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第一章 呪われた王子
我、深き淵より
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それから三年。
俺は軍上層部の反対を押し切り、自ら最前線に立った。居場所を隠したところで狙われるのだ。だったら、最初からヤバいところにいた方が、防禦も分厚いし、周囲の者も覚悟がある。だから俺は、その後の三年間を西部戦線の、長く伸びた真っ暗な塹壕で過ごした。
塹壕は深く地を抉り、曲がりくねり、ところどころ、泥水が溜まって嫌な臭いを発した。
塹壕の上の大地には有刺鉄線が張り巡らされ、迂闊に地上に出れば地雷を踏み、もしくは敵の機関銃の掃射の標的になる。――ただ穴熊のように塹壕の中を行きかい、頭上の空を眺める。
冬の凍てつく夜、満天の星空の下で見張りをこなしたこともある。遠くで爆発音がして、機関銃の音がした。誰かが、有刺鉄線を越えようとしたのか。
雨が降れば塹壕は水が流れ込んで、膝まで泥水につかる。戦争の終わりは見えず、頭上の爆撃機から降る爆弾を塹壕の中に潜んで耐える。
地雷を踏んで片脚が吹っ飛んだ兵士を抱え、機関銃の掃射を避けながら走ったり、ぬかるみの中を戦車を押して山を越え、敵の砦を急襲した。
血と泥と、火薬の匂い。ガスマスクは常に携帯し、万一に備える。毒ガスで目をやられ、全身の皮膚が爛れた兵士のうめき声。地雷で吹っ飛ばされた兵士の手が、目の前に降ってきたことも。
戦場は、地獄だ。
貴族も平民も、陽気な村人も、善良な若者も、戦車のキャタピラは無差別に踏み潰していく。
俺が本当の泥人形ならば。
塹壕堀で積みあがった泥を弾丸のつぶてに変え、敵を殲滅してやったのに。
力のない俺がせめてできることは、この地獄から生還し、二度とこんなバカげた兵器で人殺しをしないようにすること。自ら兵士たちに交じり、彼らとともに戦場に立ち、時には酒保で安酒を酌み交わし、演説をぶっては鼓舞した。
この地獄の深い淵から彼らと共に這い上がり、死んだ兵士たちの魂を背負って、バカげた人殺しを始めたやつらを残らず焼き払ってやろうと。
国の中枢でのうのうと生きるジジイどもに、鉄槌をくれてやる。そのためには、まずは生き残り、目の前の敵を倒すのだ!
イカれた王妃の「呪い」を乗り越え、地獄の淵から生き返ってやる。
マックスの恩に報い、ローズの恨みを晴らす。
王妃の「呪い」に巻き込まれて死んだ、罪なき者の無念を思い知れ――。
塹壕の奥底から頭上の星空を見上げ、俺は光を思う。
硬い簡易ベッドの上で見る、エルシーの夢だけが、戦場のわずかな幸せ。
マックスの血の染みのついた写真に、毎晩キスをして。
何があっても、エルシーのもとに帰る。死んだマックスの代りに、俺が彼女とリンドホルムを護る――。
気づけば、俺は「ランデルの狂犬」と恐れられるようになっていた。
俺が出征して四年、大戦が勃発して五年後、ようやく、休戦協定が結ばれ、戦争は終わった。
国では俺の凱旋パレードをするだのくだらないことを言っていたが、バカバカしいので全部拒否した。
この戦争で、何人の戦死者が出たと思ってる! パレードに使う金があるなら、戦死者の遺族年金を増額しろ!
そんなことより俺は、帰国したらすぐにも、リンドホルムに行かなければならない。マックスは俺の盾になって死んだ。それをエルシーやビリー、何より、おばあ様に詫びなければならない。
俺は常に軍服の内ポケットに入れている、マックスの血染めの勅書と、エルシーとビリーの写真を取り出す。
リジー・オーランドなんて人間はこの世にいない。もう二度と会うことはない、とおばあ様は言った。
でもリジーではなくアルバート王子として、俺はおばあ様に会わなければならない。
そしてマックスの最期を告げて誠心誠意詫び、血染めの詔勅を見せてエルシーに結婚を申し込んで――。
おばあ様は頑固だから、最初は俺の謝罪を拒絶するかもしれない。いきなり王子に訪問されても、エルシーや、ビリーもきっと戸惑うだろう。
リンドホルムで、アルバート王子であることを隠し、リジー・オーランドと名乗っていたこと、幼かった彼らを騙していたことも、詫びないと――。
思い出と、不安と、胸の痛み。
何よりも、再会への期待。
血塗れの白黒写真でさえ、もう三年以上昔のもの。エルシーもビリーも今頃はもっと大人びているだろう。
どんな風に育っているか。俺はなんて言葉をかけたらいいのか。
第三王子のアルバートが、いきなりリンドホルムを訪問すれば、余計な混乱を引き起こす。
俺は王都に帰還する前に、マックスの上司だったマールバラ公爵に手紙を書いた。が、マールバラ公爵は講和会議の全権大使として、アルティニア帝国のビルツホルンに向かうことが決まっていた。マールバラ公爵からの返信には、王都の陸軍司令であるマクガーニ中将を頼るようにとあった。マクガーニは士官学校時代からの、マックスの友人だという。それで、俺はマクガーニ中将に手紙を書いた。
マクガーニからの返信を受け取ったのは、王都に戻る直前。その内容に、俺は愕然とした。
マックスの死後間もなく、伯爵位を継いだウィリアム・アシュバートン――つまりビリーだ――も病死して、爵位は親類に移り、マックスの母親と娘は王都に出てきているというのだ。
まず、意味がわからない。マックスは戦死だ。我が国は女子の爵位継承は認められていないが、戦死の場合は直系の娘への代襲相続が認められるはずだ。それにマックスは、出征前に、「いかなることがあっても、直系に継承を許す」という、国王への請願を出して、それも認められている。その詔勅は今、俺の手元にあるが、父上のもとにも副本があるはずだ。俺はマックスに救われた状況もすべて、父上に手紙で知らせている。
――にもかかわらず、エルシーではなく、親類が爵位を継承している?
おばあ様が継承を辞退したのだろうか?
あの人は昔気質だし、ローズのことで王家を恨んでいる。今、俺を庇ってマックスが死んで、さらに恨みを募らせ、継承を拒否したのだろうか?
あり得ない話ではないと思いながら、俺は手紙の続きを読む。
ビリーは死に、エルシーとおばあ様はストラスシャーを出て、王都にいる。俺の心臓がバクバクと脈打ち始める。
『マックスの母親は心臓を悪くしていて、遺族年金だけでは医療費を捻出できないようで、某より援助を申し出たが、ウルスラ夫人は固く遠慮して受け取らない。それで、せめてもと思い、マックスの息女を陸軍の司令部で臨時の事務員として雇い、某の下で働いてもらっています』
俺はたっぷり一分以上、マクガーニの手紙に目を落としたまま硬直していた。
……エルシーが、陸軍司令部で事務員をしている、だと?
俺は男尊女卑論者でもないつもりだったが、エルシーが働いている(それも生活のために)という事実が信じられなかった。戦争で労働力が不足し、女性もさまざまな現場で働いているのも聞いていた。電話の交換手やタイピストなどは、ほとんどが女性労働で賄われ、実際、軍にも女性の交換手はいた。小学校の教師や、工場労働者にも女性が登用されているのも、新聞やニュース映画などで見た。
しかし戦争の影響で働く女性が増えたとしても、それは中流以下の階級の女性たちであって、上流の、それも伯爵令嬢であるエルシーが働くなんてこと、あるはずがないと思っていた。
エルシーが城を出て、王都で働いている。
衝撃で頭が働かない。そんな馬鹿な。いったい、いつから――?
ドクドクドクドクと、心臓の音が聞こえてくるようだ。
エルシーが司令部で働かないと立ちいかないほど、アシュバートン家の経済状況がよくない。
もし、マクガーニが手を差し伸べていなかったら、もっと悲惨なことになっていたのではないのか?
生活のために意に添わぬ結婚を強いられたり、あるいは娼婦に身を落とすようなことも――。
俺は最悪な想像に、身もだえる。
俺は地獄の淵から生還したのに、エルシーが没落の淵に立たされていたなんて――。
俺は軍上層部の反対を押し切り、自ら最前線に立った。居場所を隠したところで狙われるのだ。だったら、最初からヤバいところにいた方が、防禦も分厚いし、周囲の者も覚悟がある。だから俺は、その後の三年間を西部戦線の、長く伸びた真っ暗な塹壕で過ごした。
塹壕は深く地を抉り、曲がりくねり、ところどころ、泥水が溜まって嫌な臭いを発した。
塹壕の上の大地には有刺鉄線が張り巡らされ、迂闊に地上に出れば地雷を踏み、もしくは敵の機関銃の掃射の標的になる。――ただ穴熊のように塹壕の中を行きかい、頭上の空を眺める。
冬の凍てつく夜、満天の星空の下で見張りをこなしたこともある。遠くで爆発音がして、機関銃の音がした。誰かが、有刺鉄線を越えようとしたのか。
雨が降れば塹壕は水が流れ込んで、膝まで泥水につかる。戦争の終わりは見えず、頭上の爆撃機から降る爆弾を塹壕の中に潜んで耐える。
地雷を踏んで片脚が吹っ飛んだ兵士を抱え、機関銃の掃射を避けながら走ったり、ぬかるみの中を戦車を押して山を越え、敵の砦を急襲した。
血と泥と、火薬の匂い。ガスマスクは常に携帯し、万一に備える。毒ガスで目をやられ、全身の皮膚が爛れた兵士のうめき声。地雷で吹っ飛ばされた兵士の手が、目の前に降ってきたことも。
戦場は、地獄だ。
貴族も平民も、陽気な村人も、善良な若者も、戦車のキャタピラは無差別に踏み潰していく。
俺が本当の泥人形ならば。
塹壕堀で積みあがった泥を弾丸のつぶてに変え、敵を殲滅してやったのに。
力のない俺がせめてできることは、この地獄から生還し、二度とこんなバカげた兵器で人殺しをしないようにすること。自ら兵士たちに交じり、彼らとともに戦場に立ち、時には酒保で安酒を酌み交わし、演説をぶっては鼓舞した。
この地獄の深い淵から彼らと共に這い上がり、死んだ兵士たちの魂を背負って、バカげた人殺しを始めたやつらを残らず焼き払ってやろうと。
国の中枢でのうのうと生きるジジイどもに、鉄槌をくれてやる。そのためには、まずは生き残り、目の前の敵を倒すのだ!
イカれた王妃の「呪い」を乗り越え、地獄の淵から生き返ってやる。
マックスの恩に報い、ローズの恨みを晴らす。
王妃の「呪い」に巻き込まれて死んだ、罪なき者の無念を思い知れ――。
塹壕の奥底から頭上の星空を見上げ、俺は光を思う。
硬い簡易ベッドの上で見る、エルシーの夢だけが、戦場のわずかな幸せ。
マックスの血の染みのついた写真に、毎晩キスをして。
何があっても、エルシーのもとに帰る。死んだマックスの代りに、俺が彼女とリンドホルムを護る――。
気づけば、俺は「ランデルの狂犬」と恐れられるようになっていた。
俺が出征して四年、大戦が勃発して五年後、ようやく、休戦協定が結ばれ、戦争は終わった。
国では俺の凱旋パレードをするだのくだらないことを言っていたが、バカバカしいので全部拒否した。
この戦争で、何人の戦死者が出たと思ってる! パレードに使う金があるなら、戦死者の遺族年金を増額しろ!
そんなことより俺は、帰国したらすぐにも、リンドホルムに行かなければならない。マックスは俺の盾になって死んだ。それをエルシーやビリー、何より、おばあ様に詫びなければならない。
俺は常に軍服の内ポケットに入れている、マックスの血染めの勅書と、エルシーとビリーの写真を取り出す。
リジー・オーランドなんて人間はこの世にいない。もう二度と会うことはない、とおばあ様は言った。
でもリジーではなくアルバート王子として、俺はおばあ様に会わなければならない。
そしてマックスの最期を告げて誠心誠意詫び、血染めの詔勅を見せてエルシーに結婚を申し込んで――。
おばあ様は頑固だから、最初は俺の謝罪を拒絶するかもしれない。いきなり王子に訪問されても、エルシーや、ビリーもきっと戸惑うだろう。
リンドホルムで、アルバート王子であることを隠し、リジー・オーランドと名乗っていたこと、幼かった彼らを騙していたことも、詫びないと――。
思い出と、不安と、胸の痛み。
何よりも、再会への期待。
血塗れの白黒写真でさえ、もう三年以上昔のもの。エルシーもビリーも今頃はもっと大人びているだろう。
どんな風に育っているか。俺はなんて言葉をかけたらいいのか。
第三王子のアルバートが、いきなりリンドホルムを訪問すれば、余計な混乱を引き起こす。
俺は王都に帰還する前に、マックスの上司だったマールバラ公爵に手紙を書いた。が、マールバラ公爵は講和会議の全権大使として、アルティニア帝国のビルツホルンに向かうことが決まっていた。マールバラ公爵からの返信には、王都の陸軍司令であるマクガーニ中将を頼るようにとあった。マクガーニは士官学校時代からの、マックスの友人だという。それで、俺はマクガーニ中将に手紙を書いた。
マクガーニからの返信を受け取ったのは、王都に戻る直前。その内容に、俺は愕然とした。
マックスの死後間もなく、伯爵位を継いだウィリアム・アシュバートン――つまりビリーだ――も病死して、爵位は親類に移り、マックスの母親と娘は王都に出てきているというのだ。
まず、意味がわからない。マックスは戦死だ。我が国は女子の爵位継承は認められていないが、戦死の場合は直系の娘への代襲相続が認められるはずだ。それにマックスは、出征前に、「いかなることがあっても、直系に継承を許す」という、国王への請願を出して、それも認められている。その詔勅は今、俺の手元にあるが、父上のもとにも副本があるはずだ。俺はマックスに救われた状況もすべて、父上に手紙で知らせている。
――にもかかわらず、エルシーではなく、親類が爵位を継承している?
おばあ様が継承を辞退したのだろうか?
あの人は昔気質だし、ローズのことで王家を恨んでいる。今、俺を庇ってマックスが死んで、さらに恨みを募らせ、継承を拒否したのだろうか?
あり得ない話ではないと思いながら、俺は手紙の続きを読む。
ビリーは死に、エルシーとおばあ様はストラスシャーを出て、王都にいる。俺の心臓がバクバクと脈打ち始める。
『マックスの母親は心臓を悪くしていて、遺族年金だけでは医療費を捻出できないようで、某より援助を申し出たが、ウルスラ夫人は固く遠慮して受け取らない。それで、せめてもと思い、マックスの息女を陸軍の司令部で臨時の事務員として雇い、某の下で働いてもらっています』
俺はたっぷり一分以上、マクガーニの手紙に目を落としたまま硬直していた。
……エルシーが、陸軍司令部で事務員をしている、だと?
俺は男尊女卑論者でもないつもりだったが、エルシーが働いている(それも生活のために)という事実が信じられなかった。戦争で労働力が不足し、女性もさまざまな現場で働いているのも聞いていた。電話の交換手やタイピストなどは、ほとんどが女性労働で賄われ、実際、軍にも女性の交換手はいた。小学校の教師や、工場労働者にも女性が登用されているのも、新聞やニュース映画などで見た。
しかし戦争の影響で働く女性が増えたとしても、それは中流以下の階級の女性たちであって、上流の、それも伯爵令嬢であるエルシーが働くなんてこと、あるはずがないと思っていた。
エルシーが城を出て、王都で働いている。
衝撃で頭が働かない。そんな馬鹿な。いったい、いつから――?
ドクドクドクドクと、心臓の音が聞こえてくるようだ。
エルシーが司令部で働かないと立ちいかないほど、アシュバートン家の経済状況がよくない。
もし、マクガーニが手を差し伸べていなかったら、もっと悲惨なことになっていたのではないのか?
生活のために意に添わぬ結婚を強いられたり、あるいは娼婦に身を落とすようなことも――。
俺は最悪な想像に、身もだえる。
俺は地獄の淵から生還したのに、エルシーが没落の淵に立たされていたなんて――。
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