だから私は私を殺す

 異世界転生において前世の記憶は必須である。それこそが転生の証明になるからだ。
 前世の記憶を持つという事は比類なきアドバンテージを与えるが、その代償は決して軽くない。記憶とはそれに縛られる事でもあるのだから。
 
 前世の私と、今世の私、二つの狭間で揺れる私。

 優秀すぎるが故に受け入れられない今の私という存在。今の私の溢れんばかりの才能が前世の平凡な私を惨めにさせる。今の私を受け入れられない私は果たして一体何者なのだろうか?

 その答えを得る事が出来ないまま、私は深い闇の中を泳ぐ。

 そんな私が選んだ最後の選択とは……  
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