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第一章 悪魔到来
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しおりを挟む「…う、っ…」
涙が止まらない。
「いつまで泣いてんだよ」
西尾の手が俺の尻に触ってきた。
触れられただけで背筋がゾッとする。
「ひ…っ」
切れて血が流れたままの蕾にスルリと入りこんできた。
「やめ…さわんなっ」
身体が勝手に西尾を拒む。
また殴られる…!
そう思っていたのに、
「暴れんな…後始末するだけだ」
そう言って、中に出した自分の精液を掻き出す要領で俺の中にある指が動く。
さっきの西尾のいきり立ったものに比べると断然小さいが、それでも動かされる度に激痛が走った。
それを気使ってか、さっきの乱暴な行為が嘘みたいにゆっくりな作業だった。
その動作がなんだか優しく感じられて泣けてきた。
俺はコイツに犯られたのに…―
しばらく無言が続いた。
きれいにしてもらった後、抱っこされて服も着せてやると言われたが、さすがにそれは情けなさ過ぎるので、痛む腰に鞭打ってモソモソと自力で着た。
ほんとに、ちょっと前までの出来事が嘘のように西尾は穏やかで、俺は戸惑った。
「帰れるか」
「あ、うん…」
そばにあった机を支えに、よいしょと重い腰をあげると、さも心配だという感じの目をされた。
「…そうか」
それだけ言って西尾は教室を出ていった。
外はもう暗い。
一人になった教室はなんだか気味が悪かった。
俺も早く帰ろう。
鞄からイヤホンを取りだしi-podの電源を入れる。
選曲はオレンジレンジの『ロコローション』。
明るい曲でなければまた泣いてしまいそうで、今日の事は忘れようと必死に口ずさみながら帰った。
これは、
高校3年の春の出来事…―
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