5 / 8
4.蓮路の過去・1
しおりを挟む
蓮路に告白されたのちも、依里子は毎日放課後に、彼から濃厚な奉仕を受けた。体はますます感じやすくなり、心はともすれば蓮路に依存しそうになる。
恋をしないと誓っていてもなお、行為の際に熱っぽく愛を囁かれると、つい「私もよ」と答えそうになってしまう――。
それと同時に、「自分は蓮路の好意を利用しクリフェラ係を務めてもらっているのではないか」という後ろめたさを感じるようにもなってきた。クリフェラ係など、女の子なら誰でも持つものだから、そんな感情を覚える必要などないというのに。
(駄目ね、こんなことばかり考えて……)
依里子は今日も、中等部3-Aの教室で蓮路を待っていた。
だが、いくら何でも来るのが遅い。今日は高等部の蓮路のクラスも五限までだと言ってはいなかったか。もう、六限が始まりそうな時刻だ。SNSメッセージを送っても返信がない。
依里子は不審に思い、自ら高等部を訪ねることにしたのだった。
高等部1-Cの教室に近づくと、男女の言い争う声が聞こえてきた。蓮路だろうか。
「どうしても、私とヨリを戻す気はないってことね……!」
「ヨリも何も、アンタとは付き合ってねぇだろーが。アンタも承知の上で、俺のクリフェラを受けたんだろう」
一人の女生徒が、蓮路に詰め寄っていた。
「……中等部の女子のクリフェラ係になって、付き合ってるんですって? その子と付き合えるなら……」
「まだ付き合っちゃいねーよ。俺の片思いだ」
女生徒が間をおいて、意味あり気に相槌をうつ。
「ふぅん、そう……」
「なんだよ」
蓮路が声をかけると、女生徒は憎々し気に蓮路を睨みつけて、言い放った。
「あなたみたいな男が、まともな恋愛なんてできるわけないでしょう! あなた、ひとまわり以上年上の教師のクリフェラ係だったんですってね。彼女に捨てられて、流しになった……」
「――どこでそれを」
「知ってる子は知ってるわよ。学園内の出来事ですもの」
「……っ」
蓮路が動揺したとみて、女生徒はさらに言い募る。
「クリフェラ師として不特定多数の女を相手にするようになったあなたは、対価を要求した。女に奉仕するべき、男でありながら」
女生徒はぞっとするような響きを載せて言う。
「あなたの好きだっていう中等部の女子だって、あなたの本性を知ったら逃げ出すんじゃないかしら」
「依里子はそんなヤツじゃねーよ」
「ふん、どうだか」
「……依里子とはヤッてねーからな」
女生徒が息を呑む。
「なんですって!?」
「SEXしてねーんだよ。本気で惚れたんだ、ヤるヤらねーなんて些細な問題に感じるほどにな」
「な……っ」
女生徒は肩を震わせ、すばやく平手を振りかぶった。
蓮路が叩かれてしまう。教室の入り口で依里子は思わず声を張り上げた。
「蓮路さん!」
「!?」
女生徒の張り手はまず蓮路に避けられないようなものではなかった。だが、依里子に声をかけられたことにより行動が遅れ、女生徒のてのひらは見事に蓮路の頬を打ったのだった。
「……つ」
「ふん。……どうやらあなたの想い人が来たようね。せいぜい、恋愛ごっこを楽しむといいわ」
そう言い棄てて、彼女は依里子の隣をすり抜け教室を出て行った。
「蓮路さん! 大丈夫!?」
頬を撫でる蓮路に走り寄り、依里子は声をかけた。
「女の力だ。こんなもん大したことねーよ」
「でも……」
「気にするこたねぇ。それより……話、聞いてたんだよな」
依里子はこくりと頷いた。
「……時間あるなら、どっかで話せねぇか。ルームはゆっくりできねぇだろう」
放課後に利用しているレンタルクリフェラルームはストゥプラ生の多い繁華街にあり、放課後から夜にかけては非常に混雑する。よって、滞在時間の延長がきかないのだ。
「しょーがねーな。ウチに来るか?」
「蓮路さんの家?」
「そうだ。狭くて汚ねーけどな」
蓮路はたしか由緒ある和菓子屋の長男ではなかったか。それが狭くて汚い、とはどういうことだろう。
依里子は疑問に思ったが、そのまま彼に付いて下校したのだった。
恋をしないと誓っていてもなお、行為の際に熱っぽく愛を囁かれると、つい「私もよ」と答えそうになってしまう――。
それと同時に、「自分は蓮路の好意を利用しクリフェラ係を務めてもらっているのではないか」という後ろめたさを感じるようにもなってきた。クリフェラ係など、女の子なら誰でも持つものだから、そんな感情を覚える必要などないというのに。
(駄目ね、こんなことばかり考えて……)
依里子は今日も、中等部3-Aの教室で蓮路を待っていた。
だが、いくら何でも来るのが遅い。今日は高等部の蓮路のクラスも五限までだと言ってはいなかったか。もう、六限が始まりそうな時刻だ。SNSメッセージを送っても返信がない。
依里子は不審に思い、自ら高等部を訪ねることにしたのだった。
高等部1-Cの教室に近づくと、男女の言い争う声が聞こえてきた。蓮路だろうか。
「どうしても、私とヨリを戻す気はないってことね……!」
「ヨリも何も、アンタとは付き合ってねぇだろーが。アンタも承知の上で、俺のクリフェラを受けたんだろう」
一人の女生徒が、蓮路に詰め寄っていた。
「……中等部の女子のクリフェラ係になって、付き合ってるんですって? その子と付き合えるなら……」
「まだ付き合っちゃいねーよ。俺の片思いだ」
女生徒が間をおいて、意味あり気に相槌をうつ。
「ふぅん、そう……」
「なんだよ」
蓮路が声をかけると、女生徒は憎々し気に蓮路を睨みつけて、言い放った。
「あなたみたいな男が、まともな恋愛なんてできるわけないでしょう! あなた、ひとまわり以上年上の教師のクリフェラ係だったんですってね。彼女に捨てられて、流しになった……」
「――どこでそれを」
「知ってる子は知ってるわよ。学園内の出来事ですもの」
「……っ」
蓮路が動揺したとみて、女生徒はさらに言い募る。
「クリフェラ師として不特定多数の女を相手にするようになったあなたは、対価を要求した。女に奉仕するべき、男でありながら」
女生徒はぞっとするような響きを載せて言う。
「あなたの好きだっていう中等部の女子だって、あなたの本性を知ったら逃げ出すんじゃないかしら」
「依里子はそんなヤツじゃねーよ」
「ふん、どうだか」
「……依里子とはヤッてねーからな」
女生徒が息を呑む。
「なんですって!?」
「SEXしてねーんだよ。本気で惚れたんだ、ヤるヤらねーなんて些細な問題に感じるほどにな」
「な……っ」
女生徒は肩を震わせ、すばやく平手を振りかぶった。
蓮路が叩かれてしまう。教室の入り口で依里子は思わず声を張り上げた。
「蓮路さん!」
「!?」
女生徒の張り手はまず蓮路に避けられないようなものではなかった。だが、依里子に声をかけられたことにより行動が遅れ、女生徒のてのひらは見事に蓮路の頬を打ったのだった。
「……つ」
「ふん。……どうやらあなたの想い人が来たようね。せいぜい、恋愛ごっこを楽しむといいわ」
そう言い棄てて、彼女は依里子の隣をすり抜け教室を出て行った。
「蓮路さん! 大丈夫!?」
頬を撫でる蓮路に走り寄り、依里子は声をかけた。
「女の力だ。こんなもん大したことねーよ」
「でも……」
「気にするこたねぇ。それより……話、聞いてたんだよな」
依里子はこくりと頷いた。
「……時間あるなら、どっかで話せねぇか。ルームはゆっくりできねぇだろう」
放課後に利用しているレンタルクリフェラルームはストゥプラ生の多い繁華街にあり、放課後から夜にかけては非常に混雑する。よって、滞在時間の延長がきかないのだ。
「しょーがねーな。ウチに来るか?」
「蓮路さんの家?」
「そうだ。狭くて汚ねーけどな」
蓮路はたしか由緒ある和菓子屋の長男ではなかったか。それが狭くて汚い、とはどういうことだろう。
依里子は疑問に思ったが、そのまま彼に付いて下校したのだった。
4
あなたにおすすめの小説
【R18】純粋無垢なプリンセスは、婚礼した冷徹と噂される美麗国王に三日三晩の初夜で蕩かされるほど溺愛される
奏音 美都
恋愛
数々の困難を乗り越えて、ようやく誓約の儀を交わしたグレートブルタン国のプリンセスであるルチアとシュタート王国、国王のクロード。
けれど、それぞれの執務に追われ、誓約の儀から二ヶ月経っても夫婦の時間を過ごせずにいた。
そんなある日、ルチアの元にクロードから別邸への招待状が届けられる。そこで三日三晩の甘い蕩かされるような初夜を過ごしながら、クロードの過去を知ることになる。
2人の出会いを描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスを野盗から助け出したのは、冷徹と噂される美麗国王でした」https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/443443630
2人の誓約の儀を描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスは、冷徹と噂される美麗国王と誓約の儀を結ぶ」
https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/183445041
極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。
俺様上司に今宵も激しく求められる。
美凪ましろ
恋愛
鉄面皮。無表情。一ミリも笑わない男。
蒔田一臣、あたしのひとつうえの上司。
ことあるごとに厳しくあたしを指導する、目の上のたんこぶみたいな男――だったはずが。
「おまえの顔、えっろい」
神様仏様どうしてあたしはこの男に今宵も激しく愛しこまれているのでしょう。
――2000年代初頭、IT系企業で懸命に働く新卒女子×厳しめの俺様男子との恋物語。
極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です
朝陽七彩
恋愛
私は。
「夕鶴、こっちにおいで」
現役の高校生だけど。
「ずっと夕鶴とこうしていたい」
担任の先生と。
「夕鶴を誰にも渡したくない」
付き合っています。
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
神城夕鶴(かみしろ ゆづる)
軽音楽部の絶対的エース
飛鷹隼理(ひだか しゅんり)
アイドル的存在の超イケメン先生
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
彼の名前は飛鷹隼理くん。
隼理くんは。
「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」
そう言って……。
「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」
そして隼理くんは……。
……‼
しゅっ……隼理くん……っ。
そんなことをされたら……。
隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。
……だけど……。
え……。
誰……?
誰なの……?
その人はいったい誰なの、隼理くん。
ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。
その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。
でも。
でも訊けない。
隼理くんに直接訊くことなんて。
私にはできない。
私は。
私は、これから先、一体どうすればいいの……?
【完結】退職を伝えたら、無愛想な上司に囲われました〜逃げられると思ったのが間違いでした〜
来栖れいな
恋愛
逃げたかったのは、
疲れきった日々と、叶うはずのない憧れ――のはずだった。
無愛想で冷静な上司・東條崇雅。
その背中に、ただ静かに憧れを抱きながら、
仕事の重圧と、自分の想いの行き場に限界を感じて、私は退職を申し出た。
けれど――
そこから、彼の態度は変わり始めた。
苦手な仕事から外され、
負担を減らされ、
静かに、けれど確実に囲い込まれていく私。
「辞めるのは認めない」
そんな言葉すらないのに、
無言の圧力と、不器用な優しさが、私を縛りつけていく。
これは愛?
それともただの執着?
じれじれと、甘く、不器用に。
二人の距離は、静かに、でも確かに近づいていく――。
無愛想な上司に、心ごと囲い込まれる、じれじれ溺愛・執着オフィスラブ。
※この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。
愛されないと吹っ切れたら騎士の旦那様が豹変しました
蜂蜜あやね
恋愛
隣国オデッセアから嫁いできたマリーは次期公爵レオンの妻となる。初夜は真っ暗闇の中で。
そしてその初夜以降レオンはマリーを1年半もの長い間抱くこともしなかった。
どんなに求めても無視され続ける日々についにマリーの糸はプツリと切れる。
離縁するならレオンの方から、私の方からは離縁は絶対にしない。負けたくない!
夫を諦めて吹っ切れた妻と妻のもう一つの姿に惹かれていく夫の遠回り恋愛(結婚)ストーリー
※本作には、性的行為やそれに準ずる描写、ならびに一部に性加害的・非合意的と受け取れる表現が含まれます。苦手な方はご注意ください。
※ムーンライトノベルズでも投稿している同一作品です。
【完結】異世界に転移しましたら、四人の夫に溺愛されることになりました(笑)
かのん
恋愛
気が付けば、喧騒など全く聞こえない、鳥のさえずりが穏やかに聞こえる森にいました。
わぁ、こんな静かなところ初めて~なんて、のんびりしていたら、目の前に麗しの美形達が現れて・・・
これは、女性が少ない世界に転移した二十九歳独身女性が、あれよあれよという間に精霊の愛し子として囲われ、いつのまにか四人の男性と結婚し、あれよあれよという間に溺愛される物語。
あっさりめのお話です。それでもよろしければどうぞ!
本日だけ、二話更新。毎日朝10時に更新します。
完結しておりますので、安心してお読みください。
若社長な旦那様は欲望に正直~新妻が可愛すぎて仕事が手につかない~
雪宮凛
恋愛
「来週からしばらく、在宅ワークをすることになった」
夕食時、突如告げられた夫の言葉に驚く静香。だけど、大好きな旦那様のために、少しでも良い仕事環境を整えようと奮闘する。
そんな健気な妻の姿を目の当たりにした夫の至は、仕事中にも関わらずムラムラしてしまい――。
全3話 ※タグにご注意ください/ムーンライトノベルズより転載
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる