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第六話・私が思っていたライバルとちがう
新学期だからライバルが来た
夏休みが終わってすぐの9月。委員会の仕事を終えて廊下を歩いていると、遠目に誠慈君の姿を見つけた。声をかけようかなと思ったけど、けっこう距離がある。最終的には同じ教室に向かうのだし、無理に追いつかなくていいかと、そのまま歩いた。
そんな私の横を女の子がパタパタと駆け抜ける。次の瞬間、彼女は
「せーんぱいっ。お久しぶりですっ」
「わっ!? ちょっ、卯坂。もう高校生なんだから、気軽に異性に抱きつくなよ」
誠慈君に背後から抱き着く女子を見て私は瞠目した。高感度ナンバー1男子の誠慈君だが、この学校の女子の多くはあまりの徳の高さから、自分の恋愛成就よりも好きな人の幸せを願っている。そのせいかさっきのように、大胆なアピールをする子は私の知る限り居なかった。
もしかして新学期だから? 私たちの関係に波風を立てるべくライバルが現れた?
少女漫画にありがちな誠慈君のファンたちからの呼び出し&別れろコールは起こらなかった。それどころか逆に応援されて「えっ?」と困惑したほどだが、今度こそ少女漫画の王道展開が来てしまったのか?
やっぱり誠慈君ほどのイケメンと付き合いながら、ずっと安泰というわけにはいかないか。私に対処できるかと、ハラハラしながら様子を窺う。
卯坂という後輩らしい女の子は、誠慈君の反応にアハハッと高い声で笑うと
「気軽に異性に抱きつくなって。相変わらず先輩は、見た目はカッコいいのに中身は童貞ですね。その調子じゃ彼女さんと、一線は越えられなかったんじゃないですか?」
言葉だけじゃなく指先でも、誠慈君をツンツンと突いた。私がやると「ちょっ、萌乃」とアワアワして大変可愛らしい誠慈君だが
「……2人のことを他人に話す気は無いので、聞かないでください」
意外なほどの塩対応だ。情報伝達力が高いと評判の顔面には「ウザい」と書かれていて私のほうが遠目に震えた。誰にでも優しくて礼儀正しい誠慈君だが、突然の童貞いじりや恋人との仲を突かれるのは、流石に不愉快だったのかもしれない。
しかし卯坂さんは、誠慈君の反応が悪いからこそ盛り上げなければと思ったのか、ますますハイテンションで
「そんなツレないことを言わないで。ノロケも恋の醍醐味の1つじゃないですか。夏だし海とかプールとか、お祭りくらいは行ったんでしょ、先輩?」
「彼女は暑いのが苦手だから、どこにも出かけてないよ」
事実なんだけど第三者の立場から聞くと、私すごく最低な彼女だな。卯坂さんも当然驚いて
「えっ? じゃあ、先輩。まさかの夏休みぼっちですか? 彼女持ちなのに?」
しかし私たちが不仲だと思ったのか、面白そうに顔を輝かせると
「わー、可哀想。夏休みなのにデートの1つもしてくれないとか。先輩、本当に愛されています?」
遠目に誠慈君がイラッとしたのが見えた。彼の怒気に慣れていない私は「誠慈君も怒るんだ……」と少し怯えた。しかし卯坂さんは誠慈君の苛立ちに気づかないようで、なぜかスマホを取り出すと
「仕方ないから、私が先輩に夏の思い出をあげましょう。ほら、私の水着や浴衣でも見て元気を出してください」
私と違ってアイドル並みのルックスを持つ卯坂さんは、水着姿や浴衣姿を見せつけることで誠慈君にアピールしたいようだが
そんな私の横を女の子がパタパタと駆け抜ける。次の瞬間、彼女は
「せーんぱいっ。お久しぶりですっ」
「わっ!? ちょっ、卯坂。もう高校生なんだから、気軽に異性に抱きつくなよ」
誠慈君に背後から抱き着く女子を見て私は瞠目した。高感度ナンバー1男子の誠慈君だが、この学校の女子の多くはあまりの徳の高さから、自分の恋愛成就よりも好きな人の幸せを願っている。そのせいかさっきのように、大胆なアピールをする子は私の知る限り居なかった。
もしかして新学期だから? 私たちの関係に波風を立てるべくライバルが現れた?
少女漫画にありがちな誠慈君のファンたちからの呼び出し&別れろコールは起こらなかった。それどころか逆に応援されて「えっ?」と困惑したほどだが、今度こそ少女漫画の王道展開が来てしまったのか?
やっぱり誠慈君ほどのイケメンと付き合いながら、ずっと安泰というわけにはいかないか。私に対処できるかと、ハラハラしながら様子を窺う。
卯坂という後輩らしい女の子は、誠慈君の反応にアハハッと高い声で笑うと
「気軽に異性に抱きつくなって。相変わらず先輩は、見た目はカッコいいのに中身は童貞ですね。その調子じゃ彼女さんと、一線は越えられなかったんじゃないですか?」
言葉だけじゃなく指先でも、誠慈君をツンツンと突いた。私がやると「ちょっ、萌乃」とアワアワして大変可愛らしい誠慈君だが
「……2人のことを他人に話す気は無いので、聞かないでください」
意外なほどの塩対応だ。情報伝達力が高いと評判の顔面には「ウザい」と書かれていて私のほうが遠目に震えた。誰にでも優しくて礼儀正しい誠慈君だが、突然の童貞いじりや恋人との仲を突かれるのは、流石に不愉快だったのかもしれない。
しかし卯坂さんは、誠慈君の反応が悪いからこそ盛り上げなければと思ったのか、ますますハイテンションで
「そんなツレないことを言わないで。ノロケも恋の醍醐味の1つじゃないですか。夏だし海とかプールとか、お祭りくらいは行ったんでしょ、先輩?」
「彼女は暑いのが苦手だから、どこにも出かけてないよ」
事実なんだけど第三者の立場から聞くと、私すごく最低な彼女だな。卯坂さんも当然驚いて
「えっ? じゃあ、先輩。まさかの夏休みぼっちですか? 彼女持ちなのに?」
しかし私たちが不仲だと思ったのか、面白そうに顔を輝かせると
「わー、可哀想。夏休みなのにデートの1つもしてくれないとか。先輩、本当に愛されています?」
遠目に誠慈君がイラッとしたのが見えた。彼の怒気に慣れていない私は「誠慈君も怒るんだ……」と少し怯えた。しかし卯坂さんは誠慈君の苛立ちに気づかないようで、なぜかスマホを取り出すと
「仕方ないから、私が先輩に夏の思い出をあげましょう。ほら、私の水着や浴衣でも見て元気を出してください」
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