【R18】ゴーレムの王子は光の妖精の夢を見る

第四章 嘘つき王子

忘れられた名前＊

　俺はエルシーの唇を蹂躙しながら、猛った陰茎をエルシーの花弁に擦り付ける。さんざん掻き回され、ぐずぐずに滴った愛液がさらに溢れて、淫らな水音をたてる。

「んんっ……んふっ……くるしっ……」

　エルシーがキスから逃れようと身を捩り、解放されて空気を求めるように息を吸う。俺はエルシーの白い首筋に唇を這わせ、舌で舐め上げながら鎖骨に至り、浮き出たその際を強く吸った。

「だめ……そこは、ドレスだと痕が……」
「……わかってる……」

　俺はギリギリで唇を離し、鎖骨の下の胸のあたりを舌で舐める。両手で柔らかな胸をわしづかみにして揉み込みながら、誘うように腰を揺らし、エルシーの敏感な場所に愛液をまぶすように動いた。

「はっ……んっ……でん、……か、もう……」
「欲しいのか……もう、よだれでぐずぐずだ……」

　俺は片方の手でエルシーの膝の裏を掴み、脚を持ち上げて秘所を露わにする。さっき俺自身の手でつるつるに剃られて、幼女のように無毛なのに、すっかり熟れて蜜を零し、俺の陰茎をこすりつけられて、ぐちゃぐちゃと音をたてるその場所を、エルシーに見えるようにしてやる。

「やめっ……はずかしい……、おねがいっ……」

　エルシーが羞恥できつく目を閉じ、ふるふると顔を振った。

「やめていいのか？……どうする？　欲しくないのか？」

　俺は上半身を倒して、エルシーの耳元で囁く。

「もう、こんなにくずぐずなのに……欲しいんだろ？」

　エルシーが羞恥で瞳を涙で潤ませて、俺を見上げる。ぐじゅ、ぐじゅ、俺が腰を揺らすたびに、エルシーの秘所は水音をたて、エルシーは呼吸を荒げていく。

「ああっ……だって……ああん……」
「欲しければ、ねだれよ。……挿れてくださいって。そうしたら――」

　俺が欲しいって言ってくれ。それが嘘でも、もう、なんでもいい。だから――。
　俺の言葉に応えるように、エルシーの両手が俺の汗ばんだ首筋に回される。繊細な指が俺のうなじを掴んで、エルシーが潤んだ目で俺を見た。

「挿れて……お願い……ちょうだい……」

　俺はたまらず蜜口に楔をあてがう。ぐちゅ、と水音とともに、湿って柔らかいそこに吸い込まれるように、先端が入った。

「はあっ……すごい……いい……」
　
　俺は浅い部分を味わうように、ため息を零す。でも、もっと――。

「はあっ、ああっ、おねがい、もっと……」
「もっと、どうして欲しい？　エルシー……」

　エルシーが快感と羞恥で眉を顰め、潤んだ瞳で俺を見てから、目を伏せ、荒い息の合間に囁いた。

「あっ……おく、おくまで……お願い……もっと、奥まで来て……そうして……」

　俺が陰茎をエルシーの中にねじ込めば、柔らかな襞がまとわりつくように、ずぶずぶと俺を飲み込んでいく。

「こうか？　それから？」
「あああっ……だめっ……」
「だめなのか、じゃあ抜くぞ？」
「やあっ、だめっ……」
「どうして欲しい……もっと、気持ちよくしてやる……」
「違うの、そうじゃなく、て……ああっ……」
「何が違う、蕩けそうな顔しやがって！　ホラ！」

　ズン、と俺が腰を打ち付け、最奥を突く。パン、と肌と肌がぶつかる音がして、エルシーがのけ反って悲鳴を上げた。

「ああっ！」

　そのままグリグリを奥を刺激すれば、エルシーは両手で俺に縋り、白い喉をさらす。

「ああっだめっ……あああっ……ちがうのぉっ……」
「だから何が違う！　気持ちいいんだろう？」
「そうじゃ、なくて……」

　エルシーが俺の両肩を押しやるようにして、言った。

「殿下が、気持ちよくならないと……わたしの、からだで……もっと、気持ちよくなって……」
　
　潤んだブルーグレーの瞳の奥に灯る情欲の炎に、俺の楔がさらに膨れ上がる。まとわりつく襞が収縮して、一気に締め上げてくる。脳天まで痺れるような快感。

「うあっ……バ、バカ、煽るなよ……くっ……うううっ」
「ひっ……あああっだめぇ……」

　ギチギチに締め上げる膣壁に俺が奥歯を噛みしめ、額から汗が流れ落ちる。あまりの快楽に、俺の理性の箍がはじけ飛ぶ。
　俺はエルシーの両膝の裏を掴んで胸の横につくほど体を折り曲げると、真上から貫くように中を穿った。パン、パンと勢いよく音を響かせ、激しい抽挿を繰り返す。

「ああっ、あっ、ああっ、……んっ、んんっ、あっ、あっ」
　
　俺が腰を打ち付けるリズムに合わせて、エルシーの胸が揺れ、甲高い喘ぎ声が零れ落る。

「んんっ、だめっ……また、イく、イっちゃう……ああっだめなのぉ！」
「ダメじゃない、イけよ、中ぐずぐずのドロドロだぞ……こんなに感じて……」

　エルシーが潤んだ目で見つめて、首を振る。

「だって、殿下が、気持ちよく、ならなきゃ……わたしばっかり、だめ……」

　エルシーにとって、これは俺が気持ちよくなるための業務だ。だから、自分ばかりイくのはダメだと思っている。俺は、少しだけ抽挿のスピードを緩め、エルシーの耳元で言った。

「お前が気持ちよくなればなるほど、俺も気持ちいい」
「ほん、とに？……ああっ、あああっ……」

　ぐりぐりと奥を虐めてやれば、エルシーがまたのけ反る。

「ああ、今、すごく締まった。……お前が感じた方が俺も気持ちいい……お前の中のヒダヒダが、いやらしく俺のちんぽに絡みついて、……くっ……悦いい、すごく悦い……」
「んっ……あっ……」
「ほんとうにどこもかしこもエロい体しやがって……中、すごいぞ……」
「ああっ……んんっ……ああっ、それっだめぇ……」

　俺はエルシーの背中に両手を回し、柔らかい胸を押し潰すように、体重をかけてエルシーを抱きしめた。胸と胸がくっつきあい、俺の楔がエルシーの熱い内部を貫いて一つになる。快楽の熱ですべてが溶け合い、ドロドロになって腰から崩れていくうような、そんな錯覚に陥る。

「ああっ……でん、か……」
「リジーだ。……すごく悦いい。……エルシー、エルシー……エルシー……」　
「り、じー？　りじー？　りじー……」

　甘い声でリジーと呼ばれるたびに、俺は幸福で蕩けそうになる。俺の胸を包み込むような、エルシーの柔らかい胸の感触、このまま折ってしまいたいほどの細い身体、快楽に歪んだ表情、何よりも俺を締め付けて蠢くエルシーの熱い内部。

　忘れ去られた名前、忘れられた過去。たとえエルシーにとってはただの仕事でも、金のためでももう、何でもいい。

「ああっ、リジー、ああっ……あっ……あっ……」

　肩にすがるエルシーの両手に力がこもり、爪を立てる。快楽に顰めた眉、潤んだ瞳、花びらのように半ばひらいた唇。熱い吐息と喘ぎ声に、俺の息遣いが絡まり、俺は夢中で腰を振った。気持ちがよくて、ただただ高みを目指していく。

「ああ、エルシー、悦い、悦い、悦い……ううっ……」
「あっああっ……やあっ……あっ、あっ、あっ……」

　俺の激しい律動につれて、結合部からは淫靡な水音が響き、ベッドがギシギシと軋む。エルシーが白い喉を天井に反らし、ひっきりなしに嬌声をあげる。俺は抱きしめる腕に力を籠め、目の前に突き出されて揺れる白い胸の、頂点で赤く色づいた乳首を咥え、吸った。

「ああっ、ああああっ……」

　エルシーが絶頂して俺を締め付ける。あまりの快感に俺は乳首を噛みちぎりそうになるのを、辛うじて堪え、射精感をやりすごす。長い絶頂に震えるエルシーの乳首を甘噛みすると、その刺激に反応してエルシーの膣壁がさらに蠢き、俺から搾り取ろうする。

　エルシー。
　俺が追い求めてきたすべての幸福が、今、俺の腕の中にある。暗闇の中でずっと、俺が望み続けたもの。
　泥人形のように無様な俺でも愛してくれた幼いエルシー。今、俺に貫かれ、俺に抱かれて、感じて、喘いで、俺の名を呼ぶ。リジー、と。

　妖精のように清らかだったエルシー。光そのもののように輝いて、見えない羽が背中で煌めいていた。
　成長したエルシーは、ベッドの上では妖艶で淫らな、愛の女神のよう。俺に抱かれ、汚され、貪られて、快楽の淵に溺れて――。

　俺は絶頂の余韻に身を委ねるエルシーの、汗ばんだ白い肌に射精した。

「り、じー……」

　俺はエルシーの唇を塞ぐ。彼女の吐息も、汗も何もかも、すべて俺のものにしたかったから。
　最後の一滴まですべて――。