「君」とともに、、、

空音

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第一章 悪魔到来

08

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「…う、っ…」

涙が止まらない。


「いつまで泣いてんだよ」

西尾の手が俺の尻に触ってきた。
触れられただけで背筋がゾッとする。

「ひ…っ」

切れて血が流れたままの蕾にスルリと入りこんできた。

「やめ…さわんなっ」

身体が勝手に西尾を拒む。

また殴られる…!


そう思っていたのに、

「暴れんな…後始末するだけだ」

そう言って、中に出した自分の精液を掻き出す要領で俺の中にある指が動く。


さっきの西尾のいきり立ったものに比べると断然小さいが、それでも動かされる度に激痛が走った。

それを気使ってか、さっきの乱暴な行為が嘘みたいにゆっくりな作業だった。

その動作がなんだか優しく感じられて泣けてきた。


俺はコイツに犯られたのに…―




しばらく無言が続いた。

きれいにしてもらった後、抱っこされて服も着せてやると言われたが、さすがにそれは情けなさ過ぎるので、痛む腰に鞭打ってモソモソと自力で着た。


ほんとに、ちょっと前までの出来事が嘘のように西尾は穏やかで、俺は戸惑った。


「帰れるか」

「あ、うん…」


そばにあった机を支えに、よいしょと重い腰をあげると、さも心配だという感じの目をされた。


「…そうか」


それだけ言って西尾は教室を出ていった。


外はもう暗い。

一人になった教室はなんだか気味が悪かった。



俺も早く帰ろう。

鞄からイヤホンを取りだしi-podの電源を入れる。

選曲はオレンジレンジの『ロコローション』。

明るい曲でなければまた泣いてしまいそうで、今日の事は忘れようと必死に口ずさみながら帰った。




これは、
高校3年の春の出来事…―

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