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可愛い男の子だと思ったら4

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「なんだ、余が魔王だとは分かっていたのだな!
やはり余の名前を知らぬ者などこの世には1人もおらぬからな」


な、なんで!?
まだ会えてないメインヒーローもいるのに、まさかこんな所で、最後のメインヒーローにいきなり会っちゃうなんて…

しかもラブマジの中でお城のどこかに囚われてたのは知ってたけど、普通地下牢とかじゃないの?
まさかこんな人気のない森にいるなんて…
ここら辺はあんまり真剣に読んでなかったからな
ちょっと記憶が曖昧だ


「貴様はさっきから何を言っておるのだ?
めいんひーろーとか、らぶまじ…だとか…」


しまった、この人には心の声が聞こえちゃうんだった!?
やばいやばい、これ以上余計な事考えちゃう前に早くこっから逃げ出したい


「ふんっ、無理だぞ?
この中に入るのは簡単だが一度入ってしまえば外に出ることはできぬ」

「え…?」

「この忌々しい線は、魔を封じ込める為に強力な精霊の力が込められているからな
例え人間であろうと逃がさないように閉じこめられる」

「そ、そんな…」


えぇ!?
私ここから出られないの!?


「夜になれば毎回この城の男共がゴミを捨てに来るからな、そいつらに助けを求めれば何とかしてくれるはずだ」


いやいや、夜までって…
まだ日がかなり明るいけど、あと何時間あるんですかね!?


「そもそも余がここにいるから、女が来ること事態滅多にないんだが…」

「へ…?」


女が来る事は滅多にないって、でもあの赤毛の人はここにゴミ捨てに行くようにって…


「不憫な奴だな、騙されたのか…
そこの立て札にも書いてあるが、ここに女は来てはならない、捨てるなら西の森へと書かれておるぞ」


え、嘘を教えられたって事…?
でもそんな立て札なんてありませんでしたけど!?


「貴様が間抜けだからな…
ゴミの山が崩れ落ちた時に立て札も一緒に倒れておるぞ」

「へ…?」


ゴミの山付近をよく見ると、確かに立て札っぽいやつがゴミの下敷きになっていた


だめだ、自分のやらかし具合に頭が痛くなってきた…


「久しぶりに女のフェロモンの匂いがしたからな、近くまで来てみたら貴様がいたんだが、来て正解だったな」

「え…?」

「魔族は異性からの精気しか奪えぬのだ
だからここには女は近づくなと城の者なら誰もが知っておる
別に貰わなくても魔族だから死にはしないが、精気は美味だからな
たまに貴様のような迷い子が来る度に、余の僅かに残っている魅了の力でつまみ食いをしておるのよ
だが、幼稚なキスでこれほどまでに力が戻る女は貴様が初めてだ」

「魅了…?」

「何故か貴様には効いてないみたいだがな
子供の姿だと最後までは出来ぬから、万が一に備えて、摂取のしすぎで命までは獲れぬ様にこのような姿にされたのだが…
貴様のおかげで本来の姿にまで戻れた
この調子だと交われば力も全て戻るやもしれん
そうなればここから出る事も夢ではないな…」


こっちを見てにやりと悪い笑み浮かべる魔王様


「やはり確かめなければな、人が来るまで時間はたっぷりある」


あ、あれ?
なんかやばい雰囲気な気がしてきた


背後の木を避けるようにして、ジリジリと後退る


「幸い貴様は精気の量も多いみたいだしな、命の心配はなさそうだ
余に身を任せておけば良い」


ひぃいい、全然任せられません!!


身を翻して逃げ出そうと2.3歩走ると…


「馬鹿か貴様!
そっちは線が…」

「きゃあっ!?」


いきなり腕を掴まれた衝撃で、躓いてバタンと前のめりに倒れてしまう


「いったぁい…」


思いっきり転けちゃった…


顔を上げてみると、目の前にあの薄らとした白線があった


え!?

い、今、白線の上に顔があったのに…
跳ね飛ばされなかった!?


「ば、馬鹿な!?」


魔王様も後ろで目を見開き、驚愕の顔をしている


こ、これ出られるって事だよね…?


そのまま這って出ようとすると、足首をがっつり掴まれた


「ちょ、ちょっと離して下さい!?」

「貴様本当に何者だ?
余の力も効かぬし、精霊の力も効かぬなど…
ますます余の隷属にしたい!」


なんとか白線の外にある地面に埋まった大きな石に掴まり、足をばたつかせる


男の人だからやっぱり力が強い
でもでも、逃げないと何かやばい事言ってたし、このままだと絶対やられちゃう!?


「だから快楽しかないから大丈夫だと言っただろ!」

「そう言う問題じゃないです!!」


必死に身を捩るが、魔王様も一歩も引かない


やだやだやだ、もう力が…

だんだん石に掴まる手の力が無くなってきた


「大人しくしていれば悪いようにはせぬ!」


も、もうダメ…


手の力が無くなりかけたその時


「マナ!!!」

「へ…?」


声のした方へ顔を上げると、護衛騎士達と一緒に走ってこちらに向かってくる王子様がいた












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