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兄妹仲が悪いのですか?

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「なんでここにお兄様がいるんですの?」

「たまには俺もティータイムを楽しもうと思ってな」

「まぁ!?
今までティータイムなどなんの意味があるとかなんとか言って散々貶してきたくせに!」

「気が変わっただけだ」


只今私の初仕事でヴィヴィお嬢様のティータイム中なのですが…

ははは…小説には2人の絡みがあんまりなかったから分からなかったけど、この兄妹って仲悪いんですかね??


「マナ、ダージリンを頼む」


うっ…しかもさっきからセバスチャンや他の侍女達もいるのに私の名前ばかり呼ぶアルディス様


「あら、お兄さまが侍女の名前を覚えるなんて珍しいですわね」


そう、しかも私の名前を昨日覚えたのかいきなりのマナ呼び…
正直なんの意味もないと分かっていても、前世彼氏いない=年齢だった私からすると男の人に下の名前で呼ばれるだけでドキドキしますって!!


「あぁ、マナは目立つからな」

「あー…ふふっ、確かに…がこれですものね」


くすくすと他の使用人達の笑い声も聞こえる

あー、はいはい
どうせそう言う意味ですよね、悪い意味で目立つ地味眼鏡なんてこの屋敷には他にいませんもんね!


「マナ、早く淹れてくれ」

「はい…ただいま」


こんな奴に淹れるお茶はないわ!!って言ってやりたい…
私はティーポットを取ってお茶の準備をする

にしても美形兄妹が揃うとやっぱり圧巻ね…
ヴィヴィお嬢様の金髪と容姿は父親ゆずり、アルディス様の容姿と銀髪は母ゆずりだそうだ
私の目のフィルターには背景に薔薇が舞って見えるよ…

ふと視線を感じて顔を上げるとアルディス様が輝かしく蕩けたような笑みでこちらを見つめていた

ひぃいいいい、ななななんでそんな顔で氷結の貴公子様がこちらを見ているんですかねぇ!?

その表情に他の侍女達もほぅと顔を赤くして見惚れている


「お兄様本当にどうなされたの?
ティータイムには来るし、滅多に笑わないくせにそんな顔いつものお兄様じゃないみたい…
まさか、私の魅力に今更落ちたんじゃないでしょうね?!
いくらお兄様でも兄妹では「違うから安心しろ」


あぁ、なるほど!
ヴィヴィお嬢様を見てたのならあの表情も納得、黙ってたらめちゃくちゃ美人ですもんね!

にやにやしながらお茶をアルディス様の元まで運ぶと何かが足に引っかかった


「きゃあっ!?」


や、転ける!!
ぎゅっと目を瞑る

あれ…痛くない…?

おそるおそる目を開けると


「マナ危ないぞ…」


アルディス様に抱き止められていた


「まぁお兄様お洋服が!?」


アルディス様と私の服は紅茶塗れになってしまっていた
幸い紅茶は温めになっていたので火傷はないけど…


勤務初日からやらかしちゃいました私
とにかく、先にあやまらなくちゃ!!


「すすすみません!!!」

「ちょっと貴方、お兄様になんてこ「着替えを手伝ってくれ」

「へ?」


アルディス様がヴィヴィお嬢様の怒りを遮って着替えを手伝えと言ってきた


「着替えなら私が!」「いや私が!」「私がやります!」


みんな一斉に侍女達が手を挙げはじめる
さすが氷結の貴公子様…めちゃくちゃモテますね
これなら私が手伝わなくてもいいよね!


「じゃあ私はこれで「マナも濡れてしまったからな、一緒に着替えに行った方が効率がいいだろう」


何を言ってるんですかねこの方は


「こんなに希望されてる方がいるので私は「行くぞ」


ぐいぐい腕を引っ張られる
ひぃいい、この氷結の貴公子様強引すぎますって!!

あぁ…手を挙げていた侍女達に思いっきり睨まれながら引きずるように連れて行かれました






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