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ティファニーsaid3 終

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リオお兄ちゃんと挨拶に行くと、ディーンアデライトは席を外していていなかった

せめて挨拶で印象付けとこうと思ったのに…

肝心の本人がいないんじゃ話にならない


でもデビュタントのダンスの順番は私が最後だった

その時に丁度悪役令嬢のヴィヴィアンヌがいて、ダンスの順番が自分が1番になるように奪いとって、デビュタント勢のヘイトをいい感じにかってた

流石悪役令嬢!
この調子で本番も何かしらやってくれるはず…

そしていよいよダンスが始まる時、初めて見たディーンアデライトの顔に驚いた

挿絵で分かってはいたのに、金髪碧眼の甘いマスクと王太子として完璧すぎる立ち振る舞いに、目が釘付けになった

デビュタントの女達も、顔を赤くしてソワソワとしている

この皆んなが羨む王太子も私のもの…
本当にヒロインに転生してよかった!

アルディスの時はマナとか言うクソモブとリオお兄ちゃんが邪魔してくれたけど、このファーストダンスだけは絶対成功させてみせる!


そしてほぼ原作通りの展開でヴィヴィアンヌがやってくれた

被害にあった女はドレスが破れて泣き崩れ、他のデビュタント勢はヴィヴィアンヌと掴み合いの喧嘩になろうとしていた


「ふふふっ…
面白すぎ、やっぱりこうでなきゃ…」


側から見てる分には滑稽すぎて笑ってしまう

私が遅れて来るのは本来ならこのタイミングだ
 
でも次に踊るはずだった女は泣き喚いていて踊れそうにないし、ディーンアデライトも宥めてはいるけど困り果てている

あのドレスじゃもう踊れないだろうし、ここは代わりにヒロインの私が踊って次に繋ぐって言うのが無難よね


「その子可哀想だけど踊れないみたいだし、私と踊りましょ!」


ディーンアデライトに手を差し伸べて言うと、思っていた反応とは違うかなり怒気を含んだ声で怒られた

ダンスフロアから追い出された後、周りからもヒソヒソと非難の声が聞こえてきた


だってじゃあどうするって言うの!?

あんなドレスと泣き顔じゃもう踊れないし、他のデビュタントの子達だっているのに1人になんて構ってられないでしょ?

あの女も泣き喚かないで空気を読んでさっさと下がればいいのに…


苛々しながら見ていると、あのマナとか言うモブ女が泣き喚いていた女を支えながら、一緒に何処かへと行ってしまった


一体何するつもり…?


2人が消えた後は予定通りにダンスが進み
いよいよ私の番になった

さっきは凄く怒っていたけど、ディーンアデライトは笑顔で踊ってくれた

それに安堵していると…


「君はもう少し人を思いやる気持ちを持った方がいい」

「は…?」

「その言葉遣いもなおした方がいいね
デビュタントを迎えたなら君ももう大人の一員だ
今日は見逃すけど、王族にそんな言葉遣いをしていると不敬罪で処される場合もあるからね
それに自分本位な考え方だと、さっきみたいに周りからも批判がくるのは当然だよ
君もマナを見習ってほしいね」

「なっ…!?」


なんでここでまたあのモブ女の名前が出てくるの!?

しかもディーンアデライトは優男なはずなのに怒るし、ダンス中に説教してくるなんて…

怒りと羞恥で震えそうになる身体を何とか抑える


「ほら、後ろを見てみなよ」

「え…?」


ダンスも終わり、そう言われて振り返ると…

先程まで泣き喚いていたはずの女が化粧もなおし、少しセクシーになった違和感のないドレスで帰ってきた


「凄いな、多分マナがやったんだと思うけど…
でも人を思いやるってああ言う事だよ」


ディーンアデライトは私には目もくれず、説教だけして次のダンス相手の所へと行ってしまった


何よ…
ディーンアデライトも、アルディスも、マナマナってあんなモブ女の事ばかり…


私がヒロインのはずでしょ…?


原作とは全く違う展開に焦りと苛立ちを覚えてきた


そしてあのモブ女が踊るとなった時、思いっきり睨んでやった

ヴィヴィアンヌも隣で同じような顔してたから、また何かやらかしてくれないかなと思っていたら…

演奏していた人達に何やら指示を出して、踊れなくしようとしていた

結果的にダンスはディーンアデライトのおかげで上手くいって、あのモブ女が拍手喝采を浴びる最悪な事態になってしまった

何余計な事してんのヴィヴィアンヌ!
悪役令嬢のくせにやる事が生温いし、ポンコツすぎ!!


本当なら最後のダンスは私で、拍手喝采を浴びるのも私だったはずなのに…

こんなのおかしい、私がヒロインなのに…

それもこれも全部あの邪魔なモブ女のせいよ、許せない…!!


そこから私はバイキング形式で並べられていた料理コーナーから、こっそりとケーキナイフを抜きとった
  
そしてあのモブ女が消えた方面の部屋を手当たり次第に開けて探し、やっと居場所を見つけた

そこで同じ転生者だと言う事が分かって、ここまで上手くいかなかった原因がやっぱりこいつが邪魔をしたおかげなんだと思い、一瞬殺意が芽生えたけど…

ラブマジを知ってるなら同じ日本人だったのだろうと、なんとか踏みとどまった

でも既にメインヒーロー達に関わってるのは許せないし、これだけ私のラブマジを乱したこの女を置いとくわけにはいかないと思い、脅して外まで連れてった

モブの分際で私のメインヒーローに近づくなんて身の程を弁えろっての…

まぁもう障害は消えたし、まだ序盤なんだから、ここからちょっと修正すれば全てが上手くいくはずよね…?

これからの事を想像して、フフッと笑いながら私は舞踏会の会場へと戻った







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