧なのか知らないが、音楽の満ち溢れる面白い世界ならわたくしは大歓迎ですがね」
「そういうもんだ。音楽も小説も溢れるファンタジーな世界。いやこの世界そのものがきっとファンタジー小説そのものなのだよ」
「人が作る物語ですか」
「この大戦争も人が人に伝えていき、きっと小説となる。小説となり流れていく、人々に伝染していく。無限大に繋がっていく。物語は人から人へと感動を与える。だから書くのをやめられないし絶望を与える事が出来る。作者の死じゃ」
「それが世界の終わりだとしても過程が大事だと言いますよ? 音楽はどんなリズムを聞かせるかですが、小説は完結だけが全てではないかもしれませんねぇ」
「いんや、完結がすべてじゃ、終わりがないのものは小説とは呼べぬ、あたしは死んだだから小説家だが小説家ではない」
「だから死なない神セフィロトが小説家だとでも?」
「そうじゃ、完璧なる小説家が神セフィロトじゃ。そして帝王の血を引継ぎ神の血を引き継ぐラッドン様が依り代になられる。地獄のタルタロスは英雄アレキサンダーを求めている。アレキサンダーは沢山の血を奪ってきた」
「それは他の英雄も同じなのでは?」
「アレキサンダーは大群を要する王様じゃ、タルタロスの意思と同じくじゃ、タルタロスは悪魔の軍勢を率いるからなぁ」
「なぜ、それをわたくしに教えるのです?」
「あたしが全ての物語を忘れてしまう前に覚えている物語を聞かせたくなってしもうてね」
「そうですか、その物語しかと受け取りましたよ」
ふぁふぁふぁと小説家マハイが笑うと。
「もう力の制御なんていらない、全てを失ってでもお前を消すのじゃ」
音楽家ジージージは現在ハイになり、体の身のこなしは超人そのものであり。
指揮棒1本による連撃の付き。
それはフェンシングのようでもあった。
炎のように熱く、風のようにしなやかに、次から次へと迫りくる狂気。
音楽家ジージージの生涯をかけて、音楽という音楽家の生命をかけて。
「曲を奏でましょう」
岩が森が山が炎が水がぐねぐねと曲がりくねって、横から上から下から飛び出る。
その世界そのものがファンタジーへと変貌し。空に島が浮き上がり、空から白い滝が流れてくる。
マグマは冷たく、氷のように地面に這いつくばる。
人々はその光景を見て絶望の悲鳴を上げる事はせず、相変わらずお祭り騒ぎ。
片方の指揮棒にてこの国全ての国民を操作して危険から回避させているのが音楽家ジージージだ。
額から玉の汗が流れる。
1つの演奏の失敗は許されない。
緻密に綿密に練られた曲は最高な仕上がりへと辿り。
「知っていますか、演奏者のソロは最高に気持ちがいいのですよ、それも指揮者のね」
「何を言っている、指揮棒を振り回すだけのソロなど、音楽なのか?」
「音を感じるのです。肌で感じるのです響きを、さぁ」
「あたしの記憶が消えていく。物語が消えていく」
「わたくしの想いを受け取ってくれますかマダム」
「ああ最高の曲だ」
2本の指揮棒。
もはや音は静止していた。
ジスタラン王国の住民である国民は音がなくなっているのに相変わらずお祭り騒ぎ。
「なんたる、これが無音の音楽」
無音、音がない音楽。
振動だけで感じる曲。
肌で感じる風圧が音楽のメロディーを奏でる。
怒ったと思ったり笑ったり、泣いたと思ったら怒ったり。
人の感情を揺さぶる無音の最高の音楽。
「これがライブというものです。まぁ、わたくしの世界では音楽会場で演奏するのが基本ですが。地球では外でバンドと言う物がありロックを披露するそうですよ、ロウ君が教えてくれます。心の目で見通せますのでわたくしは」
「は、はははははははっはあああはは」
水の滝が炎の滝へと変貌し。
岩がゴムのように曲がりくねり人形になり。
玩具の兵隊が雪崩のように流れてくる。
川には玉の風船が流れて浮かび上がり島へとなる。
そしてそれは一瞬にして消滅してしまう。
音楽家ジージージは目がないが涙を流していた。
「最高な小説家マハイ、君は素晴らしい作者だ。永遠に生きる作者だ。うぅ」
音楽を奏でる舞台には小説家マハイの衣服だけが転がっていた。
彼女は全ての小説の記憶を失い消滅した。
音楽家ジージージを殺しつくす事が出来なかったが。
音楽家ジージージのイメージ力に創造力の攻撃が繰り出されており。
「ぐぅ、少し、休まないと」
音楽家ジージージは薄れゆく記憶の中で。
「すみません、カイル様、パニックになります」
音楽家ジージージの両手から指揮棒が落ちた。
ファンタジーの世界そのものが消滅したが、人々はお祭り騒ぎだった。
それは音楽家ジージージの曲があったからだ。
しかし今それが無くなった。
無音の曲もなくなった。
人々は辺りを伺い変貌した空を見た。
沢山の浮く船を見た時人々は悲鳴を上げた。
パニックが始まった。
それでも感じる事が出来る。人の心を通して景色を見る事が出来る。
それがここがエメラルドの森だという事を意味していたのだから。
見た事もないファンタジー小説のような光景が広がっているのだろう。
「音楽家がハイになって指揮棒を振り回すのは前代未聞じゃふぁふぁふぁ」
「悪いですか? それにしても老婆なのにその体の身のこなしは異常そのものですよ」
「体を動かすのも創作力さね、この小説世界を現実化した事により、このフィールドではあたしが神さね」
「だが君はその分、小説という思い出を失っていくのであろう」
「それも目的のためさね、この世界の安寧、神セフィロト様が光臨する為じゃわい」
「それがどのような世界の安寧なのか知らないが、音楽の満ち溢れる面白い世界ならわたくしは大歓迎ですがね」
「そういうもんだ。音楽も小説も溢れるファンタジーな世界。いやこの世界そのものがきっとファンタジー小説そのものなのだよ」
「人が作る物語ですか」
「この大戦争も人が人に伝えていき、きっと小説となる。小説となり流れていく、人々に伝染していく。無限大に繋がっていく。物語は人から人へと感動を与える。だから書くのをやめられないし絶望を与える事が出来る。作者の死じゃ」
「それが世界の終わりだとしても過程が大事だと言いますよ? 音楽はどんなリズムを聞かせるかですが、小説は完結だけが全てではないかもしれませんねぇ」
「いんや、完結がすべてじゃ、終わりがないのものは小説とは呼べぬ、あたしは死んだだから小説家だが小説家ではない」
「だから死なない神セフィロトが小説家だとでも?」
「そうじゃ、完璧なる小説家が神セフィロトじゃ。そして帝王の血を引継ぎ神の血を引き継ぐラッドン様が依り代になられる。地獄のタルタロスは英雄アレキサンダーを求めている。アレキサンダーは沢山の血を奪ってきた」
「それは他の英雄も同じなのでは?」
「アレキサンダーは大群を要する王様じゃ、タルタロスの意思と同じくじゃ、タルタロスは悪魔の軍勢を率いるからなぁ」
「なぜ、それをわたくしに教えるのです?」
「あたしが全ての物語を忘れてしまう前に覚えている物語を聞かせたくなってしもうてね」
「そうですか、その物語しかと受け取りましたよ」
ふぁふぁふぁと小説家マハイが笑うと。
「もう力の制御なんていらない、全てを失ってでもお前を消すのじゃ」
音楽家ジージージは現在ハイになり、体の身のこなしは超人そのものであり。
指揮棒1本による連撃の付き。
それはフェンシングのようでもあった。
炎のように熱く、風のようにしなやかに、次から次へと迫りくる狂気。
音楽家ジージージの生涯をかけて、音楽という音楽家の生命をかけて。
「曲を奏でましょう」
岩が森が山が炎が水がぐねぐねと曲がりくねって、横から上から下から飛び出る。
その世界そのものがファンタジーへと変貌し。空に島が浮き上がり、空から白い滝が流れてくる。
マグマは冷たく、氷のように地面に這いつくばる。
人々はその光景を見て絶望の悲鳴を上げる事はせず、相変わらずお祭り騒ぎ。
片方の指揮棒にてこの国全ての国民を操作して危険から回避させているのが音楽家ジージージだ。
額から玉の汗が流れる。
1つの演奏の失敗は許されない。
緻密に綿密に練られた曲は最高な仕上がりへと辿り。
「知っていますか、演奏者のソロは最高に気持ちがいいのですよ、それも指揮者のね」
「何を言っている、指揮棒を振り回すだけのソロなど、音楽なのか?」
「音を感じるのです。肌で感じるのです響きを、さぁ」
「あたしの記憶が消えていく。物語が消えていく」
「わたくしの想いを受け取ってくれますかマダム」
「ああ最高の曲だ」
2本の指揮棒。
もはや音は静止していた。
ジスタラン王国の住民である国民は音がなくなっているのに相変わらずお祭り騒ぎ。
「なんたる、これが無音の音楽」
無音、音がない音楽。
振動だけで感じる曲。
肌で感じる風圧が音楽のメロディーを奏でる。
怒ったと思ったり笑ったり、泣いたと思ったら怒ったり。
人の感情を揺さぶる無音の最高の音楽。
「これがライブというものです。まぁ、わたくしの世界では音楽会場で演奏するのが基本ですが。地球では外でバンドと言う物がありロックを披露するそうですよ、ロウ君が教えてくれます。心の目で見通せますのでわたくしは」
「は、はははははははっはあああはは」
水の滝が炎の滝へと変貌し。
岩がゴムのように曲がりくねり人形になり。
玩具の兵隊が雪崩のように流れてくる。
川には玉の風船が流れて浮かび上がり島へとなる。
そしてそれは一瞬にして消滅してしまう。
音楽家ジージージは目がないが涙を流していた。
「最高な小説家マハイ、君は素晴らしい作者だ。永遠に生きる作者だ。うぅ」
音楽を奏でる舞台には小説家マハイの衣服だけが転がっていた。
彼女は全ての小説の記憶を失い消滅した。
音楽家ジージージを殺しつくす事が出来なかったが。
音楽家ジージージのイメージ力に創造力の攻撃が繰り出されており。
「ぐぅ、少し、休まないと」
音楽家ジージージは薄れゆく記憶の中で。
「すみません、カイル様、パニックになります」
音楽家ジージージの両手から指揮棒が落ちた。
ファンタジーの世界そのものが消滅したが、人々はお祭り騒ぎだった。
それは音楽家ジージージの曲があったからだ。
しかし今それが無くなった。
無音の曲もなくなった。
人々は辺りを伺い変貌した空を見た。
沢山の浮く船を見た時人々は悲鳴を上げた。
パニックが始まった。
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